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【第6話】趣味の話し・自転車
2013.9.17
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透析を受けられている方で多くの方が体を動かすことやスポーツをしたりする事には躊躇があるのではないかなと思います。私もかつてはそうでした。保存期14年の間、激しい運動は全くしたことがありませんでした。激しい運動をすれば透析が早まる、歩くスピードもゆっくりとし、早歩きなどしないようにとまで、あるお医者さまに言われたことがあります。
しかし透析が始まってしまえば運動の制限をする必要は無いように思います。もちろん際限なく運動をするのはよくないと思いますが、全く運動をしないということになれば、血圧や中性脂肪など腎臓以外のところが悪くなってしまいます。
軽い運動というとウォーキングなど始める方も多いと思います。私も最初はウォーキングから始めた口ですが、もともと膝や腰が弱くて、少し長く歩くと膝や腰の痛みがひどくなってしまう。私の場合、結局それは長く続かないんですね。でも青空の下、軽やかに風を切って、自然の多い景色を見ながら走りたいという願望は強かったです。それで始めたのが自転車でした。
最初、Dahon社のボードウォークという小さな折りたたみ自転車に乗り始めたのですが、これが小さくても動きが軽快で、初めて走った時でも5、6キロは軽く乗れてしまいました。ほんの小一時間ペダルを漕いだだけで、普段見慣れない初めての景色を見ることができてすごく感動したことを覚えています。
5、6キロが軽く走れてしまうと、次は10キロ、その次は20キロと徐々に走行距離が伸びてきます。自分の足でこれだけの距離を歩いたり走ったりというのはとてもムリですが、自転車だとこれが簡単にできてしまう。もちろん最初のうちは筋肉痛が出てきますが、これも徐々に鍛えられていきます。自分自身の足腰が多少なりとも強くなって行くことを実感できるのは、とても嬉しいですし、毎日、走る景色が変わってくるのは楽しいですね。
私は東京の平和島という所に住んでいますが、最初は隣町の公園、次は池上本門寺、そして多摩川サイクリングロード、次は川崎大師、そして鶴見の沖縄タウン、次は横浜のみなとみらいと、徐々に目的地までの距離が伸びてきました。実際にそこへとたどり着くと楽しくて仕方がありません。自転車が無かったら電車で来るような場所です。自分の足で、自分の力でたどり着くことに達成感を感じたのは一体何年ぶりだったでしょうか。
こんな風にお散歩気分で自転車に乗ることをポタリングと言います。ポタリングでしたら透析を受けられている人でもすぐにチャレンジできると思います。
始めはポタリングでも満足していましたが、今ではロードバイクにも乗ります。ロードバイクはひたすら走るための乗り物で、体を鍛えるための道具と言っても差し支えありません。
私の場合は、多摩川大橋から多摩川サイクリングロードに出て、ひたすら上流を目指します。ロードバイクはその車体構造から体が前傾姿勢になるように出来ています。前傾姿勢をキープしたままペダルを踏み続けると、腕、背筋、腹筋、足は太ももからふくらはぎの筋肉まですべてを酷使することになります。ガス橋、丸子橋、二子玉川を越え、二ヶ領用水までひたすら走れば往復40キロでしょうか。途中、何度も走り続けることが辛くなってくるのに、後少し、後少しとペダルを踏み続けています。家に帰り着く頃は、全身の筋肉がバリバリと音を立てそうにこわばっている。熱いシャワーを浴びて筋肉をほぐし、畳の部屋に体を投げ出した時の解放感は最高です。
ただ、実際のところロードバイクでのトレーニングを土日にすると中二日空きの月曜日はかなり体がきついです。私も透析を受けるまでの月曜日の昼間は結構フラフラすることがあります。そこまで激しいトレーニングはおすすめできないのですが、軽いポタリングであれば健康にはいいと思います。
これから秋になって少し涼しくなると自転車日和になりますね。この時期はリュックにお弁当を入れて、家族3人でポタリングに出かけます。体を動かして汗をかいてお腹を空かせた後に食べるお弁当がまた美味しいのです。
みなさんも是非、気候が良くなったら自転車で近場に出かけてみてください。風が気持ちよく感じることができたら、きっと自転車が楽しくなると思います。でも事故等には十分に注意してくださいね。
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