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医療と生活を支える主な法律の一覧
2022.11.7
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より知識を深めたいときに参照してください。
医療保険および年金保険に関連する法律
健康保険法
健康保険に関する基盤となる法律で、労働者とその家族が病気やけがに見舞われた際の医療給付や保険給付、高額医療費などについて定めています。
1カ月の透析治療の医療費は、患者一人あたり約40万円(外来血液透析の場合)かかると言われますが、健康保険に加入している方は自己負担限度額が月1万円(70歳未満で上位所得世帯※に属する方は月2万円)まで抑えられます。
※上位所得世帯:健康保険加入者の住民税基礎控除後の所得合計額が600万円を超える世帯
公的年金制度に関する法律
病気やケガなどが原因で以前のように仕事ができなくなっても経済的に不安定にならないよう、国民年金や厚生年金、共済年金の被保険者は受給要件を満たすと障害等級に応じた障害基礎年金または障害厚生年金を受給できます。なお、2015年10月から共済年金制度は厚生年金制度に統一され、公務員や私学教職員も厚生年金保険が適用されています。
障害等級は国民年金法施行令と厚生年金保険法施行令で定められており、透析をしている方は原則2級に認定されます。
- e-Gov法令検索「国民年金法」
- e-Gov法令検索「厚生年金保険法」
- 厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」(第12節/腎疾患による障害 P80~83)
障害年金についてはこちらの記事もご覧ください
社会福祉および障害者に関連する法律
障害者基本法
障害者基本法は障害のある人の自立や社会参加を支援する法律や制度に関して、基本的な考え方を示した法律です。国、地方自治体などの責務を明らかにするとともに、医療や教育、雇用の促進や年金の支給など、障害者の自立および社会参加の支援などのための施策の基本となる事項を定めています。 腎臓機能障害は外見からはわかりづらい内部障害のうちのひとつです。
身体障害者福祉法
障害の種別や等級に応じ、国や自治体によるさまざまな福祉サービスを受けられる「身体障害者手帳」制度など、障害者のある人の自立と社会活動への参加を促すための援助や保護に関する法律です。
腎臓機能障害は1・3・4級のいずれかに認定され、身体障害者手帳が取得できます(透析をしている方は大抵が1級に認定)。等級によって、医療費の助成や税金の免除、交通の割引などを受けられます。
障害者総合支援法
障害者基本法に基づき、障害のある人の自立のために、就労支援や居住支援、訪問介護など総合的な支援を行うことを定めています。
この法律による主な福祉サービスには、「訓練等給付」「介護給付」「自立支援医療(更生医療)」「相談支援」などが挙げられます。中でも自立支援医療は、障害を除去・軽減できる治療に対して自立支援医療費を給付するもので、腎臓機能障害に関しては人工透析療法、腎臓移植術(抗免疫療法を含む)が対象です。
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律
障害のある人に「合理的配慮」を行うことを通じて、相互に人格・個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指すために、2016年4月1日に施行された法律です。「合理的配慮」とは、障害のある人にとって社会生活の中で生活しづらい障壁を取り除くための調整や対応のことです。
例えば、透析をしている方の就業時間や業務内容に関して、治療時間や体調が悪い日を回避するなど、本人と話し合いの上で決めることなどが「合理的配慮」と言えます。
障害者の雇用の促進等に関する法律
障害の有無にかかわらず、誰もが社会参加できる共生社会の実現を目指し、障害のある人が地域の一員としてが地域の一員として雇用安定を図るために定めた法律です。
障害のある人を継続雇用するなどした企業は、国から助成金が支給されます。
事業主は法定雇用率に準じて、従業員を43.5人以上(※)雇用する民間企業であれば障害のある人を1人以上雇用する義務があります。また、障害者であることを理由に賃金や福利厚生などで不当に差別することを禁止し、障害のある人に対して「合理的配慮」の提供が求められています。
※人数は2022年10月現在のものであり、今後改訂される可能性があります。
疾病予防・健康増進に関連する法律
健康増進法
健康寿命の延伸や生活の質(QOL)向上を目指し、国民の健康維持と生活習慣病などの予防を目的に制定された法律です。国や地方自治体に対し、健康増進につながる対策や健康相談などの実施を行うよう定めています。
2020年には改正健康増進法が施行され、屋内は原則禁煙となるなど受動喫煙対策が強化されました。喫煙は、慢性腎臓病(CKD)はもちろんのこと、心血管病などさまざまな病気の危険因子です。
がん対策基本法
がんの治療や予防法、早期発見対策などを推進するほか、がん医療格差をなくすための環境整備などを盛り込んだ法律です。1984年以降、日本人の死因1位は悪性新生物(がん)であり、透析をしている方は免疫力の低下などによりがんの発症リスクが高くなるといわれています。
がん対策基本法では、がんと診断されても安心して生活できるよう、企業に対してがん患者を継続して雇用するよう配慮を求めているほか、がん検診の実態把握やがんに関する教育の推進等を求めています。
臓器の移植に関する法律
腎臓移植は、腎臓病を根本的に治療できる唯一の手段です。
2010年に改正臓器移植法が施行されたことで、親族を優先した臓器提供や15歳未満の脳死臓器提供などが可能となりました。
臓器移植法についてはこちらの記事もご覧ください。
子どもの慢性的な疾病に関連する法律
児童福祉法
18歳未満のすべての子どもの福祉の保障や健全育成を基本理念とした法律です。
児童福祉法で規定する障害をもち、治療や手術によって改善が見込まれる子どもは、障害者総合支援法に則って自立支援医療費を受給でき人工透析療法、腎臓移植術(抗免疫療法を含む)が対象です。
特別児童扶養手当等の支給に関する法律
障害のある子どもを対象に、保護者や養育者に支給される「特別児童扶養手当」を定めた法律です。特別児童扶養手当は、子どもが20歳になるまで障害の等級に応じて支払われます。
高齢者に関連する法律
高齢者の医療の確保に関する法律
75歳(一定の障害がある人は65歳)以上の後期高齢者に安定した医療を提供するために、後期高齢者医療制度の創設や保険者による健康診査、医療費適正化推進計画などを定めた法律です。医療費適正化推進計画では、糖尿病性腎症患者の重症化を予防するための取り組みとして、保険者が医療機関や薬局などと連携して保健指導を実施することを推進しています。
介護保険法
訪問介護や訪問リハビリテーションのように、介護にかかる費用の一部を給付する制度(介護保険制度)を定めた法律です。
65歳以上の方、または40〜64歳で糖尿病性腎症や脳血管疾患など厚生労働省が定める16の特定疾病に該当し介護が必要と認定された方は、訪問介護や福祉用具のレンタル、住宅改修工事などの介護保険サービスを受けることができます。
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