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慢性腎臓病(CKD)と仕事②:
働き続けるための知恵「合理的配慮」
2024.2.19
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前回の「働き続けるための知恵のリンク集」で覚えておいていただきたいキーワードとしてご紹介した「合理的配慮」。
今回は、皆さんの働きやすい環境を手に入れるための合理的配慮について、詳しくお話しします。
合理的配慮の基本的な考え方
合理的配慮に関する基本的な考え方は、以下のとおりです。
対象となる事業主の範囲は、すべての事業主。
対象となる障害者の範囲 : 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者。
⇒ 障害者手帳所持者に限定されない。
腎臓病においても、職につくこと、仕事を続けることに困難がある場合は、障害者手帳があってもなくても対象になる、ということですね。
そしてどんな職場でも事業主に提供を求めることができます。
- 合理的配慮は、個々の事情を有する障害者と事業主との相互理解の中で提供されるべき性質のものであること。
- 合理的配慮の提供は事業主の義務であるが、採用後の合理的配慮について、事業主が必要な注意を払ってもその雇用する労働者が障害者であることを知り得なかった場合には、合理的配慮の提供義務違反を問われないこと。
- 過重な負担にならない範囲で、職場において支障となっている事情等を改善する合理的配慮に係る措置が複数あるとき、事業主が、障害者との話合いの下、その意向を十分に尊重した上で、より提供しやすい措置を講ずることは差し支えないこと。
また、障害者が希望する合理的配慮に係る措置が過重な負担であるとき、事業主は、当該障害者との話合いの下、その意向を十分に尊重した上で、過重な負担にならない範囲で合理的配慮に係る措置を講ずること。 - 合理的配慮の提供が円滑になされるようにするという観点を踏まえ、障害者も共に働く一人の労働者であるとの認識の下、事業主や同じ職場で働く者が障害の特性に関する正しい知識の取得や理解を深めることが重要であること。
就労における合理的配慮とは
合理的配慮としての措置は、応募時と採用後に分けられます。
応募時
応募時の合理的配慮
募集(応募)段階では、障害の有無は関係なく均等な機会を確保するための措置が求められ、均等な機会を確保できない原因を事業主が改善する必要があります(障害者雇用促進法36条の2)。
応募時の合理的配慮の具体例
- 面接日時の設定を体調等を確認したうえで行った
- 採用前に本人と現場における就労上の不安や課題について相談を行った
- 透析治療を受けている本人と話し合いを行い、透析治療時間以外でかつ、体調の良い日を選んで面接を行った
- 面接時間の長さ、終了時間など、対象者の体に負担のかからないよう配慮した
- 職場見学を入念に行い、実際の業務ができそうかシミュレーションして確認した
採用後
採用後の合理的配慮
事業主は、雇用した障害者に対して障害の有無が関係しない均等な待遇を確保し、能力を有効に発揮し職務を遂行できるように、支障となっている事情を改善する措置が求められます。具体的には施設の整備や援助を行う者の配置などです(障害者雇用促進法36条の3、4)。
ただし、事業主に過重な負担を及ぼすような措置や対応はこの限りではありません。
採用後の合理的配慮の具体例
- 定期健診などの通院の際は、安心して休めるような仕事のバックアップ体制をとった
- 職場復帰の場合で、復帰時に労働条件を見直し一般の社員よりも30分短縮勤務とした
- 主治医より治療に関する診断書が出た場合には、その内容に応じて体調に無理のない範囲で仕事を行えるように配慮した
- 採用時の職種では体の負担が大きいため、考慮した上で負担が少ない職種に変更した
- 体調管理のため1時間に一度休憩を取る(水分補給とストレッチ)こととし、休憩の取り忘れを防ぐ配慮もしている
合理的配慮の提供を受けるには
能力を発揮して働き続けるため、合理的配慮としての措置はどんなことが必要か、本人と事業主で話し合いを持つことが大切です。支障となっている事情や必要な措置・配慮をしっかり伝えてください。
採用前の面接に関しても、合理的配慮の内容によっては事業主が準備に時間がかかる措置もあるため、時間的余裕をもって申し出ることが大切です。
合理的配慮を含む「働く権利」を享受するために、病気や障害をもつ方が普段から職場での良好なコミュニケーションで信頼関係を築きつつ、体調・自己管理を行い成果を上げることで役割をしっかり遂行するという意識が必要です。
― with Kidneyプロジェクト 開催中のアンケート ―
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