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基礎知識

血液濾過透析(HDF)入門

2019.10.9

文:じんラボスタッフ

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監修:南青山内科クリニック 腎臓内科 院長 鈴木孝子 先生

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通常の血液透析では十分に除去しきれない大きめの物質を取り除ける血液濾過(HF)と、血液透析を組み合わせた療法が血液透析濾過(hemodiafiltration: HDF、以下HDF)です。「オンラインHDF」などという言葉は聞いたことがあるのでははいでしょうか。
血液を体外に取り出し、透析器を介して老廃物や余分な水分の除去などのを行うという点では血液透析(HD)と同じです。血液透析は「拡散」という現象を主に利用して血液を浄化します。これに「限外濾過」という原理をさらに加えて、血液透析より多くの老廃物を取り除くことができる治療がこのHDFです。一般的には以下のような効果があると言われています。

HDFの効果

  • かゆみ、皮膚乾燥の減少
  • 透析アミロイドーシスの改善
  • レストレスレッグス症候群の改善
  • 貧血の改善
  • 透析困難症の改善
  • 関節痛、倦怠感、食欲不振などの解消

2012年に診療報酬が改定ですべての患者さんに対して実施可能になり、患者数は急増、2017年末時点の透析医学会の調査では、約3割程度の透析患者さんがHDFを受けています。

HDFを施行した理由

出典:日本透析医学会(2013年12月31日現在)『わが国の慢性透析療法の現況』


HDFの血液を浄化するしくみ

拡散と限界濾過、半透膜を通過するしくみの違い

血液透析は液体の濃度差によって濃度が高い方から低い方へ物質が移動する現象の「拡散」という現象を主に利用して血液を浄化します。血液濾過(HF)は「限外濾過」という原理を用います。

醤油やインクなどを水に垂らすと、混ぜなくても勝手に広がって最終的には全体が均一な濃度になります。これが「拡散」です。拡散で水の中で均一になる物質は小さな物質です。その物質より大きな穴が空いた半透膜を仕切りにした容器の片方に血液、もう片方に水(透析液)を入れて半透膜を通じて血液と触れさせると、小さな物質は半透膜を通るので小さい物質の濃度は均一になります。血液透析は、その水側を捨てることによって血液を浄化しています。

「拡散」を利用した血液透析(HD)のしくみ

「拡散」を利用した血液透析(HD)のしくみ

「限外濾過」は、半透膜の穴を通らない大きめの物質を通過させるために、圧力をかけます。大きめの物質はこの原理で半透膜の透析液側に移動します。その際、水分も移動し血液中の水分が減るので、相当分を補充します。

「限外濾過」を利用した血液濾過(HF)のしくみ

「限外濾過」を利用した血液濾過(HF)のしくみ

この「拡散」と「限外濾過」を組み合わせた療法がHDFです。それぞれのメリットを活かし、デメリットを補う治療です。
血液透析で血液を浄化する透析器はダイアライザを使用しますが、HDFの場合はヘモダイアフィルタという透析器を使用します。構造はほぼ同じですが、ヘモダイアフィルタの方が血液に水を加えてその分抜くため、水を通しやすくなっています。


HDFの種類

HDFで利用する原理「限界濾過」で圧力をかけると血液中の水分が減っててしまうため、除水すべき水分量以上減った分の水分を血液に補充する必要があります。その補充する水分(補充液または置換液と言います)の種類とタイミングが2種類ずつ、種類の方法があります。

HDFの種類

HDFの種類_オフライン

HDFの種類_オンライン


オフラインHDFとオンラインHDF

オフラインHDFで使う補充液は市販のバッグ式のもので、バッグを血液回路につないで水分を補充します。オンラインHDFは完全に浄化した透析液を補充液として利用する方法です。以前はオフラインが主流でしたが、装置や技術の進歩などにより現在ではオンラインを用いた施設が増加傾向にあります。オフラインの場合は補充液のバッグを準備する必要があり補充液の量に費用面と手技的に限界がありますが、透析液を清浄化するオンラインの場合は大量に補充液を使用でき、その分血液を浄化できるということになります。どんどん点滴できれいな水を入れて、その間ぐんぐん血液を濾してきれいにできるというわけです。


前希釈法と後希釈法

限界濾過を利用した血液濾過(HF)では、圧力をかけて血液を濾すわけですから、圧力をかけた分だけ水分も移動して、血液中の水分が減ります。除水すべき水分量以上減った場合、血液に水分(補充液)を補充します。
前希釈法では血液を浄化・調整するヘモダイアフィルタの前に血液に水分を補充します。補充した水の分だけ血液は薄まるため物質を除去する効率は低くなりますが、フィルターとしての半透膜の目詰まりは起こりにくく性能が保たれやすい方法です。

前希釈法と後希釈法

後希釈法では血液をそのままフィルターに通すため物質の除去効率は高いと言えます。しかし、その分の細胞の働きを助ける蛋白質のアルブミン(Alb)も多く取り除かれるため、HDFでは患者さんの状態に応じてヘモダイアフィルタの選択を含むさまざまな治療法の検討が必要です。

参考

  • 小尾口 邦彦 (著)『こういうことだったのか!! CHDF』中外医学社 (2018/2/27)
  • 一般社団法人 日本透析医学会 統計調査委員会『わが国の慢性透析療法の現況 2017年末の慢性透析患者に関する集計』
  • 『透析ケア 2019年2月号(第25巻2号)特集:HD、PD、HDF、オーバーナイト…etc 透析療法 いろいろ比べる図解ナビ』メディカ出版 (2019/1/11)
  • 大橋 靖, 酒井 謙『腎代替療法のオプション選択と導入時期 (特集 一般内科医のための腎疾患AtoZ ; 病期からみた腎臓病治療(CKDとAKI))』内科 114(1):2014.7 p.49-53

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