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代表的な腎臓病や腎疾患
最終更新日
2026.3.25
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はじめに:透析導入のおもな原因疾患
腎臓の疾患はさまざまありますが、かつてはバラバラの病気と考えられていました。しかし、現在は「腎臓の機能が低下している状態(慢性腎臓病[CKD:Chronic Kidney Disease、以下 CKD])」という共通言語(概念)で捉えられるようになりました。
では、具体的にどのような理由で腎臓がダメージを受けてしまうのでしょうか。透析導入の背景にある主な疾患を、4つの視点からわかりやすく解説します。
2024年導入患者の原疾患
| 糖尿病性腎症 | 37.6% |
|---|---|
| 慢性糸球体腎炎 | 13.5% |
| 腎硬化症 | 19.1% |
| 多発性嚢胞腎 | 2.5% |
| 慢性腎盂腎炎、間質性腎炎 | 0.6% |
| 急速進行性糸球体腎炎 | 1.5% |
| 自己免疫性疾患に伴う腎炎 | 0.5% |
| 不明 | 15.4% |
日本透析医学会統計調査委員会「わが国の慢性透析療法の現況(2024年12月31日現在)」より
1. 「生活習慣」が関わるもの
血管への負担が蓄積し、フィルター(糸球体)が徐々に硬くなっていくタイプの疾患です。
糖尿病性腎症
日本の透析導入原因の第1位
長期間、血液中の糖分が高い状態が続くと、腎臓にある細い血管がダメージを受け、血液をろ過するフィルター(糸球体)が壊れてしまいます。初期は自覚症状がありませんが、進行すると尿にたんぱく質が漏れ出し、老廃物などを排泄できなくなります。糖尿病性腎症は、現在日本の透析導入原因の第1位であり、血糖値のコントロールと併せて、早期から腎臓を守る対策を行うことが非常に重要です。
腎硬化症
高血圧により腎臓の血管が硬くなる
高血圧によって腎臓の血管に圧力がかかり続け、血管が硬く細くなる、つまり腎臓の血管が動脈硬化を起こす病気です。血管が狭まると腎臓に送られる血液が減り、腎臓の組織が少しずつ壊れて機能が低下します。高齢化に伴い、糖尿病性腎症に次いで増えている疾患です。血圧を適切に管理することは、腎臓の血管を守ることに直結するため、日々の減塩や血圧測定が大きな支えとなります。
2. 「免疫や炎症」が関わるもの
本来は体を守るはずの免疫が暴走したり、細菌感染などで炎症が起きたりするタイプです。
慢性糸球体腎炎
IgA腎症など
腎臓のフィルターである糸球体に慢性的な炎症が起きる病気の総称です。代表的なものに、免疫の異常が関わる「IgA腎症」があります。本来体を守るはずの免疫物質が、誤って腎臓を攻撃してしまうことで炎症が続きます。自覚症状はほとんどありませんが、健診で血尿や蛋白尿で発見されることが多いという点が特徴です。現在は治療法が確立してきており、早期発見できれば専門的な治療によって寛解(落ち着いた状態)の可能性もあります。
急速進行性糸球体腎炎(RPGN)
数週間〜数ヵ月で急激に進行する
数週間から数ヵ月という非常に短い期間で、透析や腎臓移植が必要になる末期腎不全に至る病気です。免疫の異常によって体が自分の血管や腎臓のフィルター(糸球体)を攻撃してしまいます。早期にしっかり治療を行うことで、腎臓の機能の低下を食い止めたり、回復させたりできる可能性があります。
自己免疫性疾患に伴う腎炎
ループス腎炎など
全身性エリテマトーデス(SLE)などの「自己免疫疾患」によって、腎臓に炎症が起きる状態です。自分の体を守る免疫が、全身の臓器を敵とみなして攻撃してしまい、その影響が腎臓に及んだものを指します。腎臓だけの問題ではなく、全身の病気のひとつとして現れるため、主治医と連携して全身の免疫の状態をコントロールしながら、腎臓の機能を守っていくことが大切です。
慢性腎盂腎炎、間質性腎炎
細菌や薬剤などの影響による炎症
細菌感染による炎症(腎盂腎炎)を繰り返したり、お薬の副作用やアレルギーなどで腎臓の通り道(間質)に炎症が起きたりする病気です。これらが慢性化すると、腎臓の組織が硬くなり機能が落ちてしまいます。特定の薬を飲み始めてから尿の様子がおかしいと感じた場合などは、早めに相談することが大切です。炎症の原因を取り除き、腎臓へのさらなるダメージを防ぐことが治療の柱となります。
3. 「遺伝」が関わるもの
遺伝的な要因により、腎臓に「嚢胞(のうほう)」という水の袋ができてしまうタイプです。
多発性嚢胞腎(PKD)
遺伝的な要因によって、腎臓に「嚢胞(のうほう)」と呼ばれる水の袋が多数できる病気です。年齢とともに嚢胞は大きくなり、数も増えることで、腎臓の機能が徐々に低下していきます。腎臓以外の臓器にも嚢胞ができることがあり、高血圧をはじめとするさまざまな症状を引き起こすことがあります。
進行を抑えるためには、減塩・血圧の管理・適切な水分摂取といった生活習慣の見直しが大切です。 専門の治療薬があり、その薬を飲むことによって進行を遅くすることも可能です。ただし指定された医師から処方を受ける必要があります。この病気は指定難病に認定されており、条件を満たせば治療費の助成を受けられる場合があります。
4. 「加齢」が関わるもの
長年の負担の積み重ねにより、少しずつ機能が低下するタイプです。
加齢に伴う腎臓の機能低下
腎臓は一生休まず血液をろ過し続けるため、加齢とともに、その働きは少しずつ低下していくことがあります。これは、特定の病名がつくものではありませんが、髪が白くなったり、視力が徐々に衰えたりするのと同じように、年齢を重ねる中で多くの人にみられる自然な体の変化のひとつです。
参考
- 一般社団法人 日本腎臓学会『CKD診療ガイド2024』(2026/3アクセス)
- 一般社団法人 日本腎臓学会『患者さんとご家族のためのCKD療養ガイド2024』(2026/3アクセス)
- 一般社団法人日本腎臓学会『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』(2026/3アクセス)
- MSD(Merck & Co., Inc.)『MSDマニュアル』(2026/3アクセス)
- 公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター(2026/3アクセス)
- 一般社団法人 日本腎臓学会(2026/3アクセス)
- 米国国立衛生研究所(NIH:National Institutes of Health)(2026/3アクセス)





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