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基礎知識

薬物療法

2013.4.1

文:じんラボスタッフ

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腎臓病の治療は、生活習慣の改善、食事療法、薬物療法の3つが基本です。 CKDの薬物療法は、病気によって現れる病態を軽くして、病状の悪循環を抑えるための治療です。
主治医や看護師、薬剤師から指示された用法・用途をしっかり守りましょう。

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薬物療法のポイント

CKDの進行を抑え、腎臓を守る薬物療法のポイントは、以下の4つです。

  • CKDの薬物療法は、病状を改善して悪循環を抑えるための治療
  • 主治医や薬剤師の指示と、用法・用量は必ず守る
  • 副作用が現れた場合はすぐに主治医に相談する
  • 薬の飲み合わせには注意が必要、主治医や薬剤師に相談する

薬物療法の基本的な考え方

腎臓病の薬物療法には、「原因療法」「対症療法」があります。
原因療法は、病気の原因となっているものを取り除くための治療ですが、原因そのものに効く薬物療法はまだ不十分です。そのため、CKDの薬物療法は病気によって現れる病状を軽くして病状の悪循環を抑える対症療法がメインとなります。


CKDの治療によく用いられる薬

CKDのステージや原疾患、また合併症の有無や種類によって使用される薬の種類は異なります。

透析導入前

CKDには手術をするものはさほど多くなく、薬物療法が中心になります。
生活習慣の改善と、腎臓の負担を軽くする食事療法を合わせることで効果を高めます。

CKDの治療によく使われる薬
病状を悪化させる原因や合併症 使用する薬 知っておきたいこと
高血圧
蛋白質や塩分のとりすぎとあわせ、腎臓の機能を低下させる最大の原因となります。
降圧薬 血圧を下げる降圧薬にはさまざまな種類があり、それぞれの特徴ごとに使い分けられます。血圧が下がったからといって勝手に中断すると、血圧が急に上がって脳出血などを起こす危険があります。
体液量の増加
体内に水分が溜まると、むくみや高血圧などが現われます。
利尿薬 利尿薬には、尿中への塩分、水分の排泄を増やす作用があり、その結果尿の量が増えます。
高血糖
糖尿病性腎症では、高血糖が全身の血管の病気を悪化させます。
糖尿病治療薬
(インスリン、経口糖尿病薬)
糖尿病の治療の効果が不十分だと、糖尿病性腎症や網膜症が進行します。
脂質異常症(高脂血症)
血液中のコレステロールの高い状態が続くと動脈硬化が進行します。
高脂血症治療薬 血液中のコレステロール値を低く抑えることで、動脈硬化とともにCKDの進行を抑えられることがあります。
腸管内毒素
腸管内の毒素は血中に出されてCKDを悪化させます。
経口活性炭製剤 腸管内の毒素を吸着する薬ですが、他の薬と一緒に服用するとその薬の成分も吸着してしまうため十分な効果を得られなくなります。
貧血
CKD患者さんに多く見られる合併症の主な原因は造血ホルモンの不足です。
赤血球造血刺激因子製剤
鉄剤
腎臓で分泌されるエリスロポエチンという赤血球をつくるホルモンや鉄分が不足すると貧血になるため、これを補います。鉄剤は必要な場合に補給します。
協和発酵キリン株式会社(2010年11月印刷)『毎日いきいき透析楽習帖② 腎臓の働きを少しでも長持ちさせるには』 より引用して一部改変

これらの薬を病気の種類や状態によって使用することで腎臓の機能の低下を抑えたり、症状を改善したりすることができます。
薬は基本的には人体にとって異物なので体内で、分解(代謝)・解毒され排出されます。
腎臓の機能が低下している場合には分解がスムーズに進まなかったり、薬の成分の濃度が上昇したりして、弱っている腎臓がいっそう負担を強いられることにもなります。
どんな薬であっても主治医の指導を守り、用法・用量を必ず守りましょう。

透析導入後

透析では腎臓の機能の全てを補うことができないため、不足を補う薬が必要となります。また、合併症の薬などが必要に応じて加わります。

大きく分けると、下記のように分類されます。

①透析ではコントロールしきれないものを抑える
カリウムを下げる薬、リンを下げる薬、尿酸を下げる薬
②腎不全により不足するものを補う
活性型ビタミンD製剤、貧血の薬
③合併症の薬
高血圧の薬、糖尿病の薬、脂質異常症(高脂血症)の薬、便秘薬、かゆみの薬等

参考:薬物療法の常識

  • 薬は水とともに飲むのが原則です。薬が溶けて効果を現すためには適切な量の水が必要です。
  • 薬を飲むタイミングは、以下の通りです。
    食前:食事の前約30分
    食後:食事の後約30分
    食直後:食事の後すぐ
    食間:食事の後およそ2時間
  • 薬を服用する期間は主治医の指示に従いましょう。勝手にやめたりするのは厳禁です。中断すると危険なことが起こりかねない薬もあります。
  • 薬を飲み忘れたからといって、2回分飲むなどしてはいけません。用法・用量を守りましょう。
  • 薬の飲み合わせには注意が必要です。市販薬だけではなくサプリメントに関しても言えることです。主治医や薬剤師に服用中の薬を伝えて相談しましょう。
  • 妊婦や授乳婦は、主治医や薬剤師に相談しましょう。
  • 薬の保管場所は、直射日光があたるところ、高温になるところを避けましょう。

参考

  • 協和発酵キリン株式会社(2010年11月印刷)『毎日いきいき透析楽習帖② 腎臓の働きを少しでも長持ちさせるには』
  • 川村 哲也(監修)(2012)『図解でわかる腎臓病』主婦の友社

参考サイト

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