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基礎知識

腎臓病を進行させない・透析にならないために

2026.7.13

文:ndeco

220

監修:たけお内科クリニック からだと心の診療所 院長 大武 陽一 先生

緑の文字の用語をクリックすると用語解説ページに移動するよ。

CKDは、進行のスピードをコントロールできる可能性のある病気です。

はじめに:CKDは「進ませない選択」ができる病気

慢性腎臓病(CKD)は、進行のスピードをコントロールできる可能性のある病気です。CKDの進行スピードは人それぞれですが、食事や生活習慣の改善、そして最新のチーム医療という「戦略」で、その時点の腎臓の機能をできる限り残すことが可能です。

CKD進行のイメージ

CKD進行のイメージ

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透析が必要になるかどうかは、特別な治療や特効薬よりも、毎日の血圧管理などの腎臓を守る生活習慣の積み重ねが大きく影響します。だからこそ、「今日から始める」ことに意味があります。

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STEP1:自分のCKDを数値で把握する

腎臓のチェックは主に「尿蛋白」と「eGFR」の両方で行われます。尿蛋白は腎臓に「傷みが起きていないか」を、eGFRは腎臓が「どれくらい元気に働けているか」を示す指標です。どちらか一方だけでは見えにくい変化も、2つを合わせて見ることで、腎臓の状態をより立体的に把握することができます。


CKDのステージ分類

CKDは重症度に応じて、リスクが一目でわかるようステージ分けされています。あなたのeGFRと尿蛋白の結果がどこに該当するかわからない場合は、主治医に聞いてみてください。

CKD重症度分類
原疾患 蛋白尿区分 A1 A2 A3
糖尿病性
腎臓病
尿アルブミン定量
(mg/日)
尿アルブミン/Cr比
(mg/gCr)
正常 微量
アルブミン尿
顕性
アルブミン尿
30未満 30~299 300以上
高血圧性
腎硬化症
腎炎
多発性囊胞腎
移植腎
不明
その他
尿蛋白定量
(g/日)
尿蛋白/Cr比
(g/gCr)
正常 軽度蛋白尿 高度蛋白尿
0.15未満 0.15~0.49 0.50以上
GFR区分
(mL/分/
1.73m2)
G1 ≧90
G2 60~89
G3a 45~59
G3b 30~44
G4 15~29
G5 <15

出典:一般社団法人 日本腎臓学会『患者さんとご家族のためのCKD療養ガイド2024』

緑から黄色、オレンジ、赤とステージが進むにつれて、末期腎不全や心血管疾患による重大な合併症のリスクが高くなるとされています。


より具体的に腎臓の状態を知る「eGFRスロープ」

eGFRの変化の様子や1年間の変化量を見るために、eGFR値の推移をグラフにして、腎臓の機能が今後どのように変化するかを予測するものを「eGFRスロープ」といいます。eGFRの変化の傾きは、腎不全の進行やCKDの悪化を示す目安となります。

eGFRスロープ

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STEP2:進行を早める要因を特定する

あなたの腎臓の機能を低下させるいくつかの要因のうち、当てはまるものはどれでしょうか? 思い当たるものすべてをチェックしてください。
変えられない要因もありますが、影響の受け方を変えることは可能です。STEP3で、「どれから整えるか」を考えていきます。

チェック カテゴリ 要因 関連しやすい要因
▢ 体質 加齢 高血圧、動脈硬化、筋力低下
▢ 医療 高血圧 塩分過多、肥満、睡眠不足、ストレス
▢ 医療 糖尿病・高血糖 食べすぎ、運動不足、肥満、睡眠不足
▢ 医療 脂質異常症 肥満、運動不足、食べすぎ、喫煙
▢ 生活 喫煙 ストレス、生活リズムの乱れ
▢ 生活 肥満 運動不足、食べすぎ、睡眠不足
▢ 生活 食べすぎ・飲みすぎ 肥満、脂質異常症、糖尿病
▢ 生活 運動不足 肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧
▢ 生活 不規則な生活 睡眠不足、ストレス、食べすぎ
▢ 生活 睡眠不足 高血圧、肥満、ストレス
▢ 生活 ストレス 高血圧、喫煙、飲酒、睡眠不足
▢ 医療 市販の鎮痛薬の常用(NSAIDs) 慢性痛、自己判断での使用
▢ 医療 サプリの自己判断使用 健康志向、情報不足
▢ 医療 極端な食事制限 誤った情報、自己流の食事制限

このチェックリストをダウンロードする(pdf)

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STEP3:進行を抑えるために「今からやること」を決める

どれも大切に見えて、「何から始めればいいのか」と迷う方も多いことでしょう。腎臓の機能を低下させる要因には、年齢や体質・遺伝のように変えられないものもあれば、血圧・血糖・生活習慣のように、自分である程度管理できるものもあります。

大切なのは、すべてを完璧にこなすことではなく、自分にとって影響が大きいものから優先的に整えていくことです。悪い条件が重なると、低下のスピードが加速してしまうためです。

腎臓は、一生つきあう大切なパートナーです。走行距離(加齢)を巻き戻すことはできなくても、日々のメンテナンス次第で、負担を抑えながら最後まで健やかに走り続けることは、十分に可能です。


最優先で取り組む、血圧と血糖の管理

腎臓は血液をろ過する高性能なフィルターであり、血管の塊(かたまり)とも言える臓器です。

高血圧や糖尿病は、腎臓に大きな負担をかけ、その機能を損なう主な要因となります。血圧が高いと腎臓の血管が傷つきやすくなり、腎臓の機能が低下すると、さらに血圧が上がるという「負のループ」が始まってしまいます。糖尿病の場合は、長いあいだ血糖値が高い状態が続くことで、腎臓の細い血管がダメージを受けます。

そのため、CKDの進行を防ぐうえでは、まず血圧や血糖を適切に管理することが重要になります。

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毎日の積み重ねも大切

血圧や血糖の管理が最優先であることに変わりはありませんが、日々の生活の積み重ねも、腎臓に少しずつ影響します。
例えば、食事や運動、睡眠などの習慣は、一つひとつの効果は小さくても、続けることで血圧や血糖、体重などに影響し、結果的に腎臓を守ることにつながります。

  • 減塩→ 血圧に影響
  • 体重管理→ 体重・血糖に影響
  • 睡眠→ 血圧・血糖に影響

「無理なく続けられること」を選んで積み重ねていきましょう。

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将来を左右する習慣

CKDでは、腎臓の機能だけでなく、体力や筋力の低下にも注意が必要です。フレイル(虚弱)やサルコペニア(筋力低下)といった状態が、QOL(生活の質)に影響することもわかってきています。
そのため、無理のない範囲で体を動かすことや、日常生活の中で活動量を保つことは、腎臓だけでなく全身の健康を守るうえでも重要と考えられています。

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迷ったときの判断基準

CKDなどの「つきあう病気」での自己管理は、「何が一番正しいか」よりも、「続けられる選択かどうか」が重要です。
迷ったときは、次の3つで考えてみてください。

①継続できるか — 短期間がんばるより、続けられるかどうか
NG例 OK例
毎日1時間の運動→ 挫折しやすい 1日10分歩く
完全に間食ゼロ → 反動が出やすい 週に2日だけ間食を控える

少し「自分に甘いのではないか」と思う程度の、あまり追い込みすぎない目標の方が習慣化しやすいです。

②極端になっていないか — 「やりすぎ」は逆効果になることも
NG例 OK例
食事の量や水分を極端に制限する 医療者の指示の範囲で調整する
「ちょっと減らすだけ」と考える
塩分ゼロを目指す

極端な方法ほど、体調を崩したり長続きしないものです。

③主治医に説明できるか — 治療の伴走者に方向性を確認してもらう
NG例 OK例
SNSや噂だけで始めた健康法 主治医に理由を説明できること
相談できる内容であること
成分がよくわからないサプリ

「今からやること」チェックリスト

以下の表で、あなたが今すぐとりかかれるものをチェックしてみましょう。たまに見直したり、主治医やご家族の方などと話し合って次の目標を決めても良いでしょう。

チェック カテゴリ 要因 関連しやすい要因
▢ 体質 定期的に検査を受ける 加齢
▢ 医療 家で血圧を測定・記録する 高血圧
▢ 医療 減塩する 高血圧
▢ 医療 血糖管理と受診を継続する 糖尿病・高血糖
▢ 医療 健診結果を確認し放置しない 脂質異常症
▢ 生活 禁煙を検討する 喫煙
▢ 生活 体重の変化を記録する 肥満
▢ 生活 間食や飲酒頻度を見直す 食べすぎ・飲みすぎ
▢ 生活 今より少し歩く時間を増やす 運動不足
▢ 生活 起床・就寝時間を整える 不規則な生活
▢ 生活 睡眠時間を確保する 睡眠不足
▢ 生活 休む時間と相談先の確保 ストレス
▢ 医療 使用前に医療者へ相談する 市販の鎮痛薬の常用(NSAIDs)
▢ 医療 成分を確認し医療者に相談する サプリの自己判断使用
▢ 医療 無理な制限を避ける 極端な食事制限

このチェックリストをダウンロードする(pdf)

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まとめ:CKD管理は「完璧」ではなく「継続」

CKDの管理は、「すべてを完璧にやること」ではなく、「続けられる形で整えていくこと」が大切です。主治医と調整のうえ、マイペースで進めてください。

その積み重ねが、腎臓病の進行をゆるやかにし、将来の負担を軽くすることにつながります。

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