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【第8話】趣味の話し・文章を書く
2013.11.28
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今から10年ほど前、私はサラリーマンをする傍ら、大阪の南河内にある大阪芸術大学の通信教育部文芸学科に籍を置いていました。30代を過ぎたぐらいから、自分から会社員の肩書きを除いたら一体何が残るのだろう、そんなことを考えていたんですね。
ある時、たまたま空き時間があって、目の前にはメモ用に使っていた原稿用紙の綴りがあったんです。原稿用紙のコマの一つ一つを見ていると無性に埋めたくなってきたのです。私は万年筆を手に取り、その時に頭に浮かんで来たことを次々に書いていきました。書き出したら止まらないのです。気がつけば原稿用紙12枚の文章が出来上がりました。
その12枚の綴りを見てすごく驚いたんです。さっきまでは何も書かれていない原稿用紙に文字が埋められている。自分の頭の中にある考えは目に見ることはできないけれど、こうして書き出すことで形になるのだと。なんだかものすごい文章を書いたような気分になっていました。後から読み返せば、単なる愚痴のような文章に過ぎなかったのですが…。
大阪芸術大学では通信教育部でしたので普段は自宅で教科書を読み、それに合わせてレポートを書いていました。教科は、文芸論、小説論、詩論、戯曲演習、大衆芸能台本などです。大衆芸能台本って漫才の台本を書くんです。さすがは大阪です。また、夏になるとスクーリングと言って大阪へ出向き、教室での授業を受けました。書いたレポートを直接指導してもらったり、他の学生(実に色々な年齢層です)と作品を見せ合ったりしました。
そうした経験が今、何に役立っているかと言えば、長い透析時間を利用してブログを書いていることでしょうか。下の写真は、私が透析を受けているところです。
お腹に木製の書見台を置いています。かなり大きくしっかりした作りですが、重さは軽いので負担にはなりません。これにApple社のiPad mini を載せて片手で文章を打っています。
以前はノートパソコンをクリニックに持ち込んで使っていたのですが、ノートパソコンだと構造的にキーボードの位置が見えづらいのです。身体を起こした状態ならば問題なく使えるのですが、寝ている状態では枕を高くして頭を無理に起こす姿勢を取らなくてはなりません。肉体的な負担が大きいことからiPadに乗り換えました。
iPadやタブレットPCのよいところは、画面にキーボードが表示され文字入力ができることです。これならば上の写真のように寝た姿勢のまま文字を入力することができます。
左腕は穿刺していますので、文字入力は片手で行います。透析の時間はたっぷり5時間ありますから片手でポチポチとゆっくりキー入力をすると時間的には良いのです。ブログの記事を大体1時間位で書き、誤字脱字のチェックなど3、40分で仕上げます。
前置きが長くなりましたが、今回は文章を書くことの勧めです。私は主に透析の時間を利用してブログを書いていますが、ブログに限らず何を書いてもいいのです。小説でも詩でも短歌・俳句でも、自分の書きたいと思えることだったら何でもいいと思います。文章なんて書くのが難しいし、自分は書けないと思う方もいるかもしれませんが、そのとき自分の心に浮かんだことを記録として短い言葉で書く、ということでも良いのです。短い言葉を書き溜めて、後からそれを読んでみた時、自分はこんなことを考えていたのかと驚くことがあるかも知れません。自分の書いた文章は、後から読むと意外な発見があることがあります。
心から湧いて出た言葉は自分自身の結晶であり分身のようなものです。あえて透析について書いてみることはどうでしょうか。私たち透析患者は、人工透析を受けているという事実を心にしまいこんでいることがあります。心にしまいこんだものを言葉に表してあげれば、それは形として理解できるものになります。更に心にしまいこんだものを掘り下げていけば、悪い面ばかりでなく、良かったと思える面も見つかるかもしれません。透析を受けなければ気がつかなかったこともあるのかもしれませんよね。
文章に書き出すということは、実は自分自身の心の中を探求し、整理するということでもあるのです。整理され形になった文章を他の人が見たときに、「自分も同じだ」「私も同じ経験がある」と思ったときに、そこには共感が生まれるのです。
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