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基礎知識

腎代替療法とは

2019.10.28

文:じんラボスタッフ

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監修:南青山内科クリニック 腎臓内科 院長 鈴木孝子 先生

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腎臓のはたらきが1割程度まで落ちると、老廃物を十分に排出できずに体がむくみ、倦怠感や吐き気、頭痛などの尿毒症と呼ばれる全身の病状が顕著になります。そうなると命をつなぐための医療、腎代替療法を受ける必要あります。
腎代替療法の選択肢は大きく分けて2種類、透析と腎臓移植です。残りの腎臓の機能や年齢などを考慮して選択することになりますが、何よりも自分らしい生活を再構築するための治療であることを意識して、十分に検討しましょう。


腎代替療法が必要になるタイミング

腎臓の機能が慢性的に低下していく慢性腎臓病(CKD:chronic kidney disease、以下CKD)が進行して末期腎不全になると、回復することはありません。なんらかの治療をしないと尿毒症や高カリウム血症など危険な状態になるため、透析や腎臓移植などの腎代替療法を行うことになります。
CKDと診断されたら、生活習慣の改善に始まり食事療法や腎臓の機能の低下で引き起こされる腎性貧血・尿毒症などに対する薬物療法などの治療を行いますが、心不全や尿毒症が薬でコントロールできなくなったり、高カリウム血症が出てくると、腎臓のはたらきが1割程度まで落ちていない場合でも早めに腎代替療法を始める必要があります。 CKDの定義や治療の全体像や、腎臓病を進行させない・透析にならないために病気の進行を抑える心得は以下でご覧ください。

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腎代替療法の種類

大きくは透析療法か腎臓移植のどちらかです。移植はドナー(提供者)に腎臓を提供してもらうことが大前提となるため、ほとんどの方が透析を選択せざる得えない現状です。これらの療法は一つを選んだらそれしか行えないという性質のものではなく、例えば透析導入時は腹膜透析(PD)を選び、その後に血液透析(HD)に移行したり、その逆のパターンもあります。数は少ないものの、透析導入は血液透析でも、腎臓の機能がある程度残っているなどの場合に腹膜透析に切り替えることもあります。どの透析を受けていても移植は行えますし、移植した腎臓の機能が低下した場合は透析を取り入れることもあります。

腎代替療法の種類

血液透析 腹膜透析 腎臓移植
腎臓の機能 悪いまま(貧血・骨代謝異常・アミロイド沈着・動脈硬化・低栄養などの問題は十分な解決ができない) かなり正常に近い
必要な薬剤 完成腎不全の諸問題に対する薬剤(貧血・骨代謝異常・高血圧など) 免疫抑制薬とその副作用に対する薬剤
生命予後 移植に比べ悪い 優れている
心筋梗塞・心不全・脳梗塞の合併 多い 透析に比べ少ない
QOL(生活の質) 移植に比べ悪い 優れている
生活の成約 多い(週3回、1回4時間程度の通院治療) やや多い(透析液交換、装置のセットアップの手間) ほとんど無い
社会復帰率 低い 高い
食事・飲水の制限 多い(蛋白・水・塩分・カリウム・リン) やや多い(水・塩分・リン) 少ない
手術の内容 バスキュラーアクセス(シャント)(小手術・局部麻酔) 腹膜透析カテーテル挿入(中規模手術) 腎臓移植術(大規模手術・全身麻酔)
通院回数 週に3回 月に1〜2回程度 移植後1年以降は月に1回
出張・旅行 可能、ただし制限あり(通院透析施設の確保) 可能、ただし制限あり(透析液・装置の準備) 自由
スポーツ 自由 腹圧がかからないように 移植部保護以外自由
妊娠・出産 困難を伴う 困難を伴う 腎機能良好なら可能
感染の注意 必要 やや必要 重要
入浴 透析後はシャワーが望ましい 腹膜カテーテルの保護必要 問題ない
その他のメリット 医学的ケアが常に提供される、最も日本で実績のある治療方法 血液透析に比べて自由度が高い 透析による束縛からの精神的・肉体的解放
その他のデメリット バスキュラーアクセスの問題(閉塞・感染・出血・穿刺痛・ブラッドアクセス作成困難)
除水による血圧低下
腹部病状(腹が張る等)
カテーテル感染・異常
腹膜炎の可能性、蛋白の透析液への喪失
腹膜の透析膜としての寿命がある(10年位)
免疫抑制薬の副作用、拒絶反応などによる腎機能障害・透析再導入の可能性
移植腎喪失への不安

一般社団法人 日本腎臓学会『腎不全治療選択とその実際』より引用して改変

以下の表は、2017年末の全患者総数334,505人がどのような透析を受けているかの内訳です。導入時に腎臓の機能がある程度残っている場合に腹膜透析を選択したとしても、時間の経過とともに尿の量は減るため5〜8年程度を限度に血液透析に移行します。そのため、腹膜透析の患者さんは全体の2.7%です。

血液透析等 血液透析(HD) 228,089(68.2%)
血液透析濾過(HDF) 95,140(28.4%)
血液濾過(HF) 40(0.0%)
血液吸着透析 1,462(0.4%)
在宅血液透析 684(0.2%)
腹膜透析等 腹膜透析(PD) 7,325(2.2%)
PD+週1回HD(F)等との併用 1,505(0.4%)
PD+週2回HD(F)等との併用 155(0.0%)
PD+週3回HD(F)等との併用 37(0.0%)
上記以外の併用 68(0.0%)

出典:わが国の慢性透析療法の現況(2017年12月31日現在)

2007年には187人で0.05%程度だった在宅血液透析は、2012年には394人と倍増の0.1%、2017年には684人で0.2%(いずれも透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況」より)と増加傾向にあります。在宅血液透析を提供する医療機関が増えていることも要因ですが、予後がよくQOL(生活の質)も向上し、自分のライフスタイルも大事にできる治療を望む患者さんが増えていると言えるでしょう。
通常の血液透析では十分に除去しきれない大きめの物質を取り除ける血液濾過(HF)と、血液透析を組み合わせた療法が血液透析濾過(HDF)です。2012年に診療報酬が改定ですべての患者さんに対して実施可能になり、患者数は急増しています。

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腎代替療法の種類1:血液透析(HD:Hemo dialysis)

血液を体外に取り出し、ダイアライザを介して次の4つを行なう治療です。

  • 体内に溜まった老廃物(尿毒素)を取り除く
  • 余分な水分を取り除いて(除水)、ドライウェイトにする
  • ナトリウム、カリウム、リンなどの血液中の電化質(イオン)を正常なバランスに近づける
  • 血液を正常なpH(ペーハー)7.35〜7.45の弱アルカリ性に調節する

血液透析には、週に3回決まった時間に通院し1回あたり4時間程度の血液透析を行う施設血液透析と、自宅に透析機械を設置し基本的に自分自身で透析を行う在宅血液透析があります。在宅血液透析は付きそいの介助者の確保などいくつか条件はあるものの、さまざまな面でメリットを享受できます。

文:じんラボスタッフ
監修:陣内彦博 院長 東京ネクスト内科・透析クリニック

在宅血液透析のいくつかのメリットの中でも最も大きいものは透析量の不足の解消です。透析量は回数、時間、効率の3つで決まりますが、在宅血液透析では多い回数(頻回)かつ長時間の透析が可能になるわけです。 時間に着目したのが長時間透析という治療です。長時間透析は週18時間以上(週3回の場合1回6時間以上、隔日では1回5時間以上)透析を行うことと定義されています。

ご紹介した在宅血液透析や長時間透析以外にも、頻回透析や長時間透析の一種オーバーナイト透析などさまざまな種類の血液透析があります。

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腎代替療法の種類2:血液透析濾過(HDF)

血液を体外に取り出し、透析器を介して老廃物や余分な水分の除去などを行うという点では血液透析と同じです。 オンラインHDFという治療を聞いたことがある方は多いと思いますが、どんな治療なのかはご存知でしょうか。血液透析とどう違うのか、そのしくみやメリットを知って、腎代替療法の選択肢の一つとしてください。

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腎代替療法の種類3:腹膜透析(PD:Peritoneal dialysis)

腹膜透析とは、自分のおなかの腹膜を透析膜(フィルター)として使う治療です。自宅や職場など、社会生活の中で行う在宅療法です。血液透析に比べて身体への負担が少ない治療です。
腹膜透析は特に腎臓の機能がある程度残っている場合の選択肢とされており、尿量が少なくなったり、腹膜機能が悪化し水分や老廃物を抜くのが不十分になった時点で血液透析に移行します。トラブルがなかった場合でも概ね5〜8年程度を限度に移行します。

血液透析との併用療法による腹膜透析(血液透析腹膜透析併用療法、PD+HD併用療法)は、腹膜透析を行っている方が適正透析を維持できないなどの理由で取り入れます。 腹膜透析に、1〜2週間に1回以上の血液透析(HD)または血液透析濾過(HDF)を追加する療法です。

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腎代替療法の種類4:移植(生体腎移植・献腎移植)

腎臓移植は慢性腎臓病(CKD)を根本的に治療する唯一の手段です。腎臓移植は、提供者の違いにより生体腎移植と献腎移植の2種類があります。 腎代替療法としての腎臓移植は根治治療、透析療法は対症療法です。腎臓移植が成功すると透析から解放されます。水分や食事の制限、時間の制約から基本的には解放され、合併症も消失していくため、健康な人とほぼ同じ生活が可能になります。

移植のメリットはなんと言っても透析に比べて長生きできることですが、献腎移植ではドナーが足りていないこともあり、希望しても待機年数は14年程と言われています。日本臨床腎移植学会・日本移植学会の報告外部サイトへによると、2017年の腎臓移植実施件数のうち9割が生体腎移植、献腎移植はほんの1割です。 生体腎移植に関しては、あるさんの連載記事で患者会活動を通じて得た最新の腎臓移植の状況など気になる情報を知ることができます。

先行的腎移植(PEKT)

透析を経ない先行的腎移植(プリエンプティブ腎移植、preemptive kidney transplantation:PEKT、以下PEKT)は、生体腎移植でも献腎移植でも予後が良好な移植として知られています。その原因は、透析を行っている期間中に進行した心不全・脳血管疾患・心筋梗塞などの心血管系合併症が移植後に影響を及ぼすと考えられているためです。つまり透析を経ていない、または透析の期間が短ければ、心血管系合併症を引き起こすリスクは低いということです。その他のメリットとしては、血液透析を受けるためのシャントの作製が不要になるという点、QOL(生活の質)の改善、医療費が軽減されるという点もあげられます。

日本ではまだ症例が少なく観察年数も少ないためまだわからないことが多いものの、腎臓移植全体に対するPEKTの割合は増加傾向にあります。
とは言えPEKTのメリットを患者は知らされず、「移植は最終手段」と考えているケースも多く、誤解や不安、健康保険のしくみや経済的理由などでPEKTを実現できていないのではないか、という考え方もあります。認知不足などから準備する十分な時間的余裕がないケースもあり、CKDのステージG4の段階で情報提供すべきとされています。もしPEKT検討したい場合は、現実的には生体ドナー(腎臓の提供者)を探す必要はありますが、まず主治医に相談してみましょう。

糖尿病性腎臓病(DKD)患者さんの場合は糖尿病での合併症が多く、状況によっては透析導入後に移植を行ったほうが良い可能性も否定できないなど、PEKTはすべての患者さんにメリットがあるわけではありません。

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