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【第3話】シャント作製の決断から初穿刺までの日々
2025.2.3
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憂鬱な保存期とシャント作製の決断
70歳後半では、腎臓のはたらきを示すGFRはいよいよ10台になり、日常生活でも倦怠感・疲労感を強く感じるようになっていました。ある診察の際、主治医に質問をしました。「男性の平均寿命(81歳)まで、我が腎臓はもつでしょうか?」
すると先生はためらわずに「それは無理です。とてももちません」と答えました。
「もっと先までもつでしょう」という返答への期待は見事に打ち消されましたが、ハッキリ言ってくれたお陰で気持ちが楽になる思いでした。
保存期は、日々感じる強い疲労感や倦怠感から、透析によって早く体調を取り戻したい心境に駆られる反面、毎週隔日に4時間ベッドで拘束されることへの不都合さや不安もあり憂鬱な日々が続きました。
それから3年が経過しGFRが9になった78歳のある日。主治医から「先行きを考えてシャントを作っておきましょう。シャントがなければ、急な透析ではカテーテルを使って大変ですよ」と話をされ、“まな板の鯉”の気分で素直に受け入れて、シャントを作る決心をしました。
早速、シャント作製のために1週間の入院となりました。利き腕である右腕にシャントを作った場合、日常生活に支障が出るのではと不安を感じ、左腕に作ろうと考えていました。たかが血管のつなぎ合わせ手術だと軽く考えていましたが、血管のエコー検査の結果では、右腕は動脈・静脈共に直径3mmあるものの左腕では1.5mmしかなく、基準(2mm以上)を下回るということで、やむなく右腕にシャントを作製することになりました。細い血管で無理にシャントを作っても、早いうちに血管の狭窄か閉塞の恐れがあり、右腕に作るのがベストということでした。
手術は、血管外科医なる専門医が腕の深部にある動脈を表層の静脈につなぐもので、痛くもなく1時間ほどで終了しました。シャントが透析に使えるようになるには手術日から最低2週間かかるというので、その間、シャント側の腕でゴムボールを握り、その弾力を利用して腕の筋肉をつけ血管を太く成長させるための運動を始めました。
入院食は1日の摂取たんぱく質40g以下で調整され、3食すべてが低たんぱく食、薄味で煮物が主体、汁ものはなく味気ないものでした。しかしカロリーアップのために毎食ハイカロリーのゼリーがついていました。
シャント作製から半年が経過したある日、主治医に「体調はどうですか。食欲はありますか」と聞かれました。この頃、GFRは7にまで悪化しており、日々強い倦怠感と疲労感で体調は最悪でした。食欲が大きく減退し、せいぜい麺類が食べられる程度で、体力も大幅に落ちていました。
私は、「もう限界です」と答えました。
透析導入の入院と初穿刺のトラブル
早速、透析導入のために入院の手配をし、1週間の入院生活がまた始まりました。まさに、あのときの主治医のセリフ「平均寿命までもちません」通りになったのです。
入院1日目、病院での2回目の栄養指導がありました。保存期だった前回とは異なり、今回は透析導入後に向けた指導です。透析では毒素や水分とともに大切な栄養素も抜けるため、摂取すべきたんぱく質量は大幅に増え50g以下、カロリーは1,800kcal以上、量的制限がこれまでの塩分6g以下に水分が経口で700cc以下、カリウム2,000mg以下、リン750mg以下が加わりました。透析生活ではバランスのとれた栄養摂取が寿命に直結する極めて大事なものと知らされました。
また、主なたんぱく源となる主菜は手のひらサイズ(60~80g)、エネルギー源となる主食はご飯180g、副菜は約100gが一食分の目安で、リンが多い乳製品・加工食品・インスタント食品や、カリウムが多い果実も量を控えるよう指導を受けました。
入院2日目、院内の透析センターで初めての透析が行われました。しかし、この時点ではシャントの血管はまだ太く成長していなかったためか、医師が穿刺時に血管を損傷してしまい、大量の内出血を起こすこととなりました。痛みはありませんでしたが、内出血の影響で右腕の皮膚は大きな入れ墨を入れたかのような赤紫模様ができ、この色が消えるまで約1ヵ月を要しました。
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