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【第3話】透析ライフと仕事との両立について

2018.11.5

文:たいしょう

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こんにちは、みなさん透析ライフはいかがお過ごしでしょうか? 今回は仕事との両立についての体験談です。


大病院の清掃部門所長として勤務、そして透析導入

現在46歳の私は、29歳で結婚、妻の出産、転職を経験しました。それから清掃請負の会社で約14年間、現場幹部候補生としてさまざまな病院現場の主任や所長を経験し、最終的には日本で5番目に大きいといわれる病院の清掃部門の所長として約6年勤務しました。そして今から約4年前に透析導入となりました。

思えば大病院の所長として勤務している時から、透析導入になる前兆はあったように思います。最初の4年ほどは何事もなく過ごしていましたが、その後は毎年夏頃になると、疲れのせいか右足ふくらはぎの蜂窩織炎(虫刺されなどが原因で体内に菌が入り腫れる)や糖尿病による眼底出血を発症し、網膜裂溝(網膜剥離の前兆)のレーザー治療等も受けました。倒れる1か月前に「心臓と肺に水がたまって溺死する寸前」と言われるまで、さまざまな病気に見舞われました。
勤務地がたまたま日本でも屈指の病院ということで各々の病気への処置が早く、なんとか命を助けられました。かかりつけの医師によると、透析導入もクレメジン(活性炭の薬)で半年ぐらいは先延ばしできるとのことでしたが、日本の社会保障制度がかなり整備されていることもあって、何の抵抗もなく透析導入を即断しました。


透析導入後の勤務状況

透析導入後最初の1年は勤務地を自宅の少し近くに変えてもらいましたが、まだ体力もあったので、透析日(14時半から19時半までの5時間)の午前中と透析空き日の全日は通勤できました。このように週30時間勤務を達成し、社会保険にも加入していました。
2年目は、透析日の翌日は起きられなくなり休みがちになりましたが、会社と相談しながら週に2〜3日程度出勤していました。5時間の透析がかなり負担になっていた様子で、夜は眠れず疲れを翌日に持ち越すようになりました。
3年目になると、吐き気、めまい、頭痛、腹痛といった合併症がかなりひどく、ほぼ会社に行くことができなくなりました。1年間休業した後、今年の5月末日で退職しました。
私は国家資格であるビルクリーニング技能士をはじめ特別管理産業廃棄物管理責任者資格、障害者職業生活相談員資格等を保有しているので、会社側もかなり残念な様子でした。
在籍中はさらにその上の国家資格の勉強も薦められていたくらいですから、会社側との連携は非常によく、人脈にも助けられてかなり優遇されていました。しかし、朝4時起床や現場の外回り等の身体を酷使する作業には体力が続かなくなりました。


退職する方も多いが両立して仕事を続ける方も

体調の変化に伴って心境にも変化があり、元気な時のように「イケイケ!ドンドン!」というわけにもいかず、何をしても心にブレーキがかかっていたように感じます。
クリニックにこれらのことを相談したところ、やはりみんな自分と同じような心境の変化で仕事を辞めてしまっているとのことでした。私は妻から「もう生活のために働かなくてもいい。なんとか食べていける」と言ってもらっているおかげで、今は透析ライフに全神経を傾けることができます。
反面、ずっと仕事と両立されている方もいるようです。同じクリニック内でもベッドに仕事を持ち込んで作業されている方がいますし、妻の友人にも出産時の後遺症から透析になり、パートをしながら息子さんを育てている方もいるそうです。


自分があきらめない限り、どんな形でも社会に参加できる

さまざまな患者さんの話を聞いて共通して感じることは、体力的な負担が少ない仕事なら続けられるということです。自分の体の状況と上手く相談しながら、自分に合った仕事をするのが良いでしょう。
私も仕事をしなくていいとはいえ、このように体験談を書いたり、退職した会社の後輩達がさまざまな相談を持ち掛けてくるので、常に頭は動かせるように心掛けています。
自分があきらめない限り、どんな形でも社会に参加できるのです。もちろん仕事と透析の両立は素晴らしいことですが、それができなくても落ち込む必要はありません。たとえお金にならなくても、趣味など何か自分に向いていることを見つけて励めば、人間らしさを失わずに生活できると思います。

前向きに、透析ライフを満喫しましょう!

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たいしょう

たいしょう
1972年2月24日生まれの46歳。奈良県奈良市在住で、約3年前に糖尿病性腎症を発症し、透析導入。小さいころからスポーツが大好きで水泳、剣道、相撲、アメリカンフットボールなどをしていました。40歳を超えたぐらいから疲れやすい身体になり、感染病なども発症していました。透析導入後の1年間は身体がなじむまで大変でしたが、今は安定した透析ライフを楽しんでいます。
仕事は退職してしまいましたが、持ち前の明るさで家族や周囲の方々の協力のもと、趣味や日記などのライフワークを中心に前向きに頑張っています。

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