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透析から移植へ 〜戦いは終わらない〜

【第12話】腎臓移植後から始まる新たな戦い①

2022.7.25

文:OZMA(オズマ)

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大腸がんとの戦い

手術前のスクリーニングで大腸がんが判明し、大腸がんの手術を終えてから、予定をずらした妻からの腎臓移植。その手術も無事成功に終わり、仕事にも復帰した。

一見、順調に思われるがそうではない。これからが戦いの始まりであり、今までとは違う戦いへの突入となる。

がん治療における重要な指標に「5年生存率」という統計がある。したがって、ステージ1であっても半年に一回の検査は必須だ。
大腸がんは肺や肝臓、脳に転移することが多いという。半年に一回はCTを取って、エコー検査や、胃カメラ・大腸カメラ検査を受ける。大腸のポリープについては、4年間のうちに一回だけポリープ切除(ポリペク)を行ったが概ね順調に推移している。
がんの手術を受けてから2022年6月で6年目に突入した。今までは何事もなかったが、これからも大腸がんとは戦い続けるのである。


糖尿病との戦い

私が透析になった根本的な原因は糖尿病性腎症である。糖尿病には糖尿病性腎症、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症の三大合併症があるため、これらもケアしている。

3か月に一回は必ず眼科を受診して網膜の状況をチェックしている。移植の入院前には眼底をレーザー治療した。網膜は多少の出血はあるものの、今のところ問題ない。
神経障害に関しては、薬は飲んでいないため散歩で血流を良くし、足腰を鍛えている。心なしか足先が暖かくなってきたような気がする。昨年の夏は一日2万歩を目標に歩き、年間平均は1万5千歩であった。今年はひざや腰のことを考えて平均1万歩を心掛けている。

何にせよ歩くことは血糖コントロールにも良い影響がある。
合併症予防にはHbA1c7.0%未満が目標だ。今は糖尿病・甲状腺の専門クリニックで治療を受けている。このクリニックでは「FreeStyleリブレ」というシステムを使って常時グルコース(ブドウ糖)値をモニタリングしている。スマートフォンアプリでデータを読み込むと、そのまま病院に転送されデータが共有される。主治医とはメールでつながっており、血糖コントロールが悪いときはメールで指示が送られ、インスリンの量を調整している。

少し前までは経口GLP1受容体作動薬・リベルサス錠を使っていたが、空腹時の服用のため胃炎になった。検診で行った胃カメラで発覚したのだが、検診は重要だと改めて感じた。
現在の治療薬は胃壁に直接影響のない、オゼンピック®皮下注を使っている。

ヘモグロビンA1c:赤血球中のヘモグロビンがブドウ糖と結合している割合を示す値。血糖値と違い検査直前の飲食に左右されず、過去1~2か月の血糖の平均値を示す。値が高いと、継続して血糖値が高いということになる。


多血症との戦い

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多血症とは赤血球やHb(ヘモグロビン)が増加してしまう疾患のことだ。泌尿器科で「少しHbが高いため、専門の血液内科を受診してほしい」と言われた。Hbが高いということは血液が濃い状態で、腎生検時に服用しているバイアスピリン(抗血小板薬)を中止できない危険があるからだ。血液検査の結果、血液の細胞が過剰生産される真性多血症の疑いがあるとのことで、マルク(骨髄穿刺)をし、骨髄を調べた。結果は特に問題なく、それからHbの値をモニタリングしている。Hbが高くなったら瀉血(しゃけつ:治療のために血液を一部抜くこと)し数値をコントロールしている。
現在までに7回ほど瀉血を行っている。1回の瀉血で400mLほど採血し、Hb値は17g/dL付近(男性の基準値:14~18g/dL)を推移している。

ある時主治医に「免疫力はリンパ球の値を意識していれば問題ないですよね」と質問したところ、それだけでははっきりしたことは言えないとのことでCD4の値も確認した。CD4はリンパ球にある免疫機構を司る抗原のひとつで、HIV感染症からAIDSに移行するときはこのCD4陽性Tリンパ球の数が大きく関係している。結果は正常で免疫機構には問題なかった。
リンパ球は血液1μLあたり1000〜1500個(正常値は成人で1500個以上)で推移しており、常に低値である。
免疫力に注視するのは免疫抑制剤を服用しているためであり、常に感染症との戦いなのだ。

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OZMA(オズマ)

OZMA(オズマ)
1961年2月生まれ。
59歳。埼玉県所沢市出身、札幌市在住。
糖尿病性腎症で54歳に透析導入。2年2ヵ月後、妻から腎臓移植。
仕事は、外資系製薬会社に13年勤務、営業、管理薬剤師、開発、広報などを経て1998年より薬剤師として勤務。2001年に独立して薬局経営。現在、新しい薬局の開設準備中。

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