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食生活研究室

腎臓病・透析をしている方にも知っていただきたい、視覚障害と食について
【第8回】介護職と共に歩む、視覚障害者の食事

2023.6.12

文:ミーナ

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桃と桃の缶詰

視覚障害のある方の食にまつわる本連載は主に視覚障害者の方の話が中心ですが、腎臓に関する話も時折織り込まれています。

透析をしている方は腎性網膜症や糖尿病性網膜症などによって視力が低下する人が少なくありません。この連載では視覚障害のある人がどのような食問題に陥りやすいのか、またどのように対応していくのかについてもお伝えするほか、病気と向き合って生きていく心構えなどもたくさんお話しいただいていますので、視覚障害の有無に関わらず自分に置き換えて読んでいただけると嬉しいです。

第8回はミーナさんの知り合いやご本人の話を基にした、介護職と共に歩む視覚障害者の食事についてのエピソードです。なお、本連載に登場する人物の名前はすべて仮名、背景情報も個人が特定されないように配慮しています。

(じんラボスタッフ)

「“桃”が食べたい」といつものヘルパーさんに伝えたら~視覚障害があり透析をしている秀夫さん

秀夫さん(仮名)は、一人暮らしをしている60代の視覚障害透析患者です。
糖尿病が原因で目と腎臓の機能が低下し、週3回の透析には病院の送迎車で通っています。ヘルパーさんには週3回ほど、炊事、洗濯、掃除、買い物などの手伝いのために来てもらっています。

ある日秀夫さんは、ヘルパーさんに桃を買ってきてもらうようにお願いしました。秀夫さんはカリウム値が上がりやすい体質で、普段は缶詰の桃を食べています。いつも同じヘルパーさんに来てもらっているので「桃が食べたい」で通じるものだと思っていましたが、ヘルパーさんがその日買ってきたのは缶詰ではなく、生の桃だったのです。

ヘルパーさんには専門的な医療知識があるとは限らない

なぜヘルパーさんがいつもの缶詰ではなく、生の桃を選んだのかはわかりません。「缶詰」と指定されなかったので生の桃でもいいと思ったのかもしれませんね。

実は、介護職の方が疾患や医療に関する専門的な知識を必ず持っているわけではありません。そのため、透析患者をはじめ、日常的に医療ケアが必要だったり、生活の中で気を付けるべきことがたくさんある利用者の介護は結構難しいのです。

秀夫さんは、「桃が食べたいが、カリウムの摂取量を抑えたいから生ではなくいつもの缶詰の桃がいい」としっかり伝えた方がよかったと思います。自分の状況を理解してもらえるのが当たり前だと思ったり、面倒くさがったりせず、お互いに歩み寄ることが大切ですよね。
いまはヘルパーさんを必要としていない皆さんも、年を重ねたり別の病気や合併症などで日常生活に誰かの手助けが必要になった時に備えて、誰に対しても自分の状況をうまく伝えられるように心の準備をしておきましょう。

おまけ~ミーナが外食する際にヘルパーさんに伝えていること

私は一人暮らしではないため家事援助は使っていませんが、同行援護は利用しています。カリウムはそれほど上がりやすくありませんが貧血になることが多いので、外出時は途中で休める場所を探してもらったり、食料品を買う際は成分表を読んでもらったりしています。また、透析をしているので塩分や水分を摂りすぎないよう、外食ではラーメン屋やカレー屋は避けてもらっています。

疾患や医療に関する知識量はヘルパーさんによって差があるので、その都度お願いする内容に関する理由の説明を要する場合もあります。同じ透析患者であっても、ラーメンが大好きで、前後の食事で調整するからと言ってラーメン屋に行く人もいますしね。

食事に関わる介護は、教科書的な食事療法、利用者個人の趣味嗜好の問題、その時の状況などが複雑に絡み合うのですから、明確な判断基準は経験豊富なヘルパーさんでも持ち合わせていないのではと思います。


ヘルパーさんのアドバイスで冷凍野菜を活用し食生活が改善した全盲の博さん

博さん(仮名)は、一人暮らしをしている50代の全盲の男性です。
糖尿病の合併症で失明し、腎臓病や神経障害も進行しています。博さんは週3回ほどホームヘルパーさんに炊事や洗濯、掃除などを手伝ってもらっていますが、それ以外の日は、コンビニ弁当やカップラーメン、レトルトカレーなどを食べています。

腎臓の機能が低下しているのに、そのような食生活では透析が必要になるのも時間の問題です。主治医からは診察の度に「数値が悪くなっている」と言われ、管理栄養士からは「食生活を何とか改善しましょう」と言われるので、憂鬱になっていました。

このままではマズいと感じた博さんは、生協の減塩仕出し弁当の配達を頼むことにしました。生協の弁当は1日1食届くので、カップラーメンやレトルトカレーの回数を多少は減らすことができたものの、レトルト食品を完全にやめることはできません。足のむくみ、頭痛、悪寒、足先のしびれや体のだるさといった不調も、かなり目立つようになってきました。

そんな折、ヘルパーさんが交代することとなりました。
新しいヘルパーさんは盲学校の元教員で、定年退職後にシニアアルバイトとして視覚障害者の家事援助を始めたという方です。視覚障害者と何十年も関わってきた経験を活かし、博さんの生活上の問題を丁寧に聞き出してくれました。そして、冷凍野菜や缶詰などを使った塩分を抑えるための簡単な調理法を教えてくれることになったのです。

まずはコンビニやスーパーで冷凍野菜を買い、それを電子レンジで解凍し、いつものカップラーメンの上にのせてみました。食べているものはいつもと同じカップラーメンですが、これなら野菜の栄養も摂ることができます。

カップラーメンと冷凍野菜

その次に、冷凍野菜や卵、サラダチキン、ツナ缶やコーン缶などを使い、火や包丁を使わなくても一人で簡単に作れるメニューを色々と教えてもらいました。
こうして数カ月が経ち、博さんの料理の腕前は少しずつ上達。今ではレトルト食品を毎日食べなくても済むようになりました。

秀夫さんとは異なり、とても経験豊富なヘルパーさんにあたった博さんの珍しいエピソードでした。

冷凍野菜は視覚障害者や高齢者にも使いやすい

もちろん博さんのようなケースでは、ヘルパーさんの経験や力量だけでなく、本人にしっかりやる気があるかも重要です。中途失明者で他の体の不調もある中で、ここまでの改善を見るのはなかなか難しいかもしれませんが、ヘルパーさんの力を借りながらステップアップしようという気持ちが、大きな変化につながったのではないでしょうか。

ちなみに私も冷凍野菜をよく使います。
コンビニのカット野菜や冷凍の野菜・フルーツなどは扱いやすく、火や包丁を使わなくてもそれなりのものを作ることができるので、重宝しています。
丸のままの生の野菜・フルーツに比べてカリウムも少なめなので、目が悪くない人でも、カリウムが気になるという人は取り入れてみてもいいかもしれません。
解凍したときの水っぽさが苦手という人もいますが、その水分をしっかり絞り出すことでカリウムを減らすこともできます。

冷凍野菜は、解凍して醤油などをかけて食べるだけでもいいですし、お肉やお魚料理の付け合わせとしても使えます。簡単な調理で済むので、塩分さえ気を付ければ色々と使えます。
また、冷凍野菜・フルーツは解凍すると柔らかくなるので、歯が悪い高齢者でも食べやすく、介護福祉施設などの給食や介護食の弁当などで多用されています。ご家族に高齢の方がいる場合は、そうした観点からもおすすめと言えるでしょう。


食生活に関するおすすめ記事

2つめのエピソードの博さんのように、カップ麺を食べる機会がある方もいらっしゃると思います。味や種類別に成分表示を集めていますので、「スープを飲まずに麺だけ食べる」などの工夫をしながら、成分表字もご参考にしてください。

じんラボプレイバックでは、腎臓病の方が食事面で改めて気をつけたいことや、食事療法での無理のない工夫、腎臓病・透析をしている方の食生活レポートなど「食に関するお役立ちコンテンツ」をまとめています。

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ミーナ

ミーナ
1990年9月生まれです。生まれつき、先天性緑内障という目の病を持っており、幼い頃から弱視で現在はほとんど見えていません。腎臓は2017年に急な体調不良から緊急透析導入となり、今に至ります。原因は不明です。視覚と腎臓の重複障害ですが、日々楽しく生活しています。
趣味は読書で、4時間の透析中に1〜3冊くらいは読んでしまうかなりヘビーな読書家です。

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