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重複障害と透析

【第8回】睡眠障害にならないようにするには?~透析患者や視覚障害者は体内時計が狂いやすい~

2025.3.24

文:ミーナ

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睡眠障害イメージ

「春眠暁を覚えず」、春の夜は眠り心地が良くてつい寝すぎてしまう…とは言いますが、みなさんはぐっすり眠れていますか?
透析患者さんの中には、夜なかなか眠れず困っている方もいるのではないでしょうか。不眠の原因は、透析中のうたた寝やシャントの痒み、体のだるさなどさまざまだと思います。
目が悪い人も、夜寝付けなかったり朝起きられなかったり、昼夜逆転になってしまう人がいます。


なぜ睡眠障害になってしまうのか

皆さん、朝が来たことをどうやって知りますか?
夜が明ける前から起きる早起きさんもいるかもしれませんが、多くの人は目に光が入ることで「朝が来た」ことを感じると思います。そして、網膜に光が入ってから12~14時間後にメラトニンという睡眠を誘うホルモンが出てきて夜は眠くなる…。こうやって1日の体内時計はうまく調節されているのです。

朝のイメージ

しかし、目が悪くなってくると網膜で光をうまく受け取れなくなってしまうために体内時計が狂い、睡眠にもさまざまな影響が出てくるとされています。視覚障害が重くなればなるほど、睡眠障害の人の割合も高いとも言われているのです。私も視力低下に比例して夜寝られなくなっていきました。
夜勤のある職業に従事する人や、夜間にスマートフォンなどのブルーライトを浴び続けて夜眠れなくなってしまう人とは逆のパターンですね。

睡眠が妨げられると、さまざまな体の不調につながりますし、社会生活にも影響が出てきてしまいます。目が悪くなってきている人が睡眠障害にならないようにするにはどうしたら良いのでしょう…。


睡眠障害を防ぐコツ

私が実際に試してみて効果的だったことを中心に、いくつか対策をまとめてみます。視覚障害がない方でもヒントになると思うので、参考にしてください。

1. 寝る時間よりも起きる時間を意識する

夜早く寝ようと布団に入っても、なかなか寝付けないと意味がありません。それよりも、起きる時間の方を意識した方がはるかに効果的でした。目覚まし時計などをセットして毎朝決まった時間に起きるようにすると、そのうち夜も自然と寝られるようになっていきました。

2. 規則正しい生活をする

これは起きる時間を意識することにも関連します。視覚障害者に睡眠障害の人が多いと話しましたが、実際に睡眠障害で困っている人は子供や高齢者、若くても目が悪くなって仕事を退職した人、夏休み中の学生など、「毎日家にいる人」が中心です。逆を言えば会社や学校に通っていて、毎日決まった時間に起きて動かなければならない人は、睡眠障害にはなりにくいのです。
家にいることが多い人は、ある程度は規則正しい生活ができるようにしましょう。

3. 適度な運動をする

適度な運動イメージ

目が悪くなると体を動かす機会も少なくなってしまい、そのため夜になってもそれほど疲れておらず眠気を感じられないという人もいます。ラジオ体操や筋トレ、ストレッチ、散歩などの軽い運動をすることで、適度に疲れて夜の眠りを誘います。軽い運動は体力維持とさまざまな病気の予防につながるので良いことばかりですね。

4. 自分のことは自分でする

目が悪くなって仕事を辞め、身の回りのことを家族やヘルパーに世話してもらうようになると、自分では何もせずに時間だけが過ぎていく人もいます。時間を持て余すため、つい昼間うとうとしてしまい、夜眠れなくなってしまいます。適度な運動ともつながりますが、日中ある程度は体を動かしたり頭を使ったりして、毎日の生活に適度な張り合いと充実感を持たせることは良い睡眠への第一歩でしょう。

5. 余暇の充実

3や4とも関連しますが、趣味を持ったり余暇を充実させることも、日中の活動を増やす一つの方法です。網膜で受け取れる光の量が少なくなっても、昼間しっかり活動して体が適度な疲労を感じれば、夜はぐっすり眠れるようになります。

6. 昼寝をしすぎない

中途視覚障害の人の中には、目が悪くなってきて周囲の様子がわかりづらくなってくると、朝でも昼でもぼーっとしたり、「つまらないから寝る」とうとうとしている人がいます。当然ながら、昼間ぼーっとしている時間が長いほど夜は眠れなくなり、結果昼夜逆転となってしまうことがあります。
透析患者さんの場合、透析中に寝てしまい夜寝付けなくなった経験がある人は多いのではないでしょうか。長すぎる昼寝と、夕方以降の仮眠は避けた方が良いです。


以上、私が試してみた「目が悪くなってきている人が睡眠障害にならないようにするコツ」でした。

毎日の睡眠は、健康維持や社会生活に欠かせないものです。
透析患者さんの中にはさまざまな理由で不眠になり、睡眠薬を処方されている人もいるかと思いますが、糖尿病網膜症などで目が悪くなってきてから寝つきが悪くなったという人は、網膜で光をうまく受け取れないことが原因かもしれません。一度かかりつけの眼科医や睡眠を専門としている精神科、心療内科で相談してみましょう。

最後に、視覚障害と睡眠に関してとてもわかりやすい記事がありましたので紹介します。
日本網膜色素変性症協会(JRPS)千葉県支部のおたよりに載っていた視覚障害と睡眠障害に関する講演の報告です。
国立精神・神経センター国府台病院精神科の亀井雄一先生のお話と、網膜色素変性症の患者さんを対象とした睡眠障害のアンケート調査の結果も掲載されています。


睡眠がテーマのおすすめ記事

じんラボで実施したアンケート結果を交えながら、腎臓病や透析患者さんが質の高い睡眠を得るためのポイントをまとめています。

アスペクト比Pさんの記事では、透析患者であり睡眠に悩みをもつご本人の「気持ちよく眠るためのルール」紹介しています。

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ミーナ

ミーナ
1990年9月生まれです。生まれつき、先天性緑内障という目の病を持っており、幼い頃から弱視で現在はほとんど見えていません。腎臓は2017年に急な体調不良から緊急透析導入となり、今に至ります。原因は不明です。視覚と腎臓の重複障害ですが、日々楽しく生活しています。
趣味は読書で、4時間の透析中に1〜3冊くらいは読んでしまうかなりヘビーな読書家です。

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