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移植者からみた最近の移植事情とは?【第2回】
ドナーになる人の血液型って関係あるの?
2016.9.12
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2回目の今回は「ドナーになる方の血液型は移植に関係があるのか?」というテーマです。
21年前の私が腎臓移植を受けた当時は、漠然と「血液型が同じじゃないと移植はできない」と思っていました。
というわけで、血液型が同じ母親が真っ先にドナーになることを申し出てくれて、現在に至ります。
ところで、この頃から血液型不一致の移植は東京女子医大病院では普通に行われていたと知り、大変驚きました。
「え? 血液型が違っても移植しちゃうの?」と。
ここで血液型不一致と血液型不適合の説明を簡単にします。
- 「血液型不一致」=「血液型は違うけど輸血できるパターン」
- (例)レシピエント:AB型 ドナー:A型
- 「血液型不適合」=「血液型が違い、輸血できないパターン」
- (例)レシピエント:O型 ドナー:A型
血液型不一致のパターンでは、人によってそれぞれ違いますが、以前は手術前に放射線治療をしたり、抗体の産生工場である脾臓を摘出したりすることで移植後のリスクを軽減していました。これは20年前の事例です。
血液型不適合に関しては、日本初の腎臓移植が1986年に行われましたが、20年前の1996年にようやく血液型不適合の腎移植が開始されたところでした。
現在では血液型不適合による移植も一般的になってきました。
背景としては、透析導入年齢の高齢化に伴いお子さんの独立後に安心して夫婦間で移植を行う方が増えてきたことがあげられます。
夫婦間の移植は、現在では親子間の移植数よりも多くなってきている施設も出てきました。
では夫婦間の血液型不適合移植の成績はどうなのでしょうか?
血縁の移植ではないので成績は悪いのでは? と思われる方も多いと思いますが、実は5年生着率では、親子間での移植よりも成績がいいのです。
私もこの話を聞いた時は驚きました。どうしてでしょうか?
詳しい話はドクターに聞いていただくとして、血液型不一致の移植の場合、拒絶反応が起きないように事前にリツキサンなどの免疫抑制剤を点滴注射して予防します。
この点滴注射が、移植後の生着率を上げている可能性があります。
まさに今の移植医療は日進月歩です。
生体腎移植はドナーの協力なしでは成り立たない医療ですが、以前より窓口は広がっているのです。
「自分にはドナーがいない」
「ドナー候補は血液型違うから」
「ドナーの年齢が高いからできない」
というのは、ひょっとすると数十年前の認識かもしれませんよ。
何か疑問がある場合は、ぜひ周りの移植に理解のあるドクターや、移植患者さんへお問い合わせください。
東京女子医大移植者の会(あけぼの会)でも相談を受付けていますので、何なりとお問い合わせください。
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