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【第3話】安心して食べられるということ
2013.6.11
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皆さんも耳にしていると思いますが、低カリウムメロンが島根大学で開発されました。今年の1月の日経新聞の記事にもなりました。
実はとある医療関係者の方々に、低カリウムメロンの話しをしたところ、知っている人は本当に少なかったのです。「なにそれ!初めて聞いた!」というリアクション。確かに驚くに値することだと思います。だって生の果物が食べられるなんて少し前なら信じられないことです。こういうことは案外患者の方が知っていたりするのかも。
腎臓病や透析を受けている私たちはカリウムやリンの制限を行わなくてはなりません。カリウムの制限で言えば、野菜などは煮こぼしたりすることでカリウムの摂取を抑えることができますが、果物などは煮こぼすことができず食べることを諦めている人も多いのではないかと思います。もしくは果物の缶詰で我慢するとか…。いずれにせよ、こうした新しい試みが実現されるのは朗報だと思います。
私が一番、感心したのは低カリウムメロンの栽培の理屈が分かりやすかったという所でした。普通、果物の栽培は土耕栽培で行います。土の中に含まれるカリウムが根から吸収され最終的に実に蓄積されます。だから果物はカリウムが多いんですね。低カリウムメロンの栽培は水耕栽培でカリウムの蓄積を抑えるのだそうです。植物の一定の成長にはカリウムが必要ですので栽培の最初の段階ではカリウムを含む肥料を使いますが、果実ができる段階でカリウムを含んだ肥料を遮断することで低カリウムメロンが実現できたと言います。
ここからは素人判断ではありますが、この水耕栽培を応用すればその他の果物も低カリウムのものができるのではないかと思います(メロンができるのならばあのスイカだって!)。あ、知っていましたか?メロンを口にしたときちょっとぴりっと感じることがありますよね。実はあれがカリウムによる刺激なんだそうです。つまり低カリウムメロンの味はカリウムが抜けていることで非常にまろやかで一般の人が食べても美味しい。低カリウムをブランドに高級品種として売り出すことも検討されているそうです。普通に果物屋さんに並ぶようになれば、是非食べてみたいですね。
我々の立場からすると安心して食べられるものが増えるのは非常に喜ばしいことです。こうした具体的な取り組みが、患者にとっても医療にとっても本当は正解なのだろうなと私は思います。透析室でよく見られる光景ですが、「◯◯さん、今日もこんなにカリウム高くなっているよ」という台詞はよく聴くことがありますが、本当は安全に食べられるものがきちんと増えてくれれば、こういう指導も少なくなるでしょう。「これなら食べられるよ」という指導が増えてくれば、我々も、医療スタッフも色々なストレスが軽減されるでしょうね。
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