世渡りナビ(就業・社会生活)腎臓病・透析に関わるすべての人の幸せのための じんラボ
「まだ大丈夫」の先にあったもの ― 働きながら慢性腎臓病(CKD)と向き合うための考え方
2026.4.27

これはあなたの物語かもしれません
会社の健診などで「血圧が高いですね」と言われたことはありませんか?
または、「腎臓の機能がやや低いですね」と言われたまま、そのままにしていないでしょうか。
忙しい毎日の中で、つい後回しにしてしまう。痛くもかゆくもないので「まだ大丈夫」と思ってしまう。そういう時間は、誰にでもあるものです。
でも、慢性腎臓病(CKD)は、気づかないうちに進む病気です。そして日本では、成人の約5人に1人がCKD、またはその予備群といわれています。
決して特別な誰かの話ではなく、今これを読んでいるあなたや、あなたの身近な人の話かもしれません。
もくじ
「ちょっと血圧高めですね」と言われ続けていた
血圧が高いことは分かっているけど、特に困っていることもなく、日常生活に影響もない。
再検査や受診をすすめられても、「忙しいからまた今度でいいや」と思って、そのままにしてしまう。
そんな時間が何年も続いている、という方も少なくないかもしれません。
見過ごしているかもしれない、腎臓からの静かなサイン
腎臓は、機能が低下しても、痛みや分かりやすい症状が出にくい臓器です。
そのため、「いつも通りに過ごせている」という感覚のまま、気づかないうちに変化が進んでいくことがあります。
特に、高血圧や糖尿病などがある場合、腎臓には知らないうちに負担がかかり続けています。「何も起きていないように見える時間」は、何も起きていないように見えて、実は変化が進んでいるのかもしれません。
「まだ大丈夫」から一歩進むために必要なこと
「まだ大丈夫」と思ったまま時間を過ごしてしまうと、より良い選択肢が目に入らなくなってしまうことがあります。
一歩踏み出すためにまず必要なことは、自分の状態を知ることです。
腎臓が体の中でどんなはたらきをしているか、生活習慣との関係、そして「どこから、何に気をつければいいのか」。
それらを無理なく整理して自分ごととするために、CKDシート※をまとめた「腎臓のリスクに気づける基礎セット」を作りました。
「まだ大丈夫」と思っている今だからこそ、一度立ち止まって、自分の状態を見てみる。それが、これからの選択肢を広げる「はじめの一歩」になります。
※「CKDシート」とは、治療と自己管理を続けているCKDの方が自分らしい生活を送るための、知恵と工夫がぎゅっと詰まったシートです。ファイルに綴じて「自分だけの教科書」をつくったり、ポスターとして壁に貼ったり。あなたのくらしに合わせた自由なスタイルで活用できます。
そしてある日、「要再検査」と言われた
ある日、これまでと同じように受けた健診で、「要再検査」という結果が出る。
これまでの「経過観察」とは違う言葉に、少しだけ現実味が出てきます。すぐに体調が悪くなるわけではない。でも、「このままでいいのだろうか」という感覚が残る。
それまで遠くにあったはずの「病気」という言葉が、少しだけ自分に近づいてきたように感じます。
最初に頭に浮かんだのは、仕事とこれからの生活のこと
診断や検査のことよりも先に、「これからどうなるんだろう」と考えてしまう。
仕事は続けられるのか。通院や治療と両立できるのか。収入はどうなるのか。
はっきりとした自覚症状がないままの体や病気のこと以上に、生活のことが一気に現実味を帯びてくる。
そんな感覚を持つのは、ごく自然なことです。
何から考えればいいのか分からない
いざ現実に向き合おうとすると、分からないことが一気に増えていきます。
- 自分の病気はどんな段階なのか。
- どんな治療が必要なのか。
- 生活はどう変わるのか。
- 仕事はどうすればいいのか。
情報は探せば出てくるけれど、それをどう受け止めて、どう判断すればいいのかが分からない。膨大な情報を前に、ただ立ち尽くすことしかできない。
その状態が、「不安」の正体なのかもしれません。
考える順番を決めると、見えるものが変わる

すべてを一度に考えようとすると、「不安」はより重く大きく感じてしまいます。けれど、本来はそれぞれが別のテーマであり、順番に整理していくことができます。
まずは何を大切にしたいのか。次に、どんな働き方が現実的なのか。そして、そのために誰に協力を求めればいいのか。
考える順番を決めるだけでも、受け取り方や見え方が変わり、目の前が開けてきます。
働きながら向き合うための整理ツールがあります
これからの働き方や生活への不安を解消する「考える順番」をサポートするために、CKDシートをまとめた「仕事と生活を続けるセット」を用意しました。
働きながらCKDと向き合ううえで必要になる考え方や準備を、無理なく順番に整理できるようにしたものです。
▼セット内容
働きながらCKDと向き合うためには、仕事・生活・お金・情報など、いくつかのテーマを整理して考える必要があります。
あわせて、食事や睡眠などで腎臓をいたわりつつ、日々の生活で体調を整えることも、治療と仕事の両立を支える大切な土台になります。
「仕事と生活を続けるセット」は、それらを無理なく順番に整理できるようにまとめたものです。
- 自分にとって大切なことを整理する「くらしの地図」
- 無理のない働き方を考えるヒント
- お金や制度についての基本的な知識
- 必要な情報とその優先順位を整理するチェックシート
- 体調とこころの健康を保つための生活のポイント
このように、必要な視点をひとつずつ整理できるようになっています。
「働き続ける」ことをあきらめなくていい

「CKDと向き合いながら働く」というこれまでにない状況に、不安を覚えるのは当然のことです。
しかし、「働くこと」は、単なる負担ではありません。生活のリズムを整え、社会とのつながりを保ち、自分の役割とやりがいを感じること。それは、体とこころの両方を支える、大切な土台になります。
つまり、「働き続ける」ことは、自分のこころと生活を守るためのひとつの選択なのです。
そのために、体調に合わせて働き方を見直したり、周囲と共有したり、活用できる制度やサポートを知るなど、いくつかの準備が必要になります。
そしてそれらは、ひとつずつ整理していけば、決して大変なことではありません。最初からすべてを抱え込まず、ひとつずつ、少しずつ、自分のペースで整えていけばいいのです。
CKDがあっても、働きながら自分らしい生活を続けていくことは可能です。
じんラボは、そのための情報をこれからもお届けしていきます。
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