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【第13話】感覚が敏感で大変!? 視覚障害をもつミーナのシャント事情
2026.1.13
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今回は、血液透析には欠かせない「シャント」のお話です。私のこれまでのシャント手術、日々の穿刺、PTAの経験、さらには私ならではの「もう一つのシャント」についてお話しします。

手の感覚が敏感すぎて~シャント手術は大騒ぎ~
私の透析は緊急導入だったので、事前にシャントを作って準備をする猶予はなく、まずは頸部からカテーテルを挿入しての透析になりました。
シャント手術はそれから1週間後に予定を組んでもらい、よくわからないままにバタバタと色々な事が決まっていきました。
手術前に医師から、どのような手術なのか、麻酔や手術中のこと、手術後に注意することなどを色々と聞かされました。局所麻酔をする時には注射針がチクッとするものの、手術中は麻酔が効くので痛みはないこと、仮に痛かったら麻酔を追加してもらえることなどを聞きました。不安はありましたが、それほど大掛かりな手術でもなさそうで少し安心していました。
しかしいざ手術が始まると、思わぬ事態になりました。確かに麻酔のおかげで鋭い痛みはないのですが、血管を引っ張られたり、手の中を触られる「鈍い感覚」がはっきり分かり、大騒ぎしてしまったのです。私は生まれつき目が悪いため、その分、手指の感覚が人より敏感です。後で聞いたところ、局所麻酔は皮膚表面の痛みは取り除けるものの、血管や筋肉などの深部感覚は残ってしまうことがあるのだそうです。
結局、点滴で脳に作用する痛み止め(軽い鎮静剤)を入れてもらいました。意識がなくなるわけではありませんが、腕の感覚はまったくわからなくなり、落ち着いて手術を終えることができました。
これから手術を受ける方で、大きな不安のある方、手の感覚が敏感な方などは、こうした麻酔と鎮静剤の併用についても医師に相談してみると良いと思います。
手が小さすぎて~穿刺とPTAの話~

シャント手術で大騒ぎしたミーナ…。肝心の透析治療は大丈夫なのか?
術後2週間ほどで始まったシャントへの初穿刺では、針の太さと金属の棒を血管に押し込まれる感覚にびっくりして泣いてしまいました!
特に、神経がより敏感な前腕から穿刺する脱血側が毎回苦手でした。
しかも私はもともと手が小さい(小学生の頃から大きさがほぼ変わっていない)ため、血管も細かったのです。初回の穿刺では100mL程しか脱血できず、医師も頭を抱えていました。医師によると「視覚障害のため体を大きく動かして遊ぶ機会が少なく、筋肉があまり発達しなかったことも、血管の細さや手の小ささに影響しているのかも」とのことでした。
看護師さんからは、穿刺の痛みを緩和するためのリドカインテープと、シャントを太くするための握り運動用の硬めのスポンジをもらいました。しかし細い血管はなかなか太くならず、シャント作製から1ヵ月も経たずに狭窄してしまい、PTAをやらなければいけなくなりました。
しかもそのPTAも、腕1本をまるごと麻酔して腕の血管全体を広げる大掛かりなものでした。PTAも局所麻酔なので、バルーンで血管を引っ張られる痛みなどは残ります。初回のPTAが終わった後、しばらく腕が痛かったのを覚えています。
それから透析にも少しずつ慣れ、血管も徐々に太くなってきて、穿刺の痛みもあまり感じなくなりました。ただ、PTAは続けており、最初の5年ほどは3ヵ月に1回、現在も約半年に1回行っています。血管が狭くなることがあまりにも多いので、エコー検査で診てもらったところ、なんと血管の石灰化も進んでいることがわかりました。今のシャントは8年ほどもっていますが、いずれは作り直しが必要になるでしょう。
なおPTAは、血管が狭まってきたら早めに行うのが良いようです。ギリギリまで待っていると治療中の痛みがひどくなります。
もう一つのシャント~緑内障のシャント~
さて、実は私の体にはもう一つシャントがあります。
透析とは直接関係ありませんが、同じシャントつながりのお話として読んでいただければと思います。

私には生まれつき先天性緑内障という持病があります。成人がかかる緑内障とは異なり、生まれつきの目の奇形が原因で発症するもので、有病率こそ低いですが、子供や若者の重篤な視覚障害の原因疾患の一つです。
そんな先天性緑内障の治療で、目の中にインプラントチューブを埋め込む手術があります。目の中を流れる水(房水)の循環を確保し、眼圧を下げることで失明を防ぐための、いわば「目のシャント」です。私の目にもこのインプラントチューブが1本入っています。
透析のシャントと同様、外傷や感染に気を付けなければいけないので、保護メガネを着用し、顔は洗顔ではなく清拭で済ませ、目ヤニは消毒綿でふき取るなど、正直わずらわしいです。
今の透析のシャントは8年ほど維持できていますが、目のシャントは何度も作り直しを経験しました。子供の頃に6回、大人になってから2回手術を受け、現在は左右の目にそれぞれ4本ずつシャントが作られています。
子供の頃に作ったシャントは、自分の目の組織を一部切り取って作るシャント(透析で例えれば普通の内シャントと同じようなイメージ)で、大人になってから作ったものがインプラントチューブによるシャント(透析のシャントでいえば人工血管に相当)です。
はじめてインプラントチューブによる目のシャントを作ったのが2012年だったのですが、2024年にチューブ露出(目の外に飛び出る)により感染を起こし、緊急手術で取り出さなければならなくなりました。年末も押し迫った12月27日のことでした。
チューブを取り出してしまうと、目の排水溝がなくなるため、翌日には眼圧が急上昇。このままでは目と脳をつなぐ視神経がすべて潰れてしまう(=完全失明する)可能性が高まったため、透析日だったその日を挟んで、また次の日には、新しいチューブを挿入する手術を受け、なんとか危機を脱しました。
緑内障は典型的な目の慢性疾患であり、一度悪くなった視力や視野を回復させる方法はなく、あくまでも目が悪くならないように予防する治療しかありません。治療は生涯にわたり、末期緑内障になれば、目の治療というよりは目が見えない状態で生活する方法を考えていかなければなりません。
こうして見ると、経過のたどり方は腎臓病とちょっと似てるかなぁとも思えてきます。
どんな病気でも早期発見・早期治療が大切といえますね。
さて、今回は「シャント」にまつわるお話でしたが、いかがでしたでしょうか。腕が細かったり、糖尿病や高齢で動脈硬化が進んでいる方などは、シャントにまつわる苦労も多いのではないでしょうか。シャントトラブルは日々の観察(見る、聴診器で音を聴く、触ってスリルを確認する)や、怪我や衛生面に気を付けること、腕への締め付けや圧迫を減らすことで予防できます。皆さんもシャントの狭窄や損傷などを招かないように気をつけましょう。
シャントについてのおすすめの記事
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