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【第4話】家族がいてくれたこと
2013.7.10
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私には妻と息子がいます。3人家族です。
左腕にシャントの手術をしたのが2005年の4月ですから、子供はまだ6歳でした。術後すぐに家族が見舞いに来てくれました。左腕は縫ったばかりの傷が有り、右手にはブドウ糖を送るための点滴が刺さっていました。6歳の子供の目からしたら右手に点滴の針が刺さっている方が衝撃だったらしく、これが透析だと勘違いをしていたようです(笑)。
その翌年2006年9月から都内某クリニックでの維持透析を始めました。思い返せば、子供は7歳の頃から、父は特定の曜日には帰りが遅いという経験をしています。もちろんそれまでも仕事で帰りが遅くなることはありましたから、別段、気にすることも無かったかもしれないのですが、月、水、金と決められた曜日に家に帰ってこない父をどう思うかなと心配したこともありました。月、水、金はかみさんと子供の二人だけで夕食を食べるというのは寂しくないかなとも思いました。
子供が小さい頃は結構遅くまで起きて待っているということがありましたね。まだ体が小さかったので、部屋の隅とか、布団の中にとか隠れていることがよくあって、透析から戻るとまず子供の姿を探すことから始めるなんてことがありました。
まあ、今にして思えば、子供からすれば普通に遅い時間に帰って来る父親のように思っていたのかもしれません。私の左腕に触れる時は注意していましたが、それ以外家では普通に振る舞っていましたし、ちょっと違うのは人よりも飲む薬の量が多いくらいでした。後は、月、水、金は遅い時間の帰宅、土日はいつも家族と一緒にいて遊びに出かけたりサイクリングに出かけたりという感じです。
2009年頃からシャントの状態が悪くなり、血流がきちんと取れないということが続くと入院と手術を繰り返すようになりました。PTA(経皮的血管形成術)による処置が3回、最後はシャントの再建手術でした。この頃から、透析に関連する書籍を読むようになったのですが、最初に手にした本が、佐藤良和著『Drジンゾーの透析療法の初歩』(南山堂)と、バンザイ著『透析バンザイ』(イーホープ)でした。どちらも漫画ですが、前者は医療スタッフ向けに書かれた入門書です。後者はご存知の方もたくさんいると思いますが、透析患者のエピソード満載の人気コミックですね。
私の家族は、これらの書籍を食い入るように読んでくれました。かみさんは元々理系で現在もエンジニアの仕事をしています。子供もその血を引いているのか理化学系は大好きです。この二つの本を手に取ったことで、父親である私が普段、どんな治療を受けているのか初めて分かったようです。
家族で食事が出来る時は、おかずは皆で分け合って食べています。ご飯は普通に食べることができますが、おかずはタンパク質やリン、カリウムの関係で少し減らす必要があります。3人分のおかずを作って二人には少し多く食べてもらうという感じです。子供は今、中学2年生ですから食べ盛りです。必然的に私のおかずの何品かは彼のお皿へと移動します。
私が結婚した時は、まだ保存期ではありましたが、結婚を決意するのは勇気が必要でした。将来に対する不安もありましたが、正直に言えばこの病気と一人で向き合う方が辛いと考えたのです。透析と付き合うことはとても長い期間になります。また、その治療はすごく特殊なことだと思います。でも結婚し、子供もできて、今は家族が支えてくれています。家族がいてくれたので、透析治療は生活のごく自然な流れになったと思います。
家族もよくそのことを自然に受け入れてくれたなと思います。今更ですが家族に感謝です。
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