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基礎知識

透析療法とは ー 2つの透析療法

2013.4.1

文:じんラボスタッフ

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腎臓の機能が低下して慢性腎臓病(CKD)のステージが進行すると、腎臓の機能を代替する透析療法や腎臓移植が必要となります。
透析療法は一般的によく行われているのは血液透析と腹膜透析の2種類です。腎臓移植をしない限り原則として一生続ける治療ですので、主治医と相談しながらどちらの透析が自分にとって最適か判断する必要があります。ただし、途中で方法を切り替えることも可能です。

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透析療法と導入時期

  • 透析療法は、腎臓の働きを「補う」対症療法
  • CKDステージG4以降の患者さんに導入が検討される
  • 導入にあたっては、腎臓の機能、日常生活への影響などを考慮する

透析療法は腎臓に替わって血液を浄化する治療(血液浄化法)の一つですが、腎臓病を治す根本療法ではなく、あくまで症状の進行を防ぐための対症療法という点で腎臓移植とは異なります。
導入時期に関しては、日本腎臓学会の『CKD診療ガイド2012』によるとCKDステージG4(腎臓の機能を評価する指標、糸球体濾過値(GFR)が15〜29)から検討するとされています。腎臓の機能のみではなく、尿毒症の症状、日常生活における能力などの全身状態を総合的に考慮して導入を検討します。


2つの透析療法

  • 透析療法には、主に透析施設で行う血液透析(HD)と、在宅で行う腹膜透析(PD)の2種類がある
  • 血液透析は全国で約97%、腹膜透析は約3%
  • 病態と生活スタイルに合った治療で日常生活やQOLを維持する

血液透析(HD)は基本的に医療施設へ通院して行う医療です。腹膜透析(PD)は自宅や職場で行える在宅医療です。自宅で血液透析(HD)を行う在宅血液透析(HHD)という方法もあります。
日本透析医学会の統計調査報告では、血液透析を行っている患者さんは全国で約30万人で全体の約97%、腹膜透析は約1万人で約3%です。血液透析と腹膜透析を併用している方は2,000人程います(2011年12月31日現在)。
透析療法は一生継続する必要があり、日常生活やQOL(生活の質)に大きく関わる治療です。それぞれの透析のしくみと特徴をよく理解した上で、病態と生活スタイルに合った治療を選択することが大切です。

血液透析(HD) 腹膜透析(PD)
透析場所 透析施設 自宅や職場など清潔な場所ならば可能
透析に要する時間 週3回、1回4〜5時間程度 24時間365日連続
通院回数 週3回 月1〜2回
水分・老廃物の体内移動 透析前後で差が大きい 常にほぼ一定
心血管系への負担 大きい(特に血圧) 小さい
透析前の手術 バーキュラーアクセス(血液の取り入れ口)を作る手術 カテーテル留置のための手術
透析による自覚症状 穿刺の痛み、不均衝症候群(頭痛、倦怠感)、透析後の疲労感 腹部の膨満感
透析効率 よい やや悪い
残存腎機能 透析導入後に比較的急速に消失 徐々に消失
食事制限 カリウム、リン、蛋白質、食塩、水分の制限 尿量が減ると食塩、水分、リン制限
永続性 原則として一生可能 腹膜の劣化により10年程度が限界
社会復帰 透析中の拘束による制限 生活のリズムに合わせてバッグの交換が可能
旅行 旅行先の透析施設確保 交換用の薬剤・機材を持参すれば拘束なし

参考:透析療法のQOL(生活の質)

腹膜透析は自宅や職場など、社会生活の中で行う在宅療法です。血液透析においては、透析施設によっては夜間に血液透析を行っているところや、夜間の睡眠時間を利用してオーバーナイト血液透析を行っている施設もあります。
また、自宅に透析機械を設置し、自分自身で透析療法を行う方法在宅血液透析もあります。1998年に保険適応となり、現在全国で327人が行っています(2011年12月末)。頻回または長時間の透析を行うことができるため、QOL(生活の質)を保ちやすい療法と言えます。
血液透析か腹膜透析かという2つの選択肢のみではなく、夜間や在宅血液透析も視野に入れ、主治医と相談の上適切な治療を検討しましょう。

在宅血液透析については「在宅血液透析について」を参照してください。


血液透析(HD:hemodialysis)

特徴
  • 標準的に週3回(病態等により異なります)の通院が必要です。
  • 1回の治療時間は4〜5時間程度(病態等により異なります)必要です。
  • 血液を透析器に送り込むためのバーキュラーアクセス(血液の取り入れ口)を作る手術が必要です。ほとんどの患者さんが「シャント」と呼ばれる動脈と静脈をつなぎあわせて静脈を太く丈夫にしたものを上腕に作ります。
  • シャントに刺した針から血液を体外に取り出し、体に溜まった余分な水分や老廃物を透析機で取り除きます。
  • 治療中に動き回ることはできませんが、テレビを見たり読書をしたり、タブレットを持ち込むなどして工夫して過ごす方が多いようです。
しくみ

血液を体外に取り出し、ダイアライザと呼ばれる透析器(人工膜)を介して次のようなことが行われます。その後、浄化・調整された血液が再び体内に戻されます。

  • 体内に溜まった老廃物(尿毒素)や余分な水分を取り除く
  • ナトリウム、カリウム、リンなどの血液中の電化質(イオン)を正常なバランスに近づける
  • 血液を正常なpH(7.4±0.05)に調節する

透析時の血液の流れ


ダイアライザのしくみ ダイアライザのしくみ
シャントのしくみ シャントのしくみ

腹膜透析(PD:peritoneal dialysis)

特徴
  • 自宅や職場などの社会生活の中で行ういます。
  • 本人や介助者が治療を行い、通院は月に1〜2回です。
  • 寝ている間に器械を使って自動的に行う方法(APD)と、日中に4〜12時間ごとに行う(1回の治療は30分程度)方法(CAPD)があります。
  • おなかにカテーテルという細いチューブを埋め込む手術を行います。
  • 手術後、自分でバッグ交換ができるまで練習します。
  • カテーテル出口部のケアと入浴時のカバー装着の練習をします。
  • 個人差はありますが、血液透析と比べ、透析導入後も残存腎機能(残っている腎臓の機能)の低下が緩やかで、尿が出なくなる時期を遅らせることができます。
しくみ

おなかの中には腹膜という臓器を包んでいる組織膜があります。この膜に包まれている空間を腹腔と言います。この空間に浸透圧が高い透析液を一定時間貯留すると、腹膜の毛細血管から、浸透圧と拡散という原理で透析液に水分、電解質尿毒素が移動します。それらを含んだ透析液を体の外に出して血液を浄化します。

腹膜透析のしくみ

参考:血液浄化療法の種類

血液を体外に循環させる透析療法が最も一般的な血液浄化療法ですが、その方法と目的によってさまざまな種類の血液浄化療法があります。 血液透析より中分子量物質の除去に優れた血液濾過(HF:hemofiltration)や、血液透析と血液濾過を組み合わせた、小分子物質から低蛋白物質まで幅広い除去に優れた血液濾過透析(HDF:hemodilysisfiltration)、心機能が低下していて血液透析に耐えられない患者さんには、緩やかに時間をかけて行う持続的血液濾過透析(CHDF:continuous hemodiafiltration)という治療を行うこともあります。その他、吸着剤を用いて特定の物質などを除去する血液吸着(DHP:Direct Hemo Perfusion)、血液から血漿を分離して除去し、新たな血漿などを補充する血漿交換(PE:plasma exchange)など特別な治療もあります。

参考

  • 社団法人 日本腎臓学会『CKD診療ガイド2012』
  • 日本透析医学会(2009年12月31日現在)『わが国の慢性透析療法の現況』
  • 日本メディカルセンター『[特集]透析(腎代替療法)導入時期を考える — 臨牀透析 vol . 28 no . 13 2012 33・1695』
  • 北岡建樹(2012)『透析用語百科事典』永井書店
  • 鈴木 一之(2009)『透析医が透析患者になってわかったしっかり透析のヒケツ』メディカ出版
  • 中尾 俊之(監修)(2010)『患者のための最新医学 腎臓病』高橋書店
 
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