遅咲きボクサーの闘病記〜透析を受け止め、前を向くまで腎臓病・透析に関わるすべての人の幸せのための じんラボ
【第4話・最終回】戦いの場に戻る決意
2021.8.2
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透析の導入に加えて糖尿病による神経障害や網膜症を発症し、辛い治療が度重なった当時は何度も落ち込み、不安に押しつぶされそうになりました。
前を向けるようになるまで
2018年に透析治療を導入してから、3年の月日がたちました。
導入して間もない頃は毎回不均衡症候群に悩まされ、低血圧にも苦しめられました。
それは、全身全霊をかけて拳を交えて戦ってきた自分にはとても耐え難い辛い日々で、今思えばそれこそ「人生終わった」と考えてしまうほどに思い詰めていました。
会話の冒頭には、いつも「透析を受けているから…」と言い訳のような言葉を並べ、人と会う時でも「どうせ俺は…」と荒んだ気持ちになっていました。たくさん悩み、苦しみ、壁にぶち当たり、叫び、時には人に当たり、涙を流したこともありました。これが透析導入時の私の姿です。
ボクシングで培った精神力でー、といきたかったところですが、あまりにもギャップが大きすぎてそれどころではありませんでした。
2020年はコロナ禍、2度の入院、3度の手術、リハビリ、日々の食事管理、水分制限、失職…と次から次へと困難が降りかかりました。こうした状況で下ばかり見ていましたが、このままではいけないと思うようになりました。
入院は2ヶ月に渡る長期なものでしたが、この間に恩師と呼べるリハビリの先生に出会うことができました。両足先に負った火傷の治療が思うように進まなかった時に、その診断とリハビリに真剣に向き合って進めてくれました。そのおかげもあって足の機能はずいぶん回復しました。先生、本当に本当にありがとうございました!
自分をさらけ出して戦える場所へ
悩める私に方向を示してくれたリハビリの先生の勧めもあって、スポーツジムに通い始めました。できることは限られていますが、先生が作成してくれたメニューをこなし、今は体を動かせることに大きな充実感を得ています。
そして週3回時間を“拘束”されると思っていた透析も、今では「身体のメンテナンスを週3回してもらえる」と思えるようになりました。以前にも増して、1分1秒を大切に生きれるようになった気がします。
少しでも状況が良くなればと、透析を始めてから3年間で4ヶ所の施設で透析を受けてきました。自分なりの判断ではありますが、今はかなり好環境で透析治療を受けさせてもらっています。
そして最近、新たな夢ができました。少し大げさで恥ずかしいですが、ボクシングのように前を向いて熱くなれる「戦いの場」を見つけようと決意したのです。
リングの上は強い自分も弱い自分もすべて出る場所でした。人工透析を受けていることをハンディキャップとは思わずにしっかり受け止め、真の自分をさらけ出せる場に必ず戻りたいと思います。
必ず!!
今回、このような振り返りの場を与えてくれたじんラボ関係者の方々には心から感謝の意を表します。ありがとうございました。
追伸 透析入室前の体重測定はいつも試合前の計量を思い出します(笑)。
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