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じんラボ所長室

「今、この瞬間」を生きる俳優 野崎聡史さん

2013.11.5

文:所長

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じんラボ所長を務めさせていただいていることもあり、多くの透析患者さんとのとても嬉しい出逢いに恵まれています。 その中で最近特に印象的だった「出逢い」をご紹介させていただきたいと思います。


ある透析者との出逢い

じんラボの監修等でお世話になっている東京ネクスト内科・透析クリニックの院長ブログ外部サイトへの記事をいつも拝見しているのですが、クリニックで通院透析をしている劇団所属の俳優さんが今度舞台の主演を務めるとの記事を目にしました。
ぜひ彼と会ってみたい!と思い、すぐにクリニック院長の陣内先生にお願いをし、コンタクトをとりました。

お会いしたのはゼロ・カンパニー外部サイトへ所属の俳優、野崎聡史さん。 色黒の精悍な顔立ちは、透析をしているとは全く思えません。

野崎聡史さん

彼はおよそ5年前、主演舞台稽古中に脳出血で倒れました。24歳の時でした。 一命を取り止め実家へ戻り、懸命なリハビリを経て奇跡的に復活しました。さらに腎不全を患い2年前に透析導入となりましたが、東京での芝居を諦めきれずにいました。そんな中、仲間の支えもありその倒れた時と同じ演題の舞台で東京へカムバックを果たしたのです。
こうして文章にするとなんかあっけないのですが、その中身はご本人のすさまじい努力と苦労があったことだと思います。
さまざまなお話をうかがいましたが、脳出血で倒れたというご体験から強く「今、この瞬間」を意識していることが言葉の端々からうかがい知ることができました。

また、妥協せず芝居に打ち込むためにも「自分に執着して生きたい」と、自己管理を徹底し日々を過ごしていらっしゃいます。
透析は5時間で時にはオーバーナイトも受けており、処方された薬は当然ですがきちんと飲まれています。移動は主に自転車で運動も欠かしません。

そんな野崎さんが実際にどんな演技をされるのか大変興味が沸き、早速ご本人に主演舞台チケットをお願いしました。 そして帰りにはしっかりと握手をして舞台でのご健闘と再会を約束して別れました。

このようなご縁をいただけたこと本当に感謝の想いが沸き起こりました。

野崎さんと所長


舞台「ジンバブエに降る雪」

10月1日、野崎さん主演の舞台「ジンバブエに降る雪」を観るため新宿にある劇場に足を運びました。

思い起こしてみれば舞台をこうして観るのはいつ以来でしょうか。

新大久保にほど近い劇場は「ディープ」な雰囲気満載で、その雰囲気がさらに舞台への期待を高めてくれました。

ジンバブエに降る雪

開場時間になり、取り置きをしていただいたチケットを購入すると嬉しいことにそのチケットの裏面に野崎さんご本人からメッセージが書かれてありました。

そして開演です。
あらすじにあるとおり、野崎さんは異国の人の役柄でした。

チケット

主役ということもあってか野崎さんは最初からは登場せず、登場された時は思わず「お〜!」と声が出そうになってしまいました(笑)。

完全に役に成りきった熱演は、まるで本当の外国人のようでとても素晴らしく、同じ透析者ということを抜きにしてもその演技には目を見張るほどの迫力がありました。
(ネタバレになるので詳しいストーリーは割愛します。)

最後感動的なエンディングで公演は終了し、出口では出演者の皆さんがお見送りしてくださいました。
熱演を終えた直後にも関わらず、疲れがまったく見えない野崎さんも笑顔で待っていてくださいました。 「今、この瞬間」をやりきってホッとした、まさに生き活きとした役柄のままの笑顔でした。


野崎さんの舞台での活躍を観て、改めて「今を生きる」ということ「今を生き切る」ことの大切さを教えていただいたような気がしています。

「今でしょ!」という言葉がちょっと前に流行りましたが、まさに人生は「今」の積み重ね。

透析をしている時間も含めて、今この瞬間をどう生きるか、それは詰まるところどういう人生を過ごすかということに他なりません。

あなたは今何を考え、何をして生きていますか?

野崎さんと所長

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所長

所長
一般社団法人ペイシェントフッド代表理事。社会福祉士。透析歴31年。
14年間勤めた一般企業を退職後、福祉職を経て、2010年9月に株式会社を設立し、2018年4月からは一般社団法人ペイシェントフッドに法人格を変更。
長い年月にわたり「治療を受ける」という「受け身の立場」で医療と関わってきましたが、腎臓病を経て、透析を受ける当事者として、その経験・想いを「腎臓病・透析に関わるすべての人の幸せのために」役立てられないかと一念発起し、起業しました。
「じんラボ」はみなさんと一緒につくりあげていくコミュニティです。
「ひとり一人の「生きる力」が、医療を支える、希望ある社会」の実現に皆さんと共に歩んでまいります!どうぞよろしくお願いします!

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