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基礎知識

腎がんの検査と診断
〜腎がんの状態を正確に把握するための検査〜

2016.10.17

文:じんラボスタッフ

監修:東京女子医科大学病院 泌尿器科 腎臓病総合医療センター 近藤 恒徳 先生

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腎がんの検査と診断は何のため?

  • さまざまな検査を行って、腎がんの状態を正確に把握して治療に臨む
  • 主な検査は画像検査、スクリーニングの検査で腎がんが疑われた場合は、CT検査やMRI検査で診断を確定する

腎がんが発見されるきっかけは2つあります。1つは他の疾患の検査や定期検診や人間ドッグで検査で偶然みつかる場合、もう1つは血尿や腹痛のなどの症状が出現して発見される場合です。
スクリーニング検査で腎がんを疑われると、腎がんの診断を確定し病期(ステージ)を決定するための検査を行い、手術を含めた治療に備えます。


1)腎がんと診断するための検査(スクリーニング検査)

問診/超音波検査

腎がんを見つけるための特別な検診が行なわれることはありません。腎がんが見つかるきっかけの多くは超音波検査です。
受診の目安:半年〜1年に1回、最低でも年1回は受けたい


2)腎がんの状態を評価し、病期(ステージ)を決める検査

超音波検査/CT検査/MRI検査/核医学検査 等

腎がんの疑がわれる場合は、CT検査やMRI検査などで精査し診断を確定します。それから、腎臓内にとどまっているのか、他の臓器に転移しているのかなどがんの広がり具合を調べます。この結果でTNM分類を決定します。腎がんのがん細胞はいくつかの組織型に分類されますが、その診断もCT検査やMRI検査などで証明します。

→腎がんの種類や病期をおさらいしましょう


3)腎がんの治療を行うための検査(全身状態の評価)

血液検査/検尿/心電図/呼吸機能/胸部、腹部単純X線検査 等

手術を視野に入れ、全身状態の評価のための検査を行います。あわせてがんの予後因子血液データもチェックし、呼吸機能や心機能も評価します。
全身状態の評価はパフォーマンスステータス(Performance status :PS)ともいいます。日常生活などの状態を総合的に評価するものです。アメリカの団体ECOG(米国東部癌治療共同研究グループ)が提唱した5段階のECOG-PSが世界的に広く用いられています。

図1:ECOG-PS
0 まったく問題なく活動できる。発症前と同じ日常生活が制限なく行える。
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行う ことができる。例:軽い家事、事務作業。
2 歩行可能で、自分の身のまわりのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす。
3 限られた自分の身のまわりのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
4 まったく動けない。自分の身のまわりのことはまったくできない。完全にベッドか椅子で過ごす。

出典:日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG:Japan Clinical Oncology Group)
「National Cancer Institute – Common Toxicity Criteria (NCI-CTC Version 2.0, April 30, 1999)〜日本語訳JCOG版-第2版〜」
http://www.jcog.jp/doctor/tool/C_150_0011.pdf


4)治療後の定期的経過観察のための検査

血液検査/検尿/画像診断(主にCT検査)

手術が終わったら、定期的に通院して腎臓の機能や体調、再発・転移の有無などを確認する経過観察(フォローアップ)を行います。
腎臓の機能は、血液検査でのクレアチニンと、腎臓がどのくらい老廃物を排泄する能力を持つかがわかる糸球体濾過値(GFR)、検尿での尿蛋白などで見ます。 再発・転移に関しては、画像検査を中心に行います。

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腎がんの検査方法

  • 腎がんの検査において画像検査が果たす役割は大きい
  • 特にCT検査から得られる情報量は多い

腎がんには特有の腫瘍マーカーはありません。そのため、画像検査と診断の果たす役割は大きいといえます。それぞれの検査の特徴と、その検査で何がわかるのかをよく知って検査を受けるようにしましょう。


超音波検査

エコー検査とも呼ばれます。検査の範囲は限定的なものの、手軽で体の負担も少ないため、健康診断や人間ドックなどで広く用いられています。腎がんが見つかった場合、診断を確定し治療に重要な情報を得るために、CT検査やMRI検査を行うのが通例です。 検者の知識と経験を必要とし、検査結果は検者の主観に左右されるというデメリットがあります。


CT検査

腎がんの診断では必須の検査です。X線検査の立体版で、レントゲン照射した後コンピューターで身体の断面の画像を作り出します。 近年ではマルチスライスCTという機種で、より鮮明で立体的な画像を得ることができるようになりました。 造影剤の注射を同時に行うことで、腎臓と腫瘍の血管の状態も分かり手術に役立つ情報を得ることもできます。ただし、ヨード系造影剤のアレルギーがある方や、腎臓の機能が低下している方は検査が行えないことがあります。


MRI検査

強い磁石と電磁波を使い、体内にある水分に作用して断層を撮影する方法です。CT検査と違ってX線による被曝はありません。CT検査で診断が確定できない場合や、患者さんにCTが使えない場合に有効です。 不整脈などのために心臓のペースメーカーが入っている方は検査が行えませんが、最近ではMRI対応ペースメーカが急速に普及しつつあります。


核医学検査(腎シンチグラフィ、骨シンチグラフィ)

放射性同位元素(ラジオアイソトープ:RI)を使った検査で、血流や代謝などの機能の変化を画像情報として見ることができます。

  • 腎シンチグラフィ:腎臓の血流や糸球体濾過量など、腎臓の機能をみる「腎動態シンチグラフィ」と、腎臓の位置や大きさ、腫瘍の部分など、腎臓の形態をみる「腎静態シンチグラフィ」の2種類があります。これらの検査で腎臓の働きを画像で見ます。
  • 骨シンチグラフィ:骨への転移を調べるためには、骨シンチグラフィで全身の骨の状態を調べます。

血液検査・尿検査

血液検査の結果で腎臓の機能や全身の状態を知ることができます。また、手術に必要な一般的な検査項目もチェックします。
腎がんには特有の腫瘍マーカーはありませんが、体内の炎症反応に関わるC反応性蛋白(CRP)などいくつかの項目で、悪性度や進行度をある程度予測することができます。

尿検査では主に腎臓の機能をチェックします。蛋白尿、血尿、糖尿などのほか、がんが進行している場合は血尿が出るようになります。

画像検査では診断がつかない場合は、腎生検(背中から細い針を腎臓に刺し組織の一部を採取して、顕微鏡で見て評価する検査)を行うことも増えてきているようです。正確にがんの組織を把握することが適切な治療につながるからです。

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腎がん診断の流れ

  • 腎がんの病期はがんの大きさと広がり、リンパ節や他の臓器への転移の有無で決まる
  • 適切な治療は予後に良い影響を及ぼす

腎がんの病期(ステージ)は、がんの大きさと広がり、リンパ節や他の臓器への転移の有無で決まります。それらを知るための検査を経て、手術ができるのかなど治療方針が決まります。

図2:腎がん診断のフローチャート

図2:腎がん診断のフローチャート

腫脹(しゅちょう):炎症などが原因で身体の組織や器官の一部が腫れ上がること

メジカルビュー社『腎癌のすべて 基礎から実地診療まで』改訂第2版より引用して一部改変

検査は病気の進行具合を知るためのものですが、病気は人それぞれのものです。検査と診断は、病気のステージングのためのみではなく、それぞれの方にあった適切な治療を行うために行われます。適切な治療は、その後の腎臓の機能やQOL(生活の質)にも良い影響を及ぼします。
治療の方針や方法を担当医まかせにせず自分で納得して治療を受けるためにも、検査の意味をよく知り、治療に備えましょう。

検査から得られた情報によるTNM分類に基づいた病期(ステージ)は、予後と非常に強い関わりがあるそうです。そのため、この病期分類は治療方針だけではなく、治療後のフォローアップ(経過観察)方針にも判断材料として用いられます。

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参考

  • メジカルビュー社『腎癌のすべて 基礎から実地診療まで』改訂第2版 (2014/3/27)
  • 日本泌尿器科学会『腎癌取扱い規約 第4版』金原出版 (2011/4/20)
  • 日本泌尿器科学会 『腎癌診療ガイドライン 2011年版』金原出版

参考サイト

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