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重複障害と透析

【第6回】透析室職員とのエピソード~看護師編~

2024.12.23

文:ミーナ

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医療スタッフイメージ

視覚障害をもつ私が経験した透析室の職員とのエピソードの中から、特に印象に残っていることをお話しします。今回は看護師さんとのエピソードです。


1. 「まるで見えてるみたい」

これは、ミーナが透析室の看護師さんや技士さんによく言われる言葉です。

私がベッドにタオルを敷いたり、荷物の整理などを自分でやり、トイレも更衣室も目が見える人と同じように使えることにびっくりするのだそうです。先天的な視覚障害をもつ私は視覚以外の感覚を使う生活に慣れているからなのですが、じゃあ目が悪い他の患者さんは、自分の身の回りのことも看護師さんや技士さんにやってもらっているのかなぁ?
と思って聞いてみたところ、透析患者は高齢者が多く、目が悪い人は加えて認知症や脳梗塞による麻痺があるなどで身辺処理を自分で行うのは難しい人が多いのだそうです。
とはいえ、「まるで見えてるみたい」というのは誉め言葉として受け取って良いのかどうか、ちょっと複雑な気持ちになります。


2. 自筆のサインを一緒に書いてくれた看護師さん

サイン イメージ

「まるで見えてるみたい」と言われても、実際にはほとんど視力は残っていないミーナ。病院からもらってくる書類(手術や入院の同意書、検査の同意書など)へのサインは自分ではできません。

いつもは家に持ち帰り母に書いてもらいますが、その場で書く必要がある書類などは、代筆をお願いすることになります。
しかし、ものによっては自筆のサインを求められる場合もあります。先日、そんな場面で困っていたところ、ある看護師さんが私の右手にボールペンを持たせて、その手を持って一緒に名前を書いてくれました。
「そうか、この手があったか!」と改めて気づくきっかけをくれました。

それ以来、銀行や役所でも、自筆のサインが求められたらこの方法でやろうと思いました。

ところで、ミーナの本名は小学校低学年で習う漢字で書ける名前なのでまだ簡単ですが、人によっては旧字体や難しい漢字を使っている人もいることでしょう。
目が悪くなってきて文字の読み書きに不自由が出てきても、自分の名前だけは、書き方を忘れないように時々練習しておくと良いと思います。


3. 注意してくれた看護師さん

これは、「まるで見えてるみたい」と思われても実際のところ、やはり見えていないということを実感したエピソードです。

ある日、透析中に心電図を取ることになりました。看護師さんが2人一組で各ベッドを回ってきます。1人が心電図の機械、もう1人がパーテーションを持ってやってきました。

「ミーナさーん、心電図取りますよー」

機械担当の看護師さんに声をかけられ、おもむろにシャツをめくるミーナ…。
「ちょちょちょちょ、ちょっと待って、まだパーテーション広げてないんだから!」
パーテーション担当の看護師さんがそう言いながら慌ててパーテーションを広げます。
「もう、みんなの目があるんだから、そんなに慌てないでよ…」
と機械担当の看護師さん。

目が悪くなると周囲の状況がわかりにくくなり、「人の視線」も当然わからず、こうした恥ずかしい失敗をよくやらかしてしまいます。
居合わせた大抵の人は「目が見えない人にそういうことを注意するのは失礼ではないか?」と気にして、黙っている場合が多いのですが、それでは目が悪い人には伝わらないので、また同じような失敗を繰り返してしまうのです。

私は、この看護師さんのように教えてくれるのはありがたいと思いました。
ただ、他人の注意を素直に聞き入れられない性格の人もいるので、どう注意したら良いかは難しい部分もあります。
注意する側の看護師さんや技士さんは相手に恥をかかせないように上手に伝えなくてはならないし、注意される側も、人の話を素直に聞く気持ちを持っていたいですね。


4. 点字が読める看護助手さん

点字イメージ

私が通っている病院の透析室には、1人だけですが点字が読める看護助手のお姉さんがいます。
実は、視覚障害者の中でも点字が読める人は全体の1割くらいしかいません。目が悪い透析患者がみんな点字を読めるわけではなく、むしろ読めない人の方が多いと思います。

そんな看護助手さん、時々、透析中の暇つぶしにと、点字で何やら書いたものを私にくれるのです。内容は大抵が透析室職員のちょっとした情報(さすがに個人情報は書かれていない)が多いので、読みながらいつも新しい発見があっておもしろいです。

最近は小学校の国語の教科書で点字を学ぶ単元があるようで、若い看護師さんや技士さんたちは、子供の頃に点字を習っていて少し読めるという人もいます。


5. 視覚情報を教えてくれる看護師さん

若くて目が悪い透析患者が珍しいのか、私は職員に声をかけてもらいやすいみたいです。特に用事がなくても、看護師さんや技士さんなどが単なる雑談で話しかけてくれることもあります。

人によっては職員とおしゃべりするのがあまり好きではないという人もいるかもしれませんが、私はおしゃべり好きな方なので、短時間の会話をわりと楽しんでいます。
さて、それで看護師さんがどんなことを話してくるのかというと、大抵は私が自分で確認できない視覚情報を教えてくれます。
例えば透析室の様子や、職員の顔立ち(有名人の○○に似てるなど)です。

情報が増えれば話題も一つ増えるので、透析室の看護師さんとのおしゃべりは貴重な情報源と言えるかもしれません。


さて、今回は看護師さんとのエピソードをご紹介しましたがいかがだったでしょうか…。

良かったら、皆さんの透析室でのエピソードもぜひ色々と聞かせてください。

いずれ、技士編もお話ししますので、そちらもお楽しみに!

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ミーナ

ミーナ
1990年9月生まれです。生まれつき、先天性緑内障という目の病を持っており、幼い頃から弱視で現在はほとんど見えていません。腎臓は2017年に急な体調不良から緊急透析導入となり、今に至ります。原因は不明です。視覚と腎臓の重複障害ですが、日々楽しく生活しています。
趣味は読書で、4時間の透析中に1〜3冊くらいは読んでしまうかなりヘビーな読書家です。

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