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基礎知識

日本の慢性透析療法の現況

2023.3.13

文:じんラボスタッフ

11

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出典:日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況」
2011年12月31日現在~2021年12月31日現在(10年分)

「じんラボ」は2023年4月で10周年を迎えます。そこで、日本透析医学会の統計データをじんラボオープン時から直近のものまでの10年間の推移をまとめました。

表は左右にタップ(スクロール)してご覧ください


施設数と患者数

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
施設数(施設) 4,205 4,233 4,264 4,330 4,321 4,336 4,360 4,402 4,411 4,437 4,508
人工腎臓台数(台) 121,835 124,930 128,016 131,555 133,538 135,211 137,248 139,887 141,520 143,772 145,821
慢性透析患者数(人) 304,592 309,946 314,180 320,448 324,986 329,609 334,505 339,841 344,640 347,671 349,700
導入患者数(人) 38,893 38,165 38,024 38,327 39,462 39,344 40,959 40,468 40,885 40,744 40,511
死亡患者数(人) 30,831 31,110 30,708 30,707 31,068 31,790 32,532 33,863 34,642 34,414 36,156
人口100万人対比
(人)
2,383.4 2,430.7 2,468.1 2,517.3 2,592.4 2,596.7 2,640.0 2,687.7 2,731.6 2,754.3 2,786.4

2021年末時点で透析を受けている方の数は34万9,700人と過去最多でした。国民358.9人に1人が透析を受けている計算になります。
透析を受けている方の数は年々増加しており2011年に30万人を突破しましたが、近年その伸びは鈍化しています。将来予測では2021年をピークに減少すると予測されています。
2021年に亡くなった方の数が2020年と比べて1,742人増と大きく増加したのは、新型コロナウイルス感染症や感染拡大による医療環境の変化が影響した可能性があると考えられています。

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治療方法

治療の選択肢が徐々に増え、治療方法の詳細が記載され始めた「『わが国の慢性透析療法の現況』2015年12月31日現在」以降のデータで、どんな治療方法が選択されているかを見てみます。

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
血液透析等 血液透析(HD) 258,374人 241,685人 228,089人 202,422人 187,738人 171,324人 160,520
79.50% 73.30% 68.20% 59.60% 54.50% 49.30% 45.90%
血液透析濾過(HDF) 55,333人 76,836人 95,140人 125,793人 144,686人 163,825人 176,601
17.00% 23.30% 28.40% 37.00% 42.00% 47.10% 50.50%
血液濾過(HF) 17人 26人 40人 14人 31人 14人 24
0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00%
血液吸着透析 1,368人 1,406人 1,462人 1,447人 1,505人 1,419人 1,306
0.40% 0.40% 0.40% 0.40% 0.40% 0.40% 0.40%
在宅血液透 572人 635人 684人 720人 760人 751人 748
0.20% 0.20% 0.20% 0.20% 0.20% 0.20% 0.20%
腹膜透析等 腹膜透析(PD) 7460人 7,190人 7,325人 7,582人 8,017人 8,188人 8,371
2.30% 2.20% 2.20% 2.20% 2.30% 2.40% 2.40%
PD+週1 回HD(F)等との併用 1,576人 1,560人 1,505人 1,621人 1,675人 1,882人 1,893
0.50% 0.50% 0.40% 0.50% 0.50% 0.50% 0.50%
PD+週2 回HD(F)等との併用 185人 169人 155人 142人 128人 165人 138
0.10% 0.10% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00%
PD+週3 回HD(F)等との併用 30人 38人 37人 30人 30人 31人 25
0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00%
上記以外の併用 71人 64人 68人 70人 70人 72人 74
0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00% 0.00%
透析患者総数 324,986人 329,609人 334,505人 339,841人 344,640人 347,671人 349,700
うち夜間透析患者 33,370人 32,431人 31,916人 31,544人 32,027人 31,468人 30,717
10.30% 9.80% 9.54% 9.28% 9.29% 9.05% 8.78%
夜間透析の前年からの増減 939人減 515人減 372人減 483人増 559人減 751人減

2012年の診療報酬の改定以降、血液透析濾過(HDF)を受けている方が増加しており、2021年調査で血液透析(HD)を受けている方の数を上回りました。
このデータを元に、治療方法の変遷をグラフで見てみましょう。

治療方法の変遷

「わが国の慢性透析療法の現況」2012年〜2021年のデータでじんラボが作成

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2021年末の都道府県別・人口100万人あたりの患者数

※透析を受けている方の居住地ではなく施設所在地による集計のため、都道府県別の患者動態を厳密に反映していません

都道府県 患者数 人口100万人
あたり
都道府県 患者数 人口100万人
あたり
都道府県 患者数 人口100万人
あたり
都道府県 患者数 人口100万人
あたり
北海道 16,161人 3,118.1人 東京都 33,584人 2,397.1人 滋賀県 3,464人 2,455.0人 香川県 2,774人 2,944.8人
青森県 3,632人 2,974.6人 神奈川県 22,489人 2,434.9人 京都府 6,754人 2,637.3人 愛媛県 4,102人 3,105.2人
岩手県 3,263人 2,728.3人 新潟県 5,270人 2,420.8人 大阪府 24,158人 2,743.4人 高知県 2,598人 3,798.2人
宮城県 6,201人 2,707.9人 富山県 2,584人 2,521.0人 兵庫県 14,423人 2,655.2人 福岡県 15,713人 3,066.5人
秋田県 2,243人 2,373.5人 石川県 2,768人 2,460.4人 奈良県 3,646人 2,772.6人 佐賀県 2,677人 3,321.3人
山形県 2,785人 2,639.8人 福井県 1,766人 2,323.7人 和歌山県 3,130人 3,424.5人 長崎県 4,092人 3,155.0人
福島県 5,194人 2,866.4人 山梨県 2,413人 2,997.5人 鳥取県 1,578人 2,874.3人 熊本県 6,596人 3,817.1人
茨城県 8,583人 3,009.5人 長野県 5,485人 2,698.0人 島根県 1,747人 2,627.1人 大分県 4,080人 3,662.5人
栃木県 6,740人 3,508.6人 岐阜県 5,261人 2,682.8人 岡山県 5,475人 2,918.4人 宮崎県 3,996人 3,766.3人
群馬県 6,367人 3,304.1人 静岡県 11,532人 3,196.2人 広島県 7,930人 2,852.5人 鹿児島県 5,617人 3,564.1人
埼玉県 19,720人 2,686.6人 愛知県 19,249人 2,560.7人 山口県 3,751人 2,824.5人 沖縄県 4,935人 3,361.7人
千葉県 16,209人 2,583.1人 三重県 4,257人 2,424.3人 徳島県 2,708人 3,803.4人 合計: 349,700人 2,786.5人

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透析期間及び性別

※透析歴の選択肢の上限は、2011・2012年調査では「25年以上」、2013・2014年調査では「35年以上」、2015年以降は「40年以上」と更新されています。

透析期間 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
男性 女性
5年未満 140,778人 142,951人 144,660人 146,085人 148,017人 150,705人 152,416人 155,367人 158,123人 159,691 人 110,065人 48,655人 158,720人
5年以上10年未満 74,709人 75,764人 76,833人 77,862人 77,801人 79,145人 79,590人 81,119人 82,416人 84,239 人 57,160人 27,801人 84,961人
10年以上15年未満 37,448人 38,434人 39,364人 40,032人 40,060人 40,556人 40,397人 40,868人 41,413人 41,750人 26,813人 14,666人 41,479人
15年以上20年未満 19,481人 20,186人 20,777人 21,213人 21,555人 22,094人 22,239人 22,358人 22,380人 22,275人 13,229人 8,767人 21,996人
20年以上25年未満 10,601人 10,990人 11,382人 11,802人 12,031人 12,484人 12,536人 12,746人 12,952人 13,088人 7,320人 5,749人 13,069人
25年以上30年未満 11,802人 12,293人 6,586人 6,551人 6,730人 6,897人 7,015人 7,240人 7,494人 7,684人 4,181人 3,552人 7,733人
30年以上35年未満 3,906人 3,960人 3,917人 3,987人 4,026人 4,099人 4,127人 4,238人 2,172人 2,119人 4,291人
35年以上40年未満 2,241人 2,517人 2,096人 2,152 人 2,171人 2,195人 2,196人 2,283人 1,149人 1,142人 2,291人
40年以上 617人 793人 921人 1,062人 1,199人 1,279人 678人 708人 1,386人
合計 294,819人 300,618人 305,749 人 310,022人 312,824人 318,813人 321,311人 327,054人 332,300人 336,527人 222,767人 113,159人 335,926人
不明 3人 0人 127人 86人 393人 295人 206人 282人 266人 231 人 163人 93人 256人

透析歴25年以上の方は年々増加しており、2011年では全体の11,802(全体の4%)だったのが、2021年では15,701人(同4.7%)でした。なお、2021年調査における最長透析歴は52年8カ月です。

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原疾患

原疾患 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
糖尿病性腎症 36.7% 37.1% 37.6% 38.1% 38.4% 38.8% 39.0% 39.0% 39.1% 39.5% 39.6%
慢性糸球体腎炎 34.8% 33.6% 32.4% 31.3% 29.8% 28.8% 27.8% 26.8% 25.7% 25.3% 24.6%
腎硬化症 7.9% 8.3% 8.7% 9.1 % 9.5% 9.9% 10.3% 10.8% 11.4% 12.1% 12.8%
多発性囊胞腎 3.4% 3.4% 3.5% 3.5% 3.6% 3.6% 3.6% 3.6% 3.6% 3.7% 3.7%
慢性腎盂腎炎,間質性腎炎 1.0% 1.0% 1.0% 1.0% 0.9% 0.9% 0.9% 0.9% 0.8% 0.8% 0.8%
急速進行性糸球体腎炎 0.7% 0.8% 0.8% 0.8% 0.8% 0.8% 0.9% 0.9% 0.9% 1.0%  %
自己免疫性疾患に伴う腎炎 0.8% 0.8% 0.7% 0.7% 0.7% 0.7% 0.7% 0.6% 0.6% 0.6% 0.6%
不明 8.2% 8.5% 8.7% 8.9% 9.5% 9.8% 10.2% 10.7% 11.1% 10.2% 9.7%

2021年末における原疾患で最も多い糖尿病性腎症は、2011年に慢性糸球体腎炎を抜いて以降、11年連続で1位となっています。近年は原疾患全体に占める糖尿病性腎症の割合の伸び率は鈍化しているものの毎年過去最多を更新しています。 3番目に多い腎硬化症も近年増加しています。

慢性透析患者 原疾患割合の推移1983-2021

「わが国の慢性透析療法の現況(2021 年12 月31 日現在)」より引用

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死亡原因

死因 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
心不全 26.6% 27.2% 26.8% 26.3% 26.0% 25.7% 24.0% 23.5% 22.7% 22.4% 22.4%
感染症 20.3% 20.4% 20.8% 20.9% 22.0% 21.9% 21.1% 21.3% 21.5% 21.5% 22.0%
脳血管障害 7.7% 7.5% 7.2% 7.1% 6.6% 6.5% 6.0% 6.0% 5.7% 5.9% 5.6%
悪性腫瘍 9.1% 9.1% 9.4% 9.0% 9.3% 9.7% 9.0% 8.4% 8.7% 9.0% 8.4%
心筋梗塞 4.6% 4.5% 4.3% 4.3% 4.3% 3.9% 3.8% 3.6% 3.9% 3.8% 3.5%
心血管死 38.9% 39.2% 38.3% 37.7% 36.9% 36.1% 33.8% 33.1% 32.3% 32.1% 31.5%

心血管死:心不全、脳血管障害、心筋梗塞を併せたもの

体に水分が溜まることで引き起こされる心血管系の合併症、心不全、脳血管障害、心筋梗塞などが原因による心血管死が基本的に最も多い死亡原因です。感染症で亡くなる方は増加傾向にあり、2021年末は心不全に迫る22.0%と過去最多でした。新型コロナウイルス感染症が影響したと考えられています。

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新型コロナウイルス感染症の影響

透析を受けている方の新型コロナウイルス感染症の罹患率と致死率

2020年 2021年
検査していない、
または抗体検査のみ
246,178人
(89.5%)
179,677人
(68.8)
検査実施(陰性) 27,979人
(10.2%)
78,926人
(30.2%)
検査実施(陽性) 789人
(0.3%)
2,463人
(0.9%)
合計 274,946
(100.0%)
261,066
(100.0%)
不明 1,851人 7,381人
記載なし 59,962人 67,735人
総数 336,759人 336,182人

2021年調査では、2020年と比べて新型コロナウイルス感染症の検査を受けた方が増加しました。 透析を行っている方33万6,182人のうち、26万1,066人から新型コロナウイルス検査に関する回答があり、そのうち2,463人(0.9%)の方が陽性者でした。

さらに透析を受けている方で2021年に亡くなった方のうち、「新型コロナウイルス検査の陽性者」または「死因が新型コロナウイルス感染症」だった方は915人でした。陽性だった2,463人とその合計3,378人を新型コロナウイルス感染症患者として記載します。

2021年調査の年齢別・性別ごとの感染数と致死率

  40歳未満 40歳~ 50歳~ 60歳~ 70歳~ 80歳~ 合計
男性

感染者数 63人 234人 488人 469人 631人 436人 2,321人
うち死亡数 0人 12人 39人 99人 239人 214人 603人
致死率 0.0% 5.1% 8.0% 21.1% 37.9% 49.1% 26.0%
女性

感染者数 19人 61人 156人 176人 311人 334人 1,057人
うち死亡数 0人 3人 16人 34人 100人 159人 312人
致死率 0.0% 4.9% 10.3% 19.3% 32.2% 47.6% 29.5%
年齢別致死率 0.0% 5.1% 8.5% 20.6% 36.0% 48.4% 27.1%

新型コロナウイルス感染症による致死率は年代が上がる度に高くなり、80歳以上では48.4%に上りました。
性別での致死率の違いほぼないものの、感染者数・死亡者数はいずれも男性が女性のほぼ2倍でした。

糖尿病の有無と致死率

2020年 2021年
感染者数 うち死亡数 致死率 感染者数 うち死亡数 致死率
糖尿病あり 529人 80人 15.1% 1,825人 485人 26.6%
糖尿病なし 300人 19人 6.3% 1,047人 79人 7.6%
合計 829人 99人 11.9% 2,872人 564人 19.6%
不明 121人 62人 51.2% 506人 351人 69.4%
総計 950人 161人 16.9% 3,378人 915人 27.1%

透析を受けている方で新型コロナウイルス感染症に罹患した方の中でも糖尿病を合併した方の割合は高く、致死率も非常に高いことが分かっています。

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