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第9回長時間透析研究会 参加レポート
2013.11.25
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- 第9回長時間透析研究会・政金生人先生講演『最高・最適な透析条件を考える』
- 第9回長時間透析研究会・草刈万寿夫先生講演『長時間透析でも血流量は多い方が良い』
- 第9回長時間透析研究会・透析患者からのメッセージ
『透析と共に生きて』森本幸子(兵庫県 元町HDクリニック)
『透析と共に生きる幸せ』畠山岳士(滋賀県 第二富田クリニック)
去る2013年11月10日(日)長崎県にて第9回長時間透析研究会・長時間透析の光と影「日本の透析を今一度洗濯いたし申し候」が開催されました。
長時間透析研究会は、日本の各地で「長時間透析」を推進している医師たちが、毎年持ち回りで開催するイベントで、標準的に行われる1回4時間×週3回の血液透析に対し、1回6時間以上×週3回以上、更に血流量を300mlなどに設定する長時間透析が透析患者の身体にどれだけの利益をもたらすかといった議論を重ねる場です。
今年は副題として「長時間透析の光と影」といったメッセージを加えており、長時間透析が患者にもたらす光——恩恵の部分と、欠点である影の部分、両方を見つめ、様々な議論が展開されました。
われわれじんラボスタッフ——所長、カオリ、よしいなをきの3名も前日9日から飛行機で長崎に入りました。会場には製薬会社や医療関係企業が各社ブースを設置しており、自社製品のパンフレットや、慢性腎不全の患者や透析患者向けに料理レシピや治療上の注意事項をまとめた資料など準備しています。
実は本研究会の大会長である前田兼徳先生のご厚意で、じんラボもブースを設置させて頂きました。
場所は会場に上がるエスカレーターの前という、誰もが目を止める好条件の場所でした。
さて、10日当日は第1会場、第2会場に別れ、様々な講演やセッション、ディスカッションが行われました。ここでは第1会場でのイベントを中心にレポートします。
長時間透析研究会指定セッションとして、「長時間高血流透析 VS 長時間低血流透析〜どちらがいいの?〜」と題し、ディベートが行われました。司会は、仁真会白鷺病院の山川智之先生、進行は、兼愛会前田医院の前田兼徳先生です。高血流透析派は、援腎会すずきクリニックの鈴木一裕先生と菅沼会 腎内科クリニック世田谷の菅沼信也先生が、低血流透析派は、かもめ大津港クリニックの西山敏郎先生と、かもめクリニックの金田浩先生がそれぞれ演台に立ちます。
このディベートはどちらの考え方が正しいかではなく、プレゼンテーションとしてどちらが観客の心に訴えるかで競われます。どちらの考えも6時間から8時間の長時間透析には変わらないのですが、血流量を200ml前後で抑えた方が身体には優しいという考えと、血流量を300ml以上とした方がより予後が良いという双方のプレゼンテーションが展開されました。
ディベートの勝敗は場内にいる方々の拍手で決まりますが、双方とも同等の拍手を得て、今回は引き分けという結果です。
ディベート終了後は、「透析患者からのメッセージ」と題し、お二人の患者の方が登壇されました。森本幸子さん(兵庫県元町HDクリニック)は「透析と共に生きて」と題し、長時間透析により元気に活動していることを語り、畠山岳士さん(滋賀県第二富田クリニック)は、在宅透析を家族で力合わせて継続していることを語りました。
お昼の時間にはランチョンセミナーが開かれました。朝の受付時に整理券を受け取った方はお弁当が配られ、このお弁当を食べながらセミナーを聴きます。ちなみにお弁当は透析患者には少しゼイタクなくらいたっぷりの量でした。
講師は清永会矢吹病院副院長政金生人先生です。「最高・最適な透析条件を考える」と題し、血液透析量と効果、HDF臨床効果とメカニズム、愛Pod計画について語られました。
午後からは「ナガサキ・シンポジウム<長時間透析は果たしてベストの治療なのか?>長時間透析の光と影」と題し、12名の医療従事者の方の連続講演及び、パネルディスカッションが行われました。
一日の時間の中で、医師や医療従事者などの専門科の話や、また実際に長時間透析を実践している患者の方の話を集中的に聴くことができました。難しい話もたくさんあったのですが、長時間透析の実践を通して快活な生活を送っている透析患者の方や、透析患者の予後や健康状態を真剣に診られている医療従事者の方々が大勢いらっしゃることへの感謝と、そして、これからの透析治療とその生活に希望が感じられました。
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