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【第10回】
新たな可能性 オーバーナイト透析
2015.8.3
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オーバーナイト透析という人工透析治療をご存知でしょうか。長時間透析療法の1つであり、最近徐々に注目されている治療の1つです。場所や地域によっては「一泊透析」という呼び方もされているオーバーナイト透析の話を今回はご紹介します。
オーバーナイトは直訳すると「夜を超える」とでも表現すればよいのでしょうか? 簡単に説明しますと患者は夜10時くらいから施設に入り、身支度をしてから透析を開始。寝ている間の8時間透析を行うというものです。朝6時頃に回収となり、患者はそこから自宅に戻ってシャワーを浴びたり、透析施設からそのまま出勤したりというスケジュールになるそうです。
平均的な透析患者の場合、毎回4〜5時間ほどの血液透析を週3回受けるので12〜15時間となりますが、オーバーナイト透析の場合、患者本人は寝ながら8時間の透析を受けるので、体感時間としては短いながら週3回で24時間の透析が可能となり、時間や効率の面でも優位性の高い治療といえるのでないでしょうか。東京のあるクリニックでは週3回の夜間透析の内、金曜日の夜から土曜日の朝までオーバーナイトを行うという取り組みをされているということを、昨年(2014年)札幌市で開催された長時間透析研究会の資料で拝見しました。
患者会役員という立場上、働いている透析患者の悩みをお聞きする機会もありますが、よく言われるのが「仕事場から早退するので気が引ける。さらに早退することで給料が減ってしまう」というお話や「仕事の都合で夜間透析に入る時間が遅れてしまい、きちんとした透析治療ができてないと医師に言われるがどうしたらいいのか? 」というお悩みです。
私自身も、以前の職場では自分の担当していた仕事が完了するまで退勤できずに、夜間透析の治療スタートが遅れてしまうということもよくありました。そういう意味でも働いている患者やご家族の介護などで夜間透析を利用している方、ご家族との団欒の時間を大事にしたいという方も注目したい治療です。
とはいえ、オーバーナイト透析も良いことずくめというわけではありません。患者としては拘束時間の長さの他に、施設によってはベッド利用料などを自己負担するようになっている事例もあります。また病院側としてはオーバーナイト透析中にも医師、看護師、臨床工学技士が必要となり夜勤手当などの人件費が発生しますし、現行の診療報酬の規定上では夜間透析5時間以上の請求は難しいとも言われています。このような状況下でも全国で少しずつオーバーナイト透析を行う施設や、準備を始めたという施設の話もチラホラと聞こえてきました。
このような新しい透析治療を広めるのには、私達患者自身がそのことを望み、また声を出していくことではないでしょうか?
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