世渡りナビ(就業・社会生活)腎臓病・透析に関わるすべての人の幸せのための じんラボ
障がい者就労支援の取り組み
「ユニバーサル就労」を知る
2014.10.14
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梅雨明けが待ち遠しかった7月初旬、千葉県千葉市にある「生活クラブ 風の村」を訪問しました。
「生活クラブ 風の村」の池田 徹理事長から直々に「透析者の就労に何か協力できるのではないか」とじんラボにご連絡いただいたのがきっかけです。実は池田理事長ご自身が在宅透析をされているのです。
「生活クラブ 風の村」は1994年、生活クラブ生協(生活クラブ虹の街)として取り組んだ「たすけあいネットワーク事業」から始まりました。
現在では千葉県内各地で、子どもや障がいを持つ人、お年寄りといった人たちが住み慣れた地域でいきいきと暮らすための幅広い取り組みを数多く行なっています。その中でも「障がい者の就労」については大変興味深いものがあります。
いくつかの拠点の中で今回訪問したのは、千葉市稲毛区にある「生活クラブ いなげビレッジ虹と風」です。そこで行われている事業で私が特に関心を持ったのは「ユニバーサル就労」です。
「ユニバーサル就労」とは、「精神的、身体的、社会的な理由で『はたらきたいのにはたらきにくいすべての人』が、はたらけるような仕組みをつくると同時に、誰にとってもはたらきやすく、はたらきがいのある職場環境づくりを目指していく取り組み」(同団体パンフレットより)です。
私は透析者の就労に関して強い問題意識を持っていましたので、早速池田理事長とユニバーサル就労支援室の平田室長に、この「ユニバーサル就労」について詳しくお話いただきました。
「ユニバーサル就労」は、「就労を希望する人にあわせ、仕事をマッチングする」という考え方のもと行われます。一つの業務をその特性に基づき分解し、就労希望者へのアセスメント(質問)とコーディネーターによるきめ細かなサポートで、マッチングを図るという支援です(図参照)。そのきめ細やかなシステムにはとても驚かされました。
透析者においてもそれぞれ身体的状況、精神的状態等が異なります。
体力的・精神的な問題に加えて、週3回それぞれ4時間以上の透析時間に加えて通院時間という時間的拘束があり、勤務時間についての工夫が必要です。
その個々の状態をしっかり把握・アセスメントし、マッチングさせた就労後もサポートをしていくような仕組みづくりを、風の村と同じ様にできればと思いながらお話をうかがいました。じんラボで具体的にどのように取り組めば良いのかは難しい課題ですが、しっかり考えていかねばと思いました。
そしてお話の後、施設見学をさせていただきました。
「生活クラブ風の村 いなげ」では、ケアプランセンター、サービス付き高齢者向け住宅、ショートステイ (短期入所生活介護)、デイサービスセンター、訪問介護ステーション (ホームヘルプ)、訪問看護ステーション、診療所、障がい児・者日中活動支援事業と幅広い事業を行っており「ユニバーサル就労」の支援では、主にこれらの仕事の中からのマッチングを進めています。
見学中、実際に高齢者向け事業の中で、ユニバーサル就労の仕組みでマッチングを受けた方をご紹介いただきました。その方が楽しそうに笑顔でいきいきと働く姿勢は本当に素晴らしいと思いました。
働くことは一生活者として生活の糧を得るという意味で大切なことなのはもちろんですが、生きていく上でのとても強いモチベーションとなります。
透析という長い道のりにおいて、夢や生きがい、目標・楽しみを持つことは、そのためにも透析を頑張ろうと前向きに生きられる大きなエネルギーとなります。
「生活クラブ 風の村」の事業は主に千葉県在住の方が対象ですが、各地域にも独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構やハローワークといった障がい者の方のための就職・転職斡旋会社等の相談窓口があります。
心身の状態等をしっかり鑑がみたうえで、専門の機関で相談員の方にお話をしてみる、 その第一歩を踏み出してみませんか?
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