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【第11話】私の震災体験 後編

2018.9.25

文:よっしー

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震災後の宮古市 震災後の宮古市

前回に続き、私の震災体験の後編です。

震災時の透析、私の場合

東日本大震災が起きたのは金曜日。私の場合まさに夜間透析の日だったので、念のため誰かいたらと思って病院に暗い中歩いて行ってみました。するともちろん誰もいません、電気は通じておらず真っ暗でした。

このように、震災時の透析で1番問題になるのは電気と水です。病院には自家発電が備えてありますが、とても平常時には及びません。仮に電気が復旧しても水がありませんでした。翌日の夜中、自衛隊の給水援助が来てくれて、やっと透析が出来たような感じです。このように水か電気が断たれれば、そこで透析は不可能です。

その後しばらくの間は、県内でも被害が少なかった病院での間借り透析となりました。そのため、なんとか空きスペースで3時間とか4時間透析の日々を過ごしました。
移動は使える車でスタッフさんも乗り合いで何とか、という感じです。その病院にもいつも通院されている方がいる中ですから、贅沢は言えませんでした。


食事の注意点

この状況で患者が気をつけること、1番はカリウムの制限です。日頃からカリメートなど高カリウム血症のお薬を処方されている場合、可能なら予備をもらっておくと安心です。災害時は、カリウムは栄養的にも状況的にもどうしても上がります。

対して水分摂取は、なにせ水が出ず飲めないため日頃多い方でも増えません。蛋白質(リン)も、摂りたくてもありません。まず数日はまともな食事が無いため、これらは全く考えなくてもいいぐらいです。しばらくして救援物資などが来てから気をつけてください。


移動手段の問題

どんな被害の程度や範囲でも、1〜2週間ぐらいすると被災地はなんとか落ち着いてきます。援助物資が到着したり、各地から災害救援の方々がやってきたり、電気、水道の復旧も始まります。

そうすると問題になってくるのがガソリン等の移動手段です。例えば車移動が主体の田舎では、ガソリンのあるうちはいいのですが、無くなると移動できないことになります。しかも、スタンドはほぼ閉まっているか大行列です。都心部でもバス、タクシーはガソリン次第ですね。 さらに道路。これも地割れ、橋が落ちるなど、普通に使えなくなることもあります。鉄道も電気はもちろんですが、線路の状況次第です。これらがやられると、復旧には相当の時間がかかることになります。


都内は「普通の日曜日」でした

最後に余談ですが、震災直後の日曜日にやっと復旧したつくばエクスプレスで都内へ行きました。
というのも、朝7時頃家にいても何もできないので歩いて職場の無事を確認しに出かけ、ついでに駅まで散歩したら動いていたのです。帰ってもやることもないので、つい乗っちゃいました。
復旧後営業第1号の電車で、途中利根川を渡る時に「利根川鉄橋にゆがみがあります。それを確認しながら進みます」なんてアナウンスがされたくらいでした。

1時間ちょっとで秋葉原に着きました、お昼近くの到着です。そうしたらそこは普通の日曜日でした。人々は買い物に来ており、会話も普通、レストランもやっていました。街の明かりはついており、携帯も皆さん使っていて、何もかもが普通でした。
あまりの差に愕然としました。なにせ出て来る時のつくば駅は、成田から海外へ脱出する方で大混雑でしたから。

私はそこで2日ぶりにご飯を食べて、トイレに行って水も流し、ちゃんと手も洗って帰ってきました。つくばではご飯は無いですし、トイレを流す水もありません。手を洗うために水道の蛇口をひねっても何も出ません。
普通のことがなんて幸せで、なんて快適なんでしょう。なんか地震が夢のように思えたのを覚えています。もちろん、帰ったら現実に引き戻されましたが。
ですので、都内の方が「地震大変だったよ」と言うと、その時は「うそつけ」と思っていました。もちろん都内も揺れたので、大変だったのですよね。すみません。


常に「心づもり」をしておきましょう

これはあくまでも茨城県つくば市の例です。仮に大阪のような大都市で被災した場合、また違いがあるかもしれません。
さらに、実家は三陸沿岸の街でした。この地域は大津波が街を襲い、実家も1階が完全に水没し、全壊判定です。しかもほとんどの病院は水没してしまい、1ヶ月以上閉鎖というところもありました。仕方なしに他県への疎開も行われたようです。

このように被災場所によって被災状況はさまざまですが、ただ言えることは「心づもりがあるかどうか」だと思います。
ただでさえ被災すると余裕は無くなりますが、日頃から考えて備えがあると、心づもりが全く無いよりは少しだけ余裕が生まれます。心づもりがあると無いとでは、実際その場で大違いです。ただでさえ震災のストレス、プラスその後の生活でのストレスがあり、余裕と備えが無いと心が持ちません。
災害は我々にアポイントを取ることなく、突然やってきます。いずれ日本のどこにいても、大災害に襲われるでしょう。その心づもりをしておき、いつ来ても「かかってこんかい!」くらいの気構えを持って過ごしましょう。

次回は最終回。私なんかの話で恐縮かつおこがましいですが、就職と結婚についてお話したいと思います。

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よっしー

よっしー
岩手県生まれです。小学生の時にIgA腎症と言われてから腎臓病と付き合ってきました。23歳、大学卒業と同時に透析導入しました。
仕事は大学で技官として学生さんの指導に当たっています。
透析は火曜コースの夜間です。旅行が趣味で実益とかねて日本全国、最近は海外にも出かけています。

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