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基礎知識

在宅血液透析について

2013.4.1

文:じんラボスタッフ

11

監修:陣内彦博 院長 東京ネクスト内科・透析クリニック

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「透析に合わせた生活」 から 「生活に合わせた透析」へ!
施設透析(CHD) 在宅透析(HHD)
  • 透析後が疲れる
  • 合併症が多い
  • 血圧が高い
  • 薬が多い
  • 食事制限がきつい
  • 体調がよくなる
  • 仕事も! 子育ても! 趣味も!
  • しっかり食べてしっかり透析
  • 薬はほとんどなし
  • 合併症が減り、長生き

①在宅血液透析とは

在宅血液透析(以下 在宅透析)は自宅に透析機械を設置し、自分自身(場合によって、介助者の助けを借りることもあります)で透析療法(透析装置の立ち上げから後片付け、穿刺など)を行う方法です。

利点は大きく2つあります。1つ目は自分の生活スタイルに合わせて治療を行えることです。2つ目は、十分な透析(生命予後が良いとされる頻回または長時間透析)を行えるため、飲水・食事制限がほぼなく、また透析患者さんに多く見られる合併症のリスクが減るということです。

在宅血液透析概要


②在宅血液透析と他治療の比較

腎臓移植 腹膜透析
(PD)
施設透析
(CHD)
在宅透析
(HHD)
腎臓の機能 ほぼ正常 腎臓の機能は悪いままですが、透析効率としては、
PD<CHD<HHDで、HHDが最もよいです
生命予後 腎移植よりは劣りますが、PD<CHD<HHDで、
HHDが最もよいと報告されています
生活の質 腎移植よりは劣りますが、
CHD<PD=HHDで、HHDは自由度が高いです
社会復帰 高い 低い 高い
食事・飲水の制限 少ない やや高い 多い 少ない
通院 月1回ほど 月1回ほど 月14回 月1回ほど
短所 免疫抑制剤
手術リスク
待機期間
期間制限
腹膜の劣化
施設制限
透析量の不足
介助者
自己負担
事故
※上記の内容に関して個人差はあります。

③在宅血液透析のメリット

  • 透析不足による合併症が減り、内服薬も格段に少なくなります。
  • 食事・飲水制限がほとんどなくなります。
  • 透析中の家族団らんや仕事など自分の時間を増やせます。
  • 自分で決め、自分で責任を持つなど、「人生を自分で決める、充実した人生」を意識できます。
  • 通院の時間が大幅に減ります。
  • 時間を自由に使えるため、社会復帰率が高くなります。
  • 施設透析の面倒(プライベートが少ない、等)・リスク(感染など)が減り、災害時も対応しやすくなります。

頻回または長時間透析で長生きできる!

生存している確立 参考:Kidney Int 1992; 41: 1286, Nephrol Dial Transplant 1998; 13: 139, 日本透析医学会 統計調査 2009年


血液のリンは下がり、
リン吸着剤も減量する

血液のリンは下がり、リン吸着剤も減量する

エリスロポイエチン使用は
減量できる

エリスロポイエチン使用は減量できる 参考:Nephrol Dial Transplant 2011; 26: 1287

④在宅血液透析のデメリット

  • 自己管理・自己決定・自己責任を望む方に向いた治療法です。
  • 自己穿刺ができる必要があります。
  • 介助者が絶対に必要です。
  • 金銭負担がかかります(月2〜3万円ほど)。
  • 機械の設置、毎月の物品の受け取り・保管に場所が必要です。
  • 家庭での事故の可能性はありえます。
メリット・デメリットを理解した上で、
自分で自分の治療法を選ぶことが大切です!

⑤じんラボが考える在宅血液透析の必須条件

  • ご本人が治療を希望している。
  • トレーニングを受けられ、自己穿刺ができる(自動車の運転免許証が取得できる程度の理解力があれば可能)。
  • 介助者が同意し、トレーニングを受けられ、かつ治療中に介助者が警報音の聞こえる範囲内にいられる。
  • 自宅(下記建物の条件参照)と金銭(水道・電気・配送の費用)が対応可能。
    ※建物の条件
    • 上下水道が整備されている。
    • 電源は単独20Aが必要。
    • 水道水(圧力2kPa)が必要(井戸水や地下水は使用不可)。
    • 透析装置、水処理装置の設置場所、材料(透析液、回路など)の保管場所がある。
      →透析装置、水処理装置でタタミ1畳くらいのスペースが必要。
      →1ヶ月分の透析材料を収納しておくため、押入れの半分(上下)くらいのスペースが必要。
  • 安定した維持透析が実施されており、支障となるような合併症がない(年齢は16歳〜60歳程が望ましい)。
  • 最低月1回、ご本人が透析施設に通院できる。
  • 透析施設の職員か委託業者などが無理なくメンテナンスに行けるエリアに自宅がある。
  • 透析は中2日空きを作らない
  • 社会復帰の意思がある。

⑥在宅血液透析への流れ

外来での面接と診察
(介助者の方も最低一度は来院が必要)

在宅透析が可能かを検討
(機械の設置・自宅改装・配送なども検討)

外来でのトレーニング
(ご本人および介助者ともに必要)

トレーニング期間は1〜6ヶ月で、個人差があります。
在宅透析に向けての自宅改装・機械の設置・試し運転
(専門の業者さんにお願いできます)

在宅透析開始の準備完了
(トレーニング終了)

在宅での治療開始
月1回の通院・受診(施設透析)

⑦在宅血液透析のネットワーク体制

ネットワーク


⑧在宅血液透析のバックアップ体制

バックアップ

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東京ネクスト内科・透析クリニック

陣内医師

「しっかり食べて」「適度な運動」「充分な透析」
当クリニックは、一人一人の健康状態、ライフスタイルに合わせた透析を提供することで、みなさまの生活をより元気で、より豊かにできると考えています。
透析に合わせる生活スタイルではなく、生活スタイルに合わせた透析(オーバーナイト透析、在宅透析)が安心してできるよう、スタッフ一同、お手伝いしたいと考えています。

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