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【第12回】
大切なシャントと長く付き合う
2015.10.5
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私はこの秋で透析を始めて14年目に入ります。その間にシャントの閉塞で左腕にメスを入れたのが10回以上。感染を起こして一部の血管を切除したり、一時期は利き手側である右手にシャントを作ったりとなかなか安定しない時期もありました。最近はこまめなシャントのエコー検査や血管造影検査と、病院の先生やスタッフさんたちのフォローのおかげもあって、年に1回ぐらいの経皮経管的血管形成術(PTA:Percutaneous Transluminal Angioplasty)で経過を見ています。透析患者にとってはシャントが大切なのは言うまでもありません、文字通り命を繋ぐ生命線であり、患者本人にとって一番わかり易い透析医療との繋がりです。今回はシャントの自己管理についてのお話です。
シャントの自己管理としてよく言われているのは以下のことではないでしょうか。
- 清潔にする(感染予防のため)
- シャントの音(スリル)を定期的に自分で聞く(血栓で詰まったり、狭くなっている部分がないかの確認)
- 重いものを持たない
- シャント側をぶつけないように注意して生活する
「それぐらい基本だよ! 」という声も聞こえてきそうですが、その基本がいつの間にか自己流になっていませんか? 無意識のうちにシャントの周囲を掻いてしまったり、清潔に保たなかったことで、シャント感染や肺炎の併発を起こすという事例もありますし、油断は禁物ですね。シャントを清潔にするといっても、毎回病院のようにアルコールやイソジンなどで消毒するのか? と思われる方もいるかもしれません。そこまで大げさなものではなく手洗いなどをしっかりと行い清潔に保つということが重要です。私自身もシャントの感染によって血管を切除し、腕に大きな傷が残っている身としては、感染のリスクを多くの方に知っていただき、シャントの感染や閉塞に注意を払っていただきたいと思っております。PTAも痛いし、シャント閉塞からの血栓除去手術になるともっと痛いです。なによりも入院などで自分の時間や家族との時間までも奪われてしまうことは嫌なものです。
できれば定期的にシャントの音(スリル)を自分で聞くということも重要です。朝と夜にシャント側の腕を耳に近づけて音を聞くことを習慣化して聞き続けることで、血管が狭くなった時や流れが悪くなった時にいつもの音と違うと気づき、シャントトラブルを防ぐことができるのです。医療用の聴診器を購入して聞くのもオススメです(私も透析導入時に購入した聴診器を今も使っています)。
最近では透析終了後の止血に止血ベルトを使う施設も徐々に減っているという話も耳にする中、こんな話を聞きました。高齢の患者さんが、透析が終わってから止血ベルトを外すタイミングが分からず、そのまま次の日までベルトをつけっぱなしにしてしまいました。そのことが原因でシャントに血栓ができ、シャント閉塞になって緊急の再建手術を受けたというのです。最近は患者さんのご家族から「どのタイミングで外したら良いのか? 」「家族としてシャントのケアに注意するポイントはどのようなことか? 」などと質問されることも少しずつ増えてきたなというのを実感しています。患者の高齢化に伴い、ご家族の方も一緒に通院、食事、飲水制限、体重管理、シャントケアなどに関わる状況が続くのは時代の流れなのでしょうか。
シャントは私たち透析患者の命綱です、
今一度基本に立ち返ってシャントの管理を考えてみませんか?
飯田橋春口クリニック・春口洋昭院長の「シャントのお悩みここで解決!「自分のシャントをよく知ろう!」総まとめ」も合わせてご覧ください。
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