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慢性腎臓病(CKD)の食事療法でのうれしい変化と“棚ぼた”
2024.1.15
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私の伯父が胃がんを患った際、胃を切除した分食事量が減り、ビールの一口目がおいしくなくなったなどと愚痴を言いながらも「メタボも高血圧も治っちゃったさー」などと笑っていました。「怪我の功名、塞翁が馬、かな?」などと会話をしながら、がんが原因で他の病気が改善する、興味深い「棚からぼたもち(思いがけない幸運)」だなあ、と思ったものでした。
術後は消化の悪い食品を避ける指導があった程度でいわゆる食事療法は行っていませんでしたが、食欲が落ち少食になったことがメタボリックシンドロームと高血圧の改善に繋がったのでしょう。
食事療法とは、食習慣の改善による治療のひとつです。腎臓病においては、基本的に段階(ステージ)に応じて塩分、水分、カリウム、リン、たんぱく質などの制限・管理によって、病気の進行を抑えたり、合併症の予防を目的として行います。
じんラボの10周年企画with Kidneyプロジェクトでは定期的に意識調査を行っており、2023年8月は腎臓病当事者の方々の「食べること」についてのアンケートを実施しました。
この調査では、腎臓病と診断された方々の「食べること」に関する実態や正直な気持ちを集めるため、自由記述式で思いの丈を述べていただきました。
with Kidney調査 第5回 当事者アンケート④「食べること」について 調査結果
この調査の「腎臓病が分かってからの食生活での良い変化」という設問には、食事療法の目的通りの効果・変化だけではなく、興味深い「うれしい“棚ぼた”」を多数お寄せいただきました。この記事ではそれらを整理してご紹介します。
痩せた、食事量が減った、食事量をコントロールできるようになった
- ダイエットになった。
- 痩せました。夏はBMI18切りそうです。
- 食が細くなっていった。
- 痩せました! 体が軽くなりました。
- 暴飲暴食をしなくなったこと。
- 食事量が減った。
- バランスの良い食事になり、暴飲暴食がなくなった。
- 外食が減った。ラーメンを食べなくなった。肉を渇望しなくなった(笑)。
- 良いか悪いかは少々疑問ですが、体重が落ち、痩せました。
- カロリーが減って、体脂肪が減った(普段ジム行っています)。
- 体重がやや減ったくらい。
- たんぱく制限により摂取カロリーがおそらく大幅に減ったことで、体重が減りました。ただ、少々減りすぎてしまった感もあります。
- IgA腎症になった時、食塩と油を控えるよう指導があり食生活を変えて体重が減りました。ピークの時、55キロあった体重が45キロ位になり、体が軽くなりました。しかし、透析をしている今は39キロになってしまいましたので、増えるようしっかり食べてます。あと、ヤクルト1000を1日1本。チーズもいいと聞いたので、ナッツ入りのチーズを1日一個食べてます。
症状の改善、病気の進行抑制
- 食生活が変わった事と食事量が減ったことで、コレステロール値や肝機能は良好になった。
- 塩分を控えることで、25年くらいは、透析せずに済んだ。
- 塩分を控えたことで血圧が安定した。
- 元々料理は薄味だったので特に変化無し。
たんぱく尿は腎臓の先天的奇形によるもので治療薬も無いので、「塩分を控えて、と激しい運動はしない様に! もう通院もしなくて良い」と医師から言われた。 - 腎機能以外の全ての数値が正常に。だが、たんぱく質の不足で肌荒れが半端なく酷い。
- 低たんぱく食にしてから尿素窒素(BUN)が下がったこと。
生活や意識の改善
- 食事に関して、勉強して、野菜の栄養素や調味料の成分に、詳しくなった。
- 減塩食を食べるようになってから味覚が薄味に慣れたこと。
- 塩分を気にするようになった。家族も気にするようになった。
- 塩分を控えるようになり、味付けの濃いものは避けるようになった。
- 塩分は何とか控えられるようになった。
- お弁当を妻につくってもらっています。野菜は茹でこぼししたり、味つけに関しても市販のドレッシングなどは使わず、基本の調味料などでのシンプルなものになりました。何を使っているか分かるので安心して食べられますし、自分でコントロールできてます。
たんぱく調整ご飯とか別に買うこともありませんので、経済的にも負担はおさえられていると思います。 - 色々制限はあるけど、その中でも楽しめる様にしています。
- 食品のたんぱくを考えながら購入し始めた。
- 病気に関係なく、塩分控えるようになったことは良かったと思う。
- 塩分控えめな生活を継続し、家族が健康になった。
- 時に宅配の腎臓病食を利用し、少量だがさまざまなものを食べるようになった。
自己管理の上達
- 血圧管理ができるようになった。
- 塩分をコントロールできるようになったこと。
炭水化物を少なくして、副菜の種類を多くした事。
鶏胸肉を意識して食べるようにして、筋肉を維持できている。 - 1日1食夕食のみにする事で、体重のコントロールがしやすく、家族との夕食の時間は食事制限をあまり気にせず快適な時間を過ごせるようになった。
- 塩分を控えるようになり薄味にも慣れてきたおかげで体調が罹患前より改善された。
- まずは、塩分を控えることから始めました。
その次に、食材一切れに含まれる全ての栄養素、食べることに、とりわけ生き甲斐を感じていたものですから、やはり、最終的に自身の目で見て食材を選び、調理しました。
その関連で、愛犬の初期腎臓の弱りに気付き、早急に対処することもできました。無知は、何も生むことがありませんが、私にでもできること、それは、食べることに執着し続けてこれたお陰様からくる、食材への貪欲なほどの興味でした。幸い愛犬の進行はなく、適切な手作りご飯にて全て調節することが楽しく、また、美味しく完食してくれている姿を見ていて間違っていないんだと気付きました。
全ては自身の病気が招いて得た知識なので、これからも、自信を持ち夢を叶えていければと思っています。
新しい気づき
- 低たんぱく米をとることで、おかずなどお魚中心になった。明らかにおかずが変わりました。
- 減塩で味覚が鋭くなった。
- 自分の食べているモノで体が楽だったりしんどくなったりと、食事がとても大事だとわかった事。
- 食事制限ができてから、好きか嫌いかよりたんぱくやカリウム、リンで選ぶようになったので、食べたことがないものに挑戦するようになった。
- 万遍なく食べるようになった。食べられるものが美味しく感じる。
- よく噛むようになった。
- 美味しい物は凄く美味しい!
食事への感謝が強く持てていると思います。 - 味の濃い料理を3日食べると、薄味が物足りなくなります。薄味に慣れるには1週間はかかるということがわかりました。
飲酒に関すること
- アルコールをほとんど飲まなくなった。
- 禁酒したので、深酒で失敗しての反省がなくなった。
同アンケートでの設問「腎臓病が分かってからの食事に関する愚痴や悩み」の回答集
― with Kidneyプロジェクト 開催中のアンケート ―
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