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理学療法士ゆうぼーの じんラボ運動療法講座【第22回】
下腿三頭筋の働きと運動療法
2018.1.29
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今回は、「下腿三頭筋(かたいさんとうきん)」についてお話したいと思います。 これは、いわゆる「ふくらはぎ」の筋肉のことです。
下腿三頭筋とは?
「三」という文字が入っているように、下腿三頭筋は3つの筋肉から構成されます。
浅い部分の「腓腹筋」という筋肉が内側と外側の2つあります。これと、深い部分に「ヒラメ筋」があります。
腓腹筋は大腿骨からはじまり、ヒラメ筋は脛骨、腓骨からはじまり、腓腹筋とヒラメ筋が合わさってアキレス腱となり、踵骨(かかと)に付着しています。
下腿三頭筋の役割とは?
足関節の「底屈」という足首を下に向ける運動を行います。
立っている時や歩く時、階段の昇り降りをする際などさまざまな動作の時に働きます。
下腿三頭筋の機能が低下してしまうと…
機能低下とは、筋力低下・筋繊維の短縮・関節の可動性低下などが挙げられます。
下腿三頭筋の筋力低下を起こしてしまうと、歩行する際の推進力がなくなったり、つま先が地面や段差にひっかかったりします。
また、筋肉は使わないと線維が短くなってしまいます。筋肉は伸びたり縮んだりすることで力を発揮しますが、短縮すると伸縮性も失ってしまうので筋力を発揮出来なくなるのです。さらに下腿三頭筋が短縮してしまうと、足首が思うように動かなくなります。
筋力低下や筋線維の短縮が起きてしまうことにより、歩行する際に足がひっかかりやすくなり、転倒しやすくなるので、下腿三頭筋を正常に維持することは、あらゆる動作を行う上で非常に大切なことといえます。
ふくらはぎは第二の心臓
足の先の方は心臓から遠いため血液の循環が悪くなりやすい傾向があります。そのため、ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋がポンプの役割を果たして血行を良好にし、心臓へ血液を送り返す働きをしています。
血液透析中、後半になると足がしびれてきたり、攣(つ)ってしまう経験をされたことはありませんか? これは除水量が多かったり、電解質異常による影響もありますが、長時間同じ姿勢を保っていたことによる循環不全も原因の一つです。
このような時は足首を上下に動かし下腿三頭筋の収縮を促すと、循環が改善しやすくなります。全身の血液循環を良好に保持する上でも、下腿三頭筋の機能を正常に保っておく必要があります。
下腿三頭筋の運動療法
①両足カーフレイズ
この運動は爪先立ちになるのでバランスを崩しやすいため、下の写真のように手すりにつかまり、踵(かかと)を上げ下げする運動を行います。この運動をふくらはぎが攣ったりしない無理のない回数で実施しましょう。
②両足カーフレイズ
これは、②の両足カーフレイズより負荷が強くなります。②に慣れてきたら実施するようにして下さい。
運動方法は②と同じですが、片足は上げたままで行います。片足だけで自身の体重を上げなくてはならないため、負荷が増します。
こちらも、ふくらはぎが攣ったり痛みの出ない範囲内で実施して下さい。
③アキレス腱のストレッチ
下腿三頭筋の短縮予防のためには、アキレス腱のストレッチは不可欠です。下図のようにストレッチする側の足が床から浮かないようにして実施しましょう。
☆筋力強化訓練やストレッチには関節運動が伴います。そのため負荷や強度が適していない場合には、関節痛が生じてしまうことがあります。痛みや違和感が生じた場合は、運動を中止してください。
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