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透析患者•よしいなをきの日常生活

【第24話】透析を受けるようになって大変だったこと、良かったこと

2015.12.10

文:よしいなをき

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透析を受けるようになって大変だったこと、良かったこと

私が透析を受けるようになって10年になろうとしています。

透析導入時は少し落ち込みもしましたが、もともと好奇心旺盛だったこともあり「どんな治療を受けるんだろう? 」という期待もあり、おっかなびっくりと半分半分くらいの気持ちでした。最初の透析施設は建物は古いものの窓際で室内が明るく、また主治医も明るく話好きの方でしたので、穏やかな気持ちで透析が受けられたのが良かったのかもしれません。

当時の自分が透析をどう受け入れたのかを思い出してみます。
導入直後に会社の上司に今後の治療方法などについて説明していた時にこう聞かれました。
「1回4時間の透析を週に3回も受けるのは、帰りが遅くなってかなり大変じゃないか? 」
それに対して私は「でも、世の中のサラリーマンには週3回くらいは飲んで午前様になって帰る人もいますし、それに比べたらずっと健康的かもしれません」と応えました。上司は自分の過去のことなどを思い返し至極納得していたようでした。

そうはいっても私の透析歴もそろそろ10年、大変なことは色々とありました。導入したばかりの頃は4時間という透析の長さに辟易しましたし、導入1ヶ月後には血圧低下や足のつりも経験しました。この頃は穿刺の失敗で痛みを感じるのはしょっちゅうでした。5年を過ぎるころになるとレストレスレッグス症候群(むずむず足症候群)の症状が出始めてきて、足の中を何か虫が這いずるような感触があって本当に苦しかったです。また足が勝手に動きだすという症状もあって夜は眠れないということもありました。

今では時々中2日空き後の体のだるさが出るくらいで、それまでの大変さはかなり緩和されています。透析を受けていて大変なことはたくさんありますが、それぞれ付き合ってみると少しずつですが解決できているのではないのかと感じています。

塩分や水分のコントロールをきちんと意識するようになってからトラブルは少なくなりました。これができると血圧の低下も少なく、透析後の体への負担が少ないと感じました。思い返すとこの1年は透析中の足のつりは経験していません。

4時間、5時間といった透析の長さの問題も、工夫して自分の時間に置き換えることができれば解決できるのではないでしょうか。私の場合はもっぱら文章を書いたり本を読んだりする時間に充てています。絵が好きな人はこの時間で絵を描いたり、またジグソーパズルなどに充ててもいいでしょう。長いと感じると本当に長く辛いものになってしまいますが、そのうち1時間でも2時間でも自分の時間にできれば、透析の負担感はもっと軽減されます。また透析に時間を盗られていると考えるよりも、体をきれいにするために時間を使っている、その分私の体は元気になっているとイメージすることは大切だと思うようになりました。

透析を受けることはもちろん大切なことですが、それ以上に自分にとって大切なものが何かを考えることも大事です。透析が自分の時間を占める割合が多いので、どうしても透析のことを考えることが多くなってしまいますが、透析によって生きられることで自分や家族、友人など大切な人たちのために何かをしてあげることは本当に大切なことだと思います。仕事や趣味やスポーツ、家族のことでもなんでも、自分にとって透析以上に大切な「何か」があれば、透析をもっと前向きに捉えることができるでしょう。大切な「何か」を守るために主体的に治療に取り組むのではないか、そんなふうに考えています。

透析での多くの負担の中でも、合併症の兆候などが出始めると将来の健康にも不安を覚えます。ですがそうした問題を自分自身の力で解決する課題と捉えて、合併症の予防に努めたり、医療者と共に対策することはできます。困難にめげそうになることもありますが、解決できたときは大きな喜びにもなります。

「解決できた分自分の人生を充実させ、よりよい生き方をしていく」そんなふうに考えられたら、病気のマイナスをプラスに置き換えられます。私自身、そう考えて病気と向き合っていこうと思います。じんラボをご覧の皆さんと共に…。

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よしいなをき

よしいなをき
透析はしていますが普段はスポーツ自転車に乗って 体を鍛えています。
仕事は、平凡なサラリーマンですが、透析の時間を利用して、ブログを書いたり、小説を書いたりしています。

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