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透析患者•よしいなをきの日常生活

【第13話】水分管理について

2014.5.12

文:よしいなをき

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今回は「ボクの保存期」をちょっとお休みしようと思います。書くたびに長くなってきているので、きちんと今後の構成を考えたかったのです。そこで今回は最近自分の身に起こったことを書こうと思います。

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昨年から無尿状態となりました

透析を始めてから7年くらいの昨年までは、水分管理が厳しいという感じはありませんでした。毎日500mL〜800mLくらいの尿が出ていたことと、暑い季節にはしっかり汗をかいていたからです。食事のたびに飲む水や仕事の時に飲むコーヒーは1日2〜3杯、1日3回の薬を飲む時の水も普通にコップ1杯ずつは飲んでいました。尿が出るのは本当にありがたいことで、あまり水分を管理するという意識はありませんでした。それが昨年の9月頃から急に尿の量が極端に少なくなりました。仕事を辞めるタイミングだったので、さまざまなストレスを感じたことが原因だったのかもしれません。今は完全な無尿状態になりました。

初めのうちは自分自身では気がつかないもので(単にうかつなだけかもしれませんが)、どうも透析のたびに計る体重が重くなるなぁくらいに思っていました。以前は中1日空きで1kgの増加、中2日空きでもせいぜい2kgの増加だったのが、現在は中1日空きでは3kg、中2日空きでは4kg近くの増加になっています。長い間、体重が増えすぎるという経験をしてこなかったので、今まで通りの量を飲んでしまいます。これではやはり体にはよくない。

何がよくないかというと、透析時に体への負担が出てきてしまいます。透析が終わる時間が近づいてくると、どうにも息切れのような負担感がある。特に月曜日の透析はとても疲れるようになりました。文献によると「透析が開始されてからの1日の飲水量は1000mL以下を習慣づける」とあります(「1日の飲水量は800mLに抑える」という文献もあります)。この文献に従えば1日空きでも2日空きでも私の飲水量は多いのでしょう。

なぜ水分管理が必要なのかというと、透析で取り除く水分量が多すぎると透析中に血圧低下を引き起こしたりするからですね。他には水が溜まりすぎて血圧上昇を招いたり、心臓に負担がかかったりします。以前尿が出ていた時は、体重の増加はそれほどではなかったので体への負担はあまり感じませんでしたが、今は出なくなった分も全て透析で取ろうとしていることで体がダイレクトに疲れを感じるのかな、と思います。

尿が出ていた頃と出なくなった今を比べると、この違いは体に明確に現れてきます。いけないのは尿が出ていた頃の感覚で水を飲んでしまうことですね。そこで透析患者の水分摂取についてきちんと調べてみることにしました。


水分管理とは

大切なことは「体に入る水分量」と「体から出される水分量」のバランスを取ることです。

「体に入る水分量」ですが水分は飲料水からだけではなく、食事の中の水分や、摂取した食べ物が消化・吸収されるときに生じる「代謝水」と呼ばれる水分もあります。これらは基本的に血液に取り込まれて、健康な人ならば尿として体の外に排出されます。

「体から出される水分量」は、健康な体であれば尿が一番多いのですが、腎機能が低下するにつれ徐々に減少します。この他に便による排出と、汗・呼吸での排出があります。呼吸によっても若干ですが水分が排出されます。

「体に入る水分量」と「体から出される水分量」 ※図中の「体に入る水分量」はあくまで目安です。厳密な数字は主治医などと相談をして決めることになります。

「体に入る水分量」と「体から出される水分量」 ※図中の「体に入る水分量」はあくまで目安です。厳密な数字は主治医などと相談をして決めることになります。

透析が始まり尿の量が少なくなってくると「体に入る水分量」と「体から出される水分量」のバランスが崩れ、過剰な水分が体の中に溜まっていってしまいます。これがむくみの原因となり、心臓に大きく負担をかけ、心臓に水が溜まってしまい心臓が大きくなるといった重大な問題を引き起こします。このような問題が起きないよう「体に入る水分量」のうち特に飲水量を適正に抑えて、体内の水分量60%となるドライウェイトを保つ必要があります。


透析間での体重増加の目安

透析と透析の間が中1日空きの場合は、ドライウェイトの3%以内、中2日空きの場合は5%以内を目標にして水分摂取量を調節します。次のように計算すると中1日空き、中2日空きそれぞれの目標体重を算出することができます。

透析間での目標体重の目安

・中1日空きの目標体重 = ドライウェイト × 1.03
例)ドライウェイトが60kgの場合:60kg × 1.03 = 61.8kg
(増加できるのは1.8kgまで)
・中2日空きの目標体重 = ドライウェイト × 1.05
例)ドライウェイトが60kgの場合:60kg × 1.05 = 63.0kg
(増加できるのは3.0kgまで)

塩分管理が大切

水分管理に合わせて塩分管理も大切になってきます。人間の体は体内の塩分濃度を一定に保つ機能が働くため、塩分を多く摂取してしまうと体内の塩分濃度を薄めようと体が水分を求めてしまいます。塩分を多く摂ると水分の摂取量が増えてしまうのはそのためです。普段の食生活で塩分を抑えていくことが水分管理の鍵となります。


水分を控えるための工夫

1)マイカップや水筒を常備する

マイカップなどの水分量を計っておき、どれくらい飲めるのか把握して普段から使うようにします。

マイカップ

写真は、私が勤務先に持ち込んでいるシリコン製のボトルです。写真の量で500mL入ります。透明なので中の水分量を把握でき、あとどれくらい飲めるか確認できます。シリコン製なので飲み終わった後はくるくると小さく丸めてカバンにしまうことができます。

2)1日1回体重を計る

朝などの決められた時間に必ず体重を計るようにします。体重の増減を視て、その日はどれくらいの水分補給が可能か把握します。

少し余談になるのですが、私はスポーツ自転車に乗るのが好きで(『趣味の話し・自転車』参照)、夏の暑い日に自転車で出かける前には必ず体重を計ります。また、帰宅した後も必ず体重を計り増減を確認するようにしています。大量に汗をかくことで水分が体の外に出てしまい体重が変化するからです。熱いサウナなど強制発汗で体重を落とすという人の話を耳にしますが、これは血中濃度を濃くし脳卒中や心筋梗塞を起こすリスクがあるそうです。そこで私は、体を動かして汗をかくときは、水の入ったキャメルバッグを背負い、自転車走行中でも随時、水分補給できるようにしています。

キャメルバッグ 写真は愛用のキャメルバッグです。
これをリュックに入れて吸い口の部分を外に出して走行中に口で吸います。

3)アルコールについて

アルコールを飲まれる方は1日の水分量の範囲内で飲むようにします。
私はもっぱらの下戸なので、あまりたしなむことはありませんが、コーヒーの飲みすぎには注意したいと思います。


このように色々と調べてみましたが、あまり細かいことにとらわれ「今日は多かった」「今日は少なかった」と毎日のように気にしていると大きなストレスになりかねません。水分管理にせよ食事管理にせよ、毎日のことですから、たまには失敗する事もある。明日は少し控えるようにしようなどとリラックスした気持ちの方が上手くいくように思います。日々の体重チェックやマイカップの使用など、習慣化して自然にできるようになることが大事ですね。

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よしいなをき

よしいなをき
透析はしていますが普段はスポーツ自転車に乗って 体を鍛えています。
仕事は、平凡なサラリーマンですが、透析の時間を利用して、ブログを書いたり、小説を書いたりしています。

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