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主な腎臓病
2013.4.1
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糖尿病性腎症:とうにょうびょうせいじんしょう
糖尿病が原因で徐々に腎臓の機能が低下していくのが糖尿病性腎症です。糖尿病になると腎臓や眼底など全身の細い血管が壊されます。このとき糸球体や糸球体以外の腎臓の血管も侵され腎不全に至るのが糖尿病性腎症です。腎臓以外にも眼底や心臓、脳の血管、手足の神経など全身多くの臓器に異常を伴います。
慢性糸球体腎炎:まんせいしきゅうたいじんえん
多くの場合、少年期以降に腎臓の糸球体と呼ばれる血液から尿をふるい分ける部分に異常が生じて発症する病気です。多くは免疫の異常で糸球体の構造が破壊され、徐々に腎臓の働きが悪化します。他の病気が原因ではなく、糸球体自体に異常が生じるのがこの病気の特徴です。
IgA腎症:あいじーえーじんしょう
IgA腎症は、日本ではもっとも多い慢性糸球体腎炎です。IgAというガンマグロブリン(免疫を担っている蛋白質の一種)が腎臓の糸球体の中に沈着し、糸球体が炎症を起こしている病態です。初期には無症状で腎臓の機能も正常なため、健康診断での血尿や蛋白尿から発見されることが多くなります。
多発性嚢胞腎:たはつせいのうほうじん
両親のいずれかに腎臓病があり、子供にも同じ腎疾患があらわれる場合、遺伝性腎疾患といいます。多発性嚢胞腎は遺伝性腎疾患の一つです。腎臓に嚢胞という尿に似た液体が溜まった袋が多発し、年齢とともに大きくなります。嚢胞の数が増して大きくなると本来の腎臓の働きをする部分が少なくなり腎不全に陥ります。
腎硬化症:じんこうかしょう
高血圧や動脈硬化が原因となって腎臓の働きが悪化する病気です。高血圧は糖尿病と同様に全身の血管に障害を与え、動脈硬化を進行させます。慢性糸球体腎炎など高血圧以外の原因で慢性腎不全となった方も、通常腎臓が悪くなると血圧が上昇することが多いため、原因疾患が糸球体腎炎か腎硬化症か区別がつかないことが珍しくありません。腎臓に異常が見つかる前に高血圧であったか、家族の人に高血圧があったかなどの情報が判断材料となります。
慢性腎盂腎炎:まんせいじんうじんえん
再発する膀胱炎から細菌が腎臓に住み着き、その細菌が長年炎症を繰り返して徐々に腎臓の働きを悪化させる病態です。突然高熱が出て腰が痛くなったり、尿の中に膿(白血球)が混ざっていたりしますが、症状が見られない人も珍しくありません。膀胱から腎臓に移動してきた細菌が住み着きやすい腎臓の出口部近くを腎盂といい、細菌による炎症が繰り返し長期間持続することから、慢性腎盂腎炎と呼ばれています。
急速進行性糸球体腎炎:きゅうそくしんこうせいしきゅうたいじんえん
血尿、タンパク尿、貧血などが起こり、数週間から数ヵ月で腎臓機能低下が進行して腎不全に至る病気です。乏尿、むくみ、高血圧のほかに、全身の血管の激しい炎症(全身性血管炎)による症状として、発熱、倦怠感、関節痛、筋肉痛などを伴うこともあります。感染症や膠原病などいろいろなものがきっかけとなりますが、自己抗体や免疫複合体が糸球体の基底膜に沈着することから発症します。急速に進行する病気なので、早期発見、早期治療が大切です。
ループス腎炎(SLE腎炎):るーぷすじんえん(えすえるいーじんえん)
膠原病の一種で、全身に炎症が起こるエリテマトーデス(SLE)という病気でできる抗原抗体の複合物が腎臓の糸球体に沈着して、炎症を起こすのがループス腎炎です。全身性エリテマトーデスの患者の約90%以上がかかるとされています。症状は、微熱や倦怠感などの全身性エリテマトーデスにみられる症状のほか、タンパク尿、血尿、むくみなどが現れます。症状がひどい場合は、ネフローゼ症候群を示すこともあり、腎臓の機能が低下する場合もあります。
ネフローゼ症候群:ねふろーぜしょうこうぐん
簡単に言うと、蛋白尿が大量に出ている腎臓病です。腎臓病の多くに蛋白尿がみとめられますが、そのなかでも1日3g以上の比較的大量の蛋白尿(健康人においては最大でも1日の蛋白尿は0.3g以下、通常の腎臓病では1日1g前後)がみられる場合は、どのような腎臓病であってもネフローゼ症候群と呼ばれます。(蛋白尿が大量に出る結果、さまざまな異常が起こるため、「症候群」と呼びます。) ネフローゼ症候群は大きく2つに分けられています。腎臓そのものに主たる原因があり、腎臓以外の臓器はほとんど障害を受けていない原発性(一次性)ネフローゼ症候群と、腎臓以外の臓器あるいは腎臓をはじめとするいくつかの臓器に障害がみられる二次性ネフローゼ症候群です。
参考
- 飯野靖彦(2010)『世界で一番やさしい腎臓病』エクスナレッジ
- 秋澤忠男(2008)『腎臓病と最新透析療法—より快適な透析ライフを送るために』ゆまに書房
- 川村 哲也(監修)(2012)『図解でわかる腎臓病』主婦の友社
- 高久史麿(総合監修)、猿田享男(総合監修)、北村惣一郎(総合監修)、福井次矢(総合監修)(2010)『六訂版 家庭医学大全科』
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