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移植者からみた最近の移植事情とは?【第1回】
腎臓移植のドナーは誰がなれる?
2016.7.28
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こんにちは、生体腎移植を受けてから21年目を迎えた「ある」です。
私が腎臓移植を受けた当時は10年生着率が50%といわれていた中で、よく持ってくれています。感謝でございます。
さて、今回から腎臓移植に関する連載を書かせていただくことになりました。
一部の透析施設を除き、腎臓移植に関する情報や移植患者の生の声を聞くチャンスはかなり少ないというお声をよく耳にします。
また、なかには間違った情報を発信している透析施設もあるようです。
この連載では、患者会活動を通じて得ることができた最新の腎臓移植の状況や、患者さんの声を元にお伝えできればと思っています。
第1回目は「腎臓移植のドナーは誰がなれる?」というテーマです。
腎臓移植の生体ドナーは誰がなれる?
親・兄弟・夫婦・友人は可能?
移植はドナーがいなければ成立しない医療ですが、生体ドナーになれる人は限定されています。では、誰がドナーになれるのでしょうか?
日本移植学会のガイドラインによると、血族の場合6親等以内、姻族の場合3親等以内の親族に限られています。どんなに仲がよい友人が善意でドナーになってくれると言っても、日本ではドナーになることはできません。
6親等とはどんな関係なのか、国民的アニメ「サザエさん」の一族を例に説明します。例えば、タラちゃんが慢性腎不全になった場合、両親であるマスオとサザエはもちろん、叔父、叔母であるカツオ、ワカメ、祖父、祖母である波平、フネ、名前は不明ですがタラオの曽祖父母、そして、はとこのイクラちゃんまで理論上ドナーになることが可能です。
では、実際には誰がドナーになることが多いと思いますか?
「そりゃ、やっぱり一番近い両親がなっているんでしょ?」と思われる方も多いと思います。ちなみに私のドナーも母親でした。
確かに両親のどちらかがドナーとなるケースは多いです。しかし、最近では夫婦間での腎臓移植が非常に増えてきており、某施設では親子間での移植と同等か、夫婦間での移植の方が、件数が多くなってきている程です。
この背景には、両親がドナーになるような若い腎臓移植希望者は減ってきており、反対に50代、60代の移植希望者が増えてきているという理由があります。
最近の統計では、透析導入時の平均年齢は60歳を超えており、これから腎臓移植をしたいと思っている人自体が高齢化しているのです。
そのため、子どもも自立し、これからの余生は夫婦で一緒に元気に暮らしたいという希望から、夫婦間で腎臓移植をされる方が増えてきているらしいのです。
「自分の両親は高齢だから移植は無理」と諦めていた場合には、一つの選択肢になりますね。
その他にも、私の周りで多いのはご兄弟がドナーになってくれた方です。以前は兄弟姉妹がドナーとなるのが一番相性が良いとされていました。また叔父や叔母がドナーになってくれたという方も例は少ないですがいます。
ご夫婦以外の姻族の方がドナーになることもあります。
私が知っている限りでは、旦那様のお母様(義母)から腎臓をいただいた方がいらっしゃいます。最初に聞いた時はびっくりしましたが、今はお子様も誕生されとても幸せそうです。また、奥様のお母様(こちらも義母)から腎臓をいただいいた会社の社長さんもいらっしゃいます。このお義母様とは、先日患者会の旅行中にお話をする機会があったのですが、「私の腎臓をあげたくて、あげたくてしょうがなかった。義息子に腎臓をあげられて本当にうれしい!」とおっしゃっていました。まだまだこのような例は少ないと思いますが、血族以外の方でもドナーになれるということは、頭の片隅に入れておいてもいいでしょう。
今回はあくまでレギュレーションとして「誰がドナーになれるのか?」を説明させていただきました。次回は「レシピエントとドナーの血液型の関係」について、相性的なところを中心に説明したいと思います。
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