食生活研究室腎臓病・透析に関わるすべての人の幸せのための じんラボ
料理研究家 宮成なみの夢を叶えるごはん日記の作り方
【第2回】突然の発病
2015.8.27
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結節性動脈周囲炎。
これが私の病名です。
人はそれぞれ生まれつき素晴らしい個性を持って生まれてきます。背が低かったり手が大きかったり、一人ひとり顔が違うように十人十色。いろんな個性を持って生まれてきます。私は人とは少し違う個性を持って生まれてきたのだと、お医者さんは言いました。
その名の通り血管が細すぎるがゆえに、毛細血管の先にまるで結び目のような節ができて少しずつ潰れていく病気、それが私の病気なのだと教えてくれました。
発病当時、症状が出たのは腎臓でした。
腎臓はちょうど毛細血管をぐるぐる巻きにして作った毛糸玉のような形をしているため、潰れた血管の分だけ腎機能を失っていました。
体中に張り巡らされた血管を移植して取り換えることなんてできないし、無理やり血管を広げるような薬を使い続けることもできません。先天性のこの病気は親からの遺伝でもなければ、私が子供を産んだとしても子に遺伝することもない。個性として受け入れるしかない、そんな風な説明を受けたような記憶があります。
そして医師は続けて私に言いました。
「現代の医学であなたの病気を治す方法はありません」と。
頭が真っ白になりました。
よく目の前が真っ暗になるなんて言うけれど、本当に自分の容量を超えて受け入れることのできないようなショッキングなことがあると、目の前は黒くなるんじゃなくて白くなるんだな…、なんて先生の声をどこか遠くで感じながら思いました。視界が白くなって、景色が真っ白になって、時間が止まったように感じて本当に何も考えられない。
耳がキーンとする。
どこか遠くから声がする…。
それまでの私といえば本当に健康そのもので、歯医者と風邪くらいしか病院に行くことなんてなくて。好きな人のことで一喜一憂して、他愛もないことで友達と笑いあって、テストの点数を見るたびに凹んで。
本当にどこにでもいる平凡な普通のありふれた女子高校生。
それが私でした。
健康を失うのは一瞬でした。
絶望する私に主治医は続けて言いました。 「現代の医学で、なみちゃんの病気を治す方法はないけれど、唯一…ひとつだけ…病気の進行を遅らせる方法があります。それが食事療法です。」
――― このまま、白い病棟で一生を終えるのか?
それとも本当に小さな希望の光でしかないのかもしれないけれど「食」と言う可能性に賭けてみるのか?
私は16歳で人生の選択に迫られました。
私に選択の余地はありませんでした。
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