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【第2話】結婚
2018.6.18
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移植、そして蘇生
腎臓移植をしたその日は、窓から望む風景がとても美しく輝いて見えました。
父の腎臓は、私の右側の腹部に移植されました。移植前の私の肌は黒ずんでいましたが、ポロポロと面白いほど皮がむけました。全てのものが蘇生してみえました。
排尿も3000cc以上あり、オシッコが膀胱に溜まる感覚と排尿の感覚=腎臓が働いていることを実感しました。この時の感動は月日が流れた今も、スポットライトを浴びたような状態でよみがえってきます。
当時は、急変などに備え新人のドクターが患者を一日中見守ってくださいました。そのドクターのベッドは、座り心地の悪い椅子だったように記憶しています。
数日すると父がお腹を抑えながら私の病室に来てくれました。十数年前はドナーの背中からお腹にかけて大きく切って腎臓を摘出しました。現在は腹腔鏡手術なので傷は小さいと聞いています。
父も傷が大きく術後は痛かったはずですが、人前では痛がりませんでした。また、移植の前には大好きなお酒も断って、この手術に挑んでくれたことを後で知り、親の愛情と大きな決意を感じ取ることが出来ました。
あきらめかけた結婚
数年経つと、私の周囲にも結婚話が舞い込むようになりましたが、数少ない縁談を父がことごとく断っていました。私もお年頃になり、興味があったのに「なぜ?」と思っていたのですが、どうやら父は、私の健康のことや身体についた傷のことを気にかけてくれていた様子でした。
腹部には10cm大の傷が残っています。「こんな傷があったら確かに結婚なんかできっこないよね。男の人が気持ち悪がるよね。」そう思いつつ、結婚はあきらめようと思っていました。
ところが腎移植から数年経ったある日、移植前の20歳の頃に出会っていたボーイフレンドから電話がありました。
「今から行ってもいい?」
「暇しているから、いいよー」
しばらく、いろいろな会話をした後に「こころさんは、結婚しないの?」と、唐突に彼は聞いてきました。
一瞬「えっ?」と不穏な感情になり、
「こんな身体だし、結婚なんてできっこないじゃん」とムッとしつつ返答しました。
トントン拍子に結婚へ
夫となる彼との出会いは腎移植前であり、移植後に再会しています。
結婚は身体のこともあってあきらめていたはずが、なぜか話がトントンと進みました。
「普通の女性として扱います」との言葉に父は安心したのだと思います。
夫と再会して6ヶ月後に結婚しました。
大恋愛でもなく、お見合いでもなく、不思議な縁だったのかも。夫は、初めて私に会った時に「結婚するかも」とビビッと電流が走ったそうです。残念ながら、私の方は何も感じなかったのですが(笑)。
現在は真珠婚も過ぎて、次の新ドラマに突入中です(10月で結婚31年目になります)。
次回は「妊娠、出産」のお話です。
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