食生活研究室腎臓病・透析に関わるすべての人の幸せのための じんラボ
料理研究家 宮成なみの夢を叶えるごはん日記の作り方
【第7回】食改善・体験報告:飲み方を変えただけで、たったの1週間で、リンが2.7mg/dLまで下がってびっくりした時の話
2016.8.29
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皆さまこんにちは。
うだるような暑さの続く今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
食生活研究室 室長・料理研究家の宮成なみです。
透析仲間に緊急非常食を届けるための熊本支援も、ようやく皆さまに報告できる状況が整い、益城町の透析仲間とそれを支援いただいている多くの方と共に、透析患者のための非常食をお届けする準備を進めています。
今回は、現在通っている透析病院の先生からいただいたアドバイスで、リンの検査データがびっくりするほど改善した話を紹介しようと思います。
だいたい私のデータは、リンが4.4〜5.5mg/dLくらいの時と、6.0〜7.0mg/dLになる時の差が極端に激しく、過去に1度最悪新記録でリン9.0mg/dLというびっくりする数字をたたき出し、主治医の先生が慌てて飛んできたことがあります。
外食が多いときでも、リンが4台のこともあれば、仕事が忙しくほとんど食事を摂れていないにも関わらずリンが7台ということもありました。なんでこんなことになるんだろう?これってなんだろう?というのが私の疑問でした。
先日院長先生から「食べ物ではこんなにリンはあがらないから、飲み物をできる限り自分で入れたものに変えてごらん」とアドバイスを受けました。
- 缶コーヒーは飲まないようにする
- 特にミルク入りの飲み物は避ける
- 飲み物はコーヒー豆、茶葉を買ってきて自分で入れる
成分表示で言えば、ドリップしたコーヒー・アイスコーヒー等に含まれるリンは100gあたり7mg、カリウムは65mgです。カリウムを気にして「ドリップコーヒーにしろ」と言うならまだわかるのですが、コーヒーを自宅で淹れたものに変えるだけでそんなにリンの値が変わるものかな?と思いつつ、素直にいつも自宅で淹れてるコーヒーをペットボトルで持ち歩きました。
打ち合わせ等でコーヒーを飲む機会があるときは、できるだけフリードリンクのところは避けて、コーヒー専門店やカフェを選びました。生クリームやミルクを使ったコーヒーではなく、アイスコーヒーかアメリカンコーヒーを頼むようにしました。
私はものすごいコーヒー中毒というか、コーヒー好きというか、とりあえず考え事をするときや落ち着きたいときにはコーヒーが欲しい、コーヒー大好き人間です。「コーヒーを飲むのをやめなさい」と言われていたとしたらかなりの苦痛とストレスですが、他にもいくつかポイントを挙げて「飲み方を変えなさい」と選び方を教えてもらったので、ストレスなく過ごすことができました。
そして、実験開始から1週間後。採血検査です。
仕事の打ち合わせを兼ねた外食をして懇親会にも行き、お酒を飲む機会もあったし、3食きちんと食べたにも関わらずなんとリンが2.7 mg/dL!
▲データー結果写真
おさらいになりますが、リンはあらゆる食べ物に含まれています。
骨はリン酸カルシウムでできていて、摂取したリンで古くなった骨を溶かしてはがし、そこに新しいカルシウムが張り付くことで骨は代謝し、新しい骨に入れ替わります。
リンを摂りすぎると、古くなった骨にとどまらず、どんどん骨を溶かして骨ももろくなってしまうし、溶け出したリンは血管内壁に張り付き血管が石灰化します。
血液検査のリンの値が高い状況が続くと何が怖いかというと、石灰化した血管がぷつんと切れて脳梗塞、心筋梗塞を引き起こしてしまうことです。
そのため、主治医の先生は口を酸っぱくしてリンの値が上がらないように指導します。
なぜなら長い医療従事者としての人生の中で、後悔してもしきれないでいる患者さんを数多くみてきているからです。
飲み物の中には原材料の成分に表示されていない隠れリン酸が含まれていることがあり、飲み物から添加物のリン酸を摂取すると吸収率が高く、検査データに反映されやすいそうです。
「できる範囲でいいので、自分で入れたお茶やコーヒーを飲む」
ポイントは、急須を使って緑茶を煎れる。コーヒー豆を買って、サイフォンやコーヒーメーカーを使って自分で淹れる。ただこれだけです。ウーロン茶も麦茶も同様です。
ぜひやってみてください。
私はわざわざアイスコーヒー用の豆を別に買うことはせず、ホットコーヒーを濃いめに淹れ、氷で急速冷却して好みの濃さに薄めて飲む、というやり方をしています。これだと飲みたいときにすぐ飲めるし、珈琲豆を数種類も買う必要がありません。
急速冷却して作れば、飲みたいとき飲みたい分だけにすぐに作れて、冷蔵庫を占領しません。
冷たい緑茶も、濃い目に煎れたお茶をたっぷりの氷で急速冷却し好みの濃さに薄めれば、同じように作れます。
私はホットコーヒーだったらアメリカン、アイスコーヒーも薄めが好きなので、豆を買うときは深煎りの豆ではなく「オリジナルブレンド」の「粗びき」を好んで買っています。専門店で買うときもあれば、スーパーで買うときもあります。メーカーやお店によって、味や香りが違って楽しいです。
ぜひぜひあなたのお気に入りの味を見つけて、楽しいティータイムを過ごしながら、リンの値の実験をしてみてくださいね。
①用意するもの。
コーヒーメーカー、コーヒー豆(粉・粗びきまたは中びき)、お湯、氷、コップ、コーヒースプーンまたは、料理用計量スプーン。
▲これは、フレンチプレスというコーヒーメーカー。コーヒーフィルターいらずで、簡単に香り高いコーヒーを淹れることができます。お気に入り。コーヒーメーカーは、ペーパーフィルターでも、サイフォンでもOKです。
②コーヒー豆をホットコーヒーのときの1.5倍〜倍の量いれて、濃いめのコーヒーを作る。(または、ホットコーヒーのときと同じ量を入れて、お湯をいつも注ぐ量の半分にする)
▲右端の柄の長いスプーンが料理用の計量スプーン。中央と左端のスプーンがコーヒースプーン。
目安はコーヒースプーン1杯分が、ホットコーヒー1杯分。
ちなみに料理用の計量スプーン1杯分で、コーヒー豆5g
コーヒースプーンは中央・左端ともに8gでした。
③コップに入り切れるだけの氷をいれて、熱々淹れたてのコーヒーを注ぐ。
かき混ぜて急速冷却したらできあがり。
▲後ろのにこにこマークの水筒は100円均一で買ったウォーターボトル/350cc。
氷が入れやすく軽いので、これに入れて持ち歩いています。
コップもこの大きさで350cc入ります。
講演依頼は、下記宮成なみ公式ウェブサイトの
【講演依頼】よりお問い合わせください。
・公式ウェブサイト:料理研究家 宮成なみ 公式サイト
・ご質問お問い合わせは
過去の実績
- ●医療従事者様講演会
- 演題:「おいしい減塩〜香りの魔法・人生のスパイス」
- 過去の実績:腎と栄養・代謝フォーラム様・中外製薬様・第一三共製薬様
- ●患者会様レクレーション・交流会・勉強会
- 交流勉強会:「透析と食。〜これって私だけ?みんなで悩みを解決しよう!」
- 過去の実績:有川医療センター腎友会様
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