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透析ライフガイドブック「患者がつくった透析のほん」シリーズ
2019.9.24
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「もうすぐ透析です」「そろそろ透析です」「透析導入です」などと言われた方の不安に向き合い寄り添う、ど真ん中のガイドブックです。
もくじ
「患者がつくった透析のほん」ができました!
透析に関する情報は書籍やインターネットなどにいくらでもあります。それはとても良い環境ですが情報量が多いだけに、何が必要な情報なのかが分からなくて、余計混乱することもあります。
透析導入時に、「まず知っておくべき情報」だけを掲載したガイドブックをつくろう。その情報とは何なのか、最も分かっているのは先輩患者です。
現在透析患者である私たちが透析導入の際に「もっとあのことを知っておけばよかったのに…」「これをやっておいて良かった!」という経験や知見が最も役立つのではないか、と考えたことがきっかけです。
「患者がつくった透析のほん」の第一弾は、透析導入間近の方を対象にした「はじめての透析」①〜③の3冊です。いずれも透析導入前に知っておいていただきたい内容ですが、段階に合わせて少しずつ読み進められるように3部に分けました。
はじめての透析① そろそろ透析です、と言われたら
透析導入に向き合うにあたって、気持ちの整理やの心構え、生活の変化への適応になどへのヒントが詰まっています。
目次
- これから起きること
- 生活の変化への適応
- ライフスタイルを再編成するために
- ご家族の方へ
- 正しい情報を収集して活用しましょう
- 医療費助成制度や社会保障制度
はじめての透析② シャント作製と維持透析
長く付き合う相棒のシャントに関してや、治療の一環としての自己管理はどうすればいいのかなど、透析のある日常生活を過ごすための内容です。
目次
- 腎代替療法について
- 透析治療を知る
- シャントを知る
- 食事や体重の自己管理
- 先輩患者の自己管理の工夫
- 維持透析の施設選び
- 透析ライフの必需品
はじめての透析③ 透析導入入院と日常生活
自分がどんな治療を受けているのかを知り、積極的に治療に向き合うことはQOL(生活の質)の向上にも役立ちます。いわゆる「おまかせ透析」にならないようにするための一冊です。
目次
- 透析のしくみ
- 透析患者さんの定期検査
- 透析の合併症
- 透析患者さんと薬
- しっかり透析を知る
- 透析と出張や旅行/透析と災害
- 透析中の過ごし方
- 医療者と良好なコミュニケーションを築くために
- 患者会・患者団体
一人でも多くの不安を抱えた方にこの"ほん"を届けたい
〜お申込みはこちらから
構想から約2年、多くの皆さまのご支援とご協力をいただき、2019年8月末に「患者がつくった透析のほん」が完成しました。ここで改めて感謝申し上げます。
より良いものにするために、妥協せず丁寧に進めたため予定よりも完成が遅れました。それでも実物を手にすると、多くの方々からのご寄付やご支援・ご協力があってこそ出来上がったという感慨深さと、心から感謝の気持ちで胸がいっぱいになります。
この「患者がつくった透析のほん」は、正しい医学的な知識を身につけることよりも、透析のある生活を豊かに送るための「ライフガイドブック」としての役割を主な目的としています。そのために当事者である透析患者での制作委員会を組織し、検討に検討を重ねました。
制作委員の共通した想いは「透析になっても大丈夫だと、まず安心してもらうこと」。
自分の導入時期を振り返って「あの時こういう事を知っておけば、より不安を軽減できたのではないか」「透析を導入したての今だからこそ、早めに知っておくべき」などといったことを話し合い、優先順位をつけ1つ1つ内容を詰めました。
また、主旨にご賛同いただいた100名を越える透析患者の皆さんのアンケートを通しての回答も盛り込んでいます。このように「患者がつくった透析のほん」は、文字通り自分の経験と知見を役立てて欲しいと願う多くの先輩患者の想いが詰まった本です。
これから透析をはじめる方の不安に希望の光を灯し、サポートする役割を本書が担えたらと思っています。手にされた方はぜひ、お守りのようにいつも近くに置いてください。
多くの皆さんの想いが詰まった「活字のピアサポート」とも言えるこの“ほん“を「一人でも多くの必要な方にお届けしなければ!」と、思いを強くしています。
「患者がつくった透析のほん」は、医療者から必要とされる方に手渡していただくことを目的に制作されていますので、医療施設で配布しご活用いただけると大変うれしいです。
ご希望の医療施設の方は、以下の「医療施設」のボタンより申込フォームにお進みください。
患者さんご本人やご家族など、個人で希望される方は「個人の方」よりお申込みください。
この"ほん"をご希望の方
以下のボタンから申込フォームにお進みください。
【New!】個人の方向けにkindle(電子書籍)版をご用意しました。
冊子版をご希望の方はかかりつけの医療施設にお問合せください。
この"ほん"を手にされた方
率直なご感想やご要望などをお聞かせください!!
お寄せいただいた感想は、より良い「患者がつくった透析のほん」を制作するためと、この冊子を必要とする少しでも多くの「透析導入を控え不安を抱えた患者さん、ご家族」のお手元にお届けするための医療施設への情報提供などに活用させていただきます。
これから透析をはじめる一人でも多くの方が不安を軽くし自分らしい生活を送っていただくため、引き続き「患者がつくった透析のほん」へのご支援をどうぞよろしくお願いいたします!
なぜ透析ライフガイドブックをつくったのか
現在、1年間に約4万人の方が透析を導入しています。そしてその多くは不安を抱えたままの状態での導入です。
2017年10月、透析導入時の心境とサポートについてじんラボ上でアンケート調査を実施しました。その結果、「透析導入に際し、不安を感じましたか」の問いに「はい」と回答した方が68.6%、「透析導入時、最も不安だったことは何ですか」に対しては64%の方が「生活・収入に関して不安だった」と回答しています。
このアンケートから見えてきた課題は、導入後の生活や収入に関する不安を抱えている患者が多いことと、医療者と患者双方の理由により情報伝達が十分でないために不安が生じるということです。
じんラボアンケート 2017/10実施
対象:透析患者(全国・男女年齢不問)
Q1:透析導入に際し、不安を感じましたか(n=105)
Q2:Q1「はい」と答えた方:透析導入時、最も不安だったことは何ですか (n=75)
Q3:医療者から受けた透析の説明や指導は十分でしたか(n=105)
Q4:Q3で「いいえ」と答えた方:説明や指導が十分でないと感じたのははぜですか(n=49、複数回答)
また、導入指導時に医療者から持ち帰られる資料をもらったと約6割の方が回答していますが、導入後の生活を具体的に想定できる情報、受け入れるための心構え、就労に対する不安解消等の本当に欲しい情報は少ないことが、自由記述回答で明らかになっています。
私が直接お会いした方や、じんラボに寄せられたご相談でも「これから透析になると言われたけれど、どうしたらいいのか…」といった、透析導入を目の前にして思考停止してしまい不安だけが募っている方が多くいらっしゃいました。
「透析導入時に不安を募らせる方が多数いる現状を何とかしたい」
「患者とそのご家族の導入時の不安を少しでも減らして、早く自分らしい透析生活を送ってもらいたい」
そんな思い透析をはじめる方向けのガイドブックの制作に着手しました。
「もうすぐ透析です」「そろそろ透析です」「透析導入です」などと言われた方の不安に向き合い寄り添う、ど真ん中のガイドブックです。
制作委員会のご紹介
先輩患者の経験や知見を反映した「患者がつくった透析のほん」にするべく、まず2018年3月に全国の3名の患者仲間に制作委員会への参加を呼びかけました。原疾患や導入の経緯等が異なる、とても信頼のおける患者仲間です。快諾いただき、とても嬉しく心強く感じました。その3名の仲間をご紹介します。
1人目は上野高史さんです。上野さんには「アスペクト比P」のペンネームで、じんラボの立ち上げ当初から長く記事を執筆いただいています。
広島県の患者会活動でも、患者のため透析医療のため精力的にご尽力されています。
上野高史さんプロフィール:中国地方に住むオタク系透析患者。20歳の時にIgA腎症と診断され、忙しさにかまけて6年間ほぼ治療をしないまま放置してしまい、27歳の時に透析導入。今年で透析導入16年目、透析病院での仕事と透析に趣味に透析患者会のお手伝いと走り回っています。
2人目は藤本栄美さん。藤本さんも「りんりん」のペンネームで、マルタ島での透析体験など旅日記を執筆いただいています。
大阪府在住、在宅透析をしながらバリバリ仕事をこなし、プライベートもとてもアクティブな方です。
藤本栄美さんプロフィール:浪花に棲息するフツーのOL(死語)。頻繁な海外往来で高血圧発症、ドクターストップで転職もサービス残業200時間/月とかの無茶が祟り死にかけて、有無を言わせず2008年透析導入に。
現在は2日に1度、夜通し機械に繋がれ穢れた血を浄化しつつ、デイタイムはお仕事にオフタイムはライヴや旅行に飛び回っています。
今日は今日限り。濃密な時間を生きていたい。 更なる自由を求めHHD始めました。
そして3人目はハマーです。埼玉県在住、腎臓病・透析患者のこころのサポート活動のメンバー(ピアサポーター)としても私たちと活動をともにしており、イラストがとても上手でみんなを癒してくれています。
じんラボの記事にたびたび登場しています。
ハマープロフィール:埼玉住みの鍼灸師。多発性のう胞腎で2016年から透析導入。
頭では理解していたつもりでも、感情では納得できず、シャント作成まで半年以上ねばってしまいました。
腎臓病・透析患者のこころのサポート活動に参加中、患者としてのコミュ力はまだまだ修行中。
こうして始動したガイドブック制作委員会。所長の私、ツマのカオリを加えた5名で月に1〜2回のWebミーティングで、どんなコンテンツを載せるべきかの検討を重ねました。面識のないメンバーもいたため、6月に神戸で開催された透析医学会の際に全員で初顔合わせ、焼き肉でキックオフを開催しました。
その後、この患者当事者3名に加えて、日頃から医療関係のお仕事でお世話になっているHealth Communication Facilitator®の吉田智美さん、じんラボの中の人ndecoさんにもご協力いただき制作を進めました。
「患者がつくった透析のほん」の役割と効果
「患者がつくった透析のほん」は、患者だからこそ同じ患者に伝えられることは何かを第一に考えてあります。
- 経験から導き出された対処法やコツ
- 同じ経験をしてきたからこそ、知らなくて困ったこと、後悔したこと
- 折り合いをつけるポイント
- 同じ経験をしたから分かる悩み
- よくある勘違いや失敗談
- 禁止、節制、我慢ではない可能性を広げる工夫
- 置かれている状況に即した、自分が知るべきこと、やるべきこと
- 将来を想像しやすくなるヒント
- 実生活にそのまま活かせること
- 病気と正しく向き合うために知っておくべき知識
そして、常に患者に寄り添うことを目指し、以下のようなことにも気を配りました。
- ショックやパニック状態で身体的に認知力が低下していても理解できる
- 生活の不安を和らげ、困ったときにも安心感を得ることができる
- いつでも手元に置いて見返して使える
導入時に知っておくべき情報を効率よく理解・吸収できれば、より早く透析のある生活に慣れ、前向きに治療に取り組み、自分らしい透析生活を築いくことに繋がると確信しています。この点がこの「患者がつくった透析のほん」の最大の強みです。
「もうすぐ透析です」「そろそろ透析です」「透析導入です」などと言われた方の不安に向き合い寄り添う、ど真ん中のガイドブックです。
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