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じんラボ所長室

医療者と患者 共に幸せな透析施設を考える
【第2回】医療者編 イベントレポート

2016.4.21

文:所長

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2015年4月26日「医療者と患者 共に幸せな透析施設を考える」の1回目として「医療者編」を開催し、透析クリニック院長、看護師、臨床工学技士といった職種の皆さん、計5名にご参加いただきました。
東京での開催だったため、遠方の方からは「もっと早く教えてくれれば参加したのに…」との嬉しいご連絡もありました。

テーマは、タイトル通りそのまま「医療者と患者 共に幸せな透析施設を考える」。
最初に皆さんから自己紹介をしていただいたあと、医療者の立場からこのテーマについて座談会形式でざっくばらんな意見交換を行いました。 この時に出た主なご意見は以下の通りです。

  • 信頼を得るためには、「コミュニケーション能力」と「確かな医療」が必要で、それぞれの職種が必要な技量をもっていれば関係を築くことはできる。
  • 医療者と患者、ゴールを設定すること、何かしらの目標を立てていくことが大事。ゴールがあると一緒に目指す感じになる。
  • 回診で毎週3回10分とか20分話していれば何かしらお互い知るところは出てくる。
  • コミュニケーションは医療の現場だけではなく、人と人が関わる場面では必ず必要であり大切なこと。
  • 「新しい誕生日(透析導入日)をもらった患者さんがどう生きていくか」を考えて接するべきと以前お世話になった施設の院長に教わった。
  • 家族から最期に感謝をされるのは医療者としては率直に言って嬉しい。
  • 高齢者やがんの末期患者さん、それぞれ透析を導入するかどうかの判断は難しいが、しっかり考えていかねばならない課題である。
  • 「死」について接したくない、考えるのを避ける医師がいる。
  • 患者のケツを持つ(最期まで診よう)という覚悟がない医療者がいる。
  • 透析は決して安全な治療ではない。透析導入前や転院するタイミングでしっかり患者にその事を話すべき。

特に印象的な意見の一つはこちらでしょうか。

1. 信頼を得るためには、「コミュニケーション能力」と「確かな医療」が必要で、それぞれの職種が必要な技量をもっていれば関係を築くことはできる。

「コミュニケーション」は、今回の企画の中で何回も出てきたキーワードでした。
透析施設だけでなく、人と人とが向きあう場所であればどこでも大切な要素となる「コミュニケーション」。
何気なく交わされるが故に意識しないことも多いですが、やはりとても重要だということを再認識した次第です。
また、「確かな医療」という言葉に、医療者としてのプライドと覚悟を見た思いがしました。


「覚悟」というキーワードで言えば、下記も印象的な発言でした。

2. 医療者と患者、ゴールを設定すること、何かしらの目標を立てていくことが大事。ゴールがあると一緒に目指す感じになる。

9. 患者のケツを持つ(最期まで診よう)という覚悟がない医療者がいる。

本当にその通りだと思います。 医療者が患者の目標に寄り添ってくれていると感じることは、患者にとってとても心強いことです。それにより患者は、「ただただ義務感で嫌々透析を受ける」という状況から一歩進んで、長い透析生活を送る上で目標を持つことができますし、日々のQOL(生活の質)だけではなく予後にも当然影響するように思えます。
その反面、忙しい透析医療の現場で、どこまで一人一人に寄りそう関係性を構築できるのかは、難しくもあると感じました。


また、こちらも考えさせられるご意見でした。

7. 高齢者やがんの末期患者さん、それぞれ透析を導入するかどうかの判断は難しいが、しっかり考えていかねばならない課題である。

透析患者も高齢化が進み、認知症を患う患者も増えています。そして、いわゆる「事前指示書」について検討する施設も多くなってきています。
透析をするのが困難になってきた高齢者の方、また末期がんを患った方に透析を導入することがその人にとって幸せなことなのか。もし自分だったら…、また自分の家族だったら…と考えるとその選択は簡単ではないかも知れませんが、とても重要なことなのは言うまでもありません。

この課題に関しては、本人はもとより家族と医療者との綿密な話し合いのもとに行われるべきですが、患者自身がまだ元気なうちに考えておくことが大切ではないかとも思いました。


最後に挙げるのはこちら。

10. 透析は決して安全な治療ではない。透析導入前や転院するタイミングでしっかり患者にその事を話すべき。

これは私自身が約30年前に透析を導入した時のことを考えると、とても反省すべきことが多くあります。「透析について知りたくない」という気持ちが強く、病院で透析の本を買ってもどこか上の空でした。
多分、自分の中でどこか「受け入れられない」という気持ちが強かったのだと思います。
現在では、導入に際するご相談をじんラボにいただくことも多くなりました。
同じ患者だからこそ伝えられることもありますが、本来は医療者の協力を得て、【透析導入前にきちんと透析と向き合う気持ちの準備ができる】これが理想ではないでしょうか。


話が途切れることなく、あっと言う間に約1時間30分が過ぎました。
終えてみて、開催して本当に良かったと思っています。
透析という医療カテゴリーにおいてこそ、患者と医療者の協働の取り組みが必要であり、そのスタートラインに立てたような気持ちでした。

終了後は近くの居酒屋さんで懇親会。当然「第2ラウンド」と相成りました(笑)。

次回は「患者編」のレポートをお届けします。どうぞお楽しみに!

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所長

所長
一般社団法人ペイシェントフッド代表理事。社会福祉士。透析歴31年。
14年間勤めた一般企業を退職後、福祉職を経て、2010年9月に株式会社を設立し、2018年4月からは一般社団法人ペイシェントフッドに法人格を変更。
長い年月にわたり「治療を受ける」という「受け身の立場」で医療と関わってきましたが、腎臓病を経て、透析を受ける当事者として、その経験・想いを「腎臓病・透析に関わるすべての人の幸せのために」役立てられないかと一念発起し、起業しました。
「じんラボ」はみなさんと一緒につくりあげていくコミュニティです。
「ひとり一人の「生きる力」が、医療を支える、希望ある社会」の実現に皆さんと共に歩んでまいります!どうぞよろしくお願いします!

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