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もし、コロナ禍のいま災害が発生したら
【前編】“我が事”として備えを

2020.7.27

文:s.yuri

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今月(2020年7月)は熱中症対策関連の記事が続きましたが、この時期にもう一点皆さんにお伝えしたいのが災害対策です。今月上旬には記録的豪雨が熊本県をはじめ日本各地に甚大な被害をもたらしました。日本ではいつどこで災害が発生するかわからないため、日頃から防災・避難対策を考える必要があります。しかし、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、“3密”になりやすい自治体の指定避難所への避難を躊躇する人が多いでしょう。特に、免疫力が低下している腎臓病患者さんや透析患者さんは尚のことです。新型コロナウイルスのように感染症が蔓延している中、災害が発生した場合はどのように動くべきか…この記事をきっかけに一緒に考えてみませんか?


7~8月は大雨による洪水被害が多発

日本では、梅雨や秋になると各地で大雨や台風被害が相次ぎます。中でも特に被害の大きかった災害は以下の通りです。

平成26年8月豪雨
2014年7月30日~8月26日
広島県、山口県、和歌山県、愛知県など
  • 死者 83人
  • 負傷者 160人
  • 全壊 193棟
  • 半壊/一部破損 1426棟
  • 床上/床下浸水 10994棟
平成27年9月巻頭・東北豪雨及び台風第18号による大雨
2015年9月7~11日
茨城県、栃木県、宮城県、埼玉県など
  • 死者 20人
  • 負傷者 82人
  • 全壊 81棟
  • 半壊/一部破損 7474棟
  • 床上/床下浸水 15782棟
平成28年台風第10号
2016年8月21~26日
岩手県、北海道など
  • 死者 26人
  • 行方不明者 3人
  • 負傷者 14人
  • 全壊 502棟
  • 半壊/一部破損 3515棟
  • 床上/床下浸水 1935棟
平成29年7月九州北部豪雨
2017年7月5~6日
福岡県、大分県、熊本県、広島県、佐賀県など
  • 死者 42人
  • 行方不明者 2人
  • 負傷者 39人
  • 全壊 338棟
  • 半壊/一部破損 1190棟
  • 床上/床下浸水 2336棟
平成30年7月豪雨
2018年6月28日~7月8日
広島県、岡山県、愛媛県、京都府、福岡県、山口県、高知県など
  • 死者 237
  • 行方不明者 8人
  • 負傷者 433人
  • 全壊 6767棟
  • 半壊/一部破損 15234棟
  • 床上/床下浸水 28469棟
令和元年東日本台風
2019年10月10~13日
福島県、宮城県、千葉県、神奈川県、長野県など
  • 死者 104人
  • 行方不明者 3人
  • 負傷者 384人
  • 全壊 3308棟
  • 半壊/一部破損 67344棟
  • 床上/床下浸水 31021棟

近年は、梅雨明け前後の大雨が特に甚大な被害をもたらしています。
今年は7月4日から九州を中心に記録的な豪雨が降り、70人以上が亡くなるなど各地で大きな爪痕を残しました。


災害下でも「自分は大丈夫」?気をつけたい正常性バイアスとは

災害には、地震のように「予測できない災害」と、大雨や洪水、台風、大雪などのように「予測できる災害」があります。大雨や台風被害は天気予報である程度予測できるにもかかわらず大きな被害が相次ぐ理由の一つに、“正常性バイアス”が挙げられます。

正常性バイアスとは、環境の変化が起きても心の平静を保ってストレスを回避するために、「正常の範囲内だ」と判断して対応しようとする心のメカニズムです。しかし、正常性バイアスは自分の想定外の事象が起きた際に過剰作用してしまうことがあり、命を脅かす恐れがあります。

正常性バイアスが原因で被害が拡大した事例として、2003年に韓国の大邱(テグ)市で起きた死者約200人に上る地下鉄放火事件が世界的に有名です。
この放火事件では電車内に煙が充満したにもかかわらず、多くの乗客が車内でじっと座った(または立った)ままで逃げようとしませんでした。まさに乗客に正常性バイアスが過剰に働いていたのです。

地下鉄イメージ

正常性バイアスが働く可能性は誰にでもあります。例えば大雨が降り、自治体から避難指示や避難勧告が出ていても「うちは大丈夫だろう」と思い、避難しなかった経験のある人、新型コロナウイルスの感染が拡大しても「私は感染しないだろう」と思い込み、マスクをしなかったという人は、少なからずいるのではないでしょうか。この判断も正常性バイアスなのです。

過去の災害において、自治体が避難指示や避難勧告を知っていたにもかかわらず、避難した人数が少なかったという報道があります。

「大丈夫だろう」という思い込みは、あなたや家族の命を脅かします。特に腎臓病患者さんや透析患者さんのように基礎疾患がある方は、そういった思い込みによるリスクが健常者よりも高くなります。災害のような非常時は、「これまで大丈夫だったから」という思い込みを捨て、その場の状況に応じて最適な行動をとりましょう。


避難前にハザードマップや避難先を確認して「3密」を回避

避難準備には、国や自治体が公表しているハザードマップ(または防災マップ)が欠かせません。ハザードマップで自宅や職場が安全かどうか把握しましょう。
またコロナ禍のいま、指定避難所に多くの人が集まることに不安を感じている方も複数いることが、先月じんラボが実施したアンケートで分かりました。

  • 「3密になるのが怖い。」(40代女性/大阪府/透析歴3~5年)
  • 「ソーシャル・ディスタンス(フィジカル・ディスタンス)が確保できるかが気になる。」(50代男性/神奈川県/透析歴21~30年)

ハザードマップを踏まえ、できる限り3密を回避できるよう準備しましょう。


ハザードマップでチェックするべきこと

ハザードマップは津波や洪水、土砂災害など災害の種類によって被害想定域、避難方法や避難先が異なります。お住まいの自治体のホームページや、自治体から配布されている防災関連の広報誌で災害別のハザードマップを確かめてください。東京都の洪水ハザードマップは東京都建設局のウェブサイト外部サイトへで見ることができます。

ハザードマップを見る際は、「(自宅や職場が)被災の恐れがあるかどうか」だけでなく、「被災の恐れがある地域にどれだけ近いかどうか」「避難先までの道中で土砂災害等に巻き込まれるリスクはないか」も確認しましょう。


3密から回避できる分散避難を検討

避難先は近所の指定避難所だけではありません。3密を避けるためにも次の分散避難を検討してみましょう。

≪垂直避難≫

自宅の2階以上や頑丈な建物の高い階など、できるだけ高い場所に避難する方法です。浸水が進んだ場合や夜間のように、外に避難することがかえって危険なときにも有効です。ただし土砂災害の恐れがある地域の場合は、山側にある部屋への避難は避けてください。

≪親戚・友人宅や宿泊施設への避難≫

災害の恐れのない親戚や知人宅への避難方法です。スムーズに避難できるよう、平常時から相談しましょう。また近隣にある災害リスクの低い宿泊施設も把握しておくことも重要です。土砂災害警戒区域に住んでいる障害者や妊婦を対象に、災害時の宿泊費を補助する制度を設けている自治体もあります。

≪安全な場所での車中泊≫

浸水や土砂災害の恐れのない高台や駐車場などで車中泊する方法です。他人との密集・密接を防ぐことができ、プライベート空間が確保できます。エコノミー症候群防止のため、座席をできるだけ水平(フルフラット)にして長時間同じ姿勢を保つことを避け、定期的にストレッチをしましょう。一酸化中毒の危険があるため、寝る際はエンジンを切ってください。

自宅や職場がハザードマップの被害想定域から遠く、洪水や土砂災害などの恐れのない安全な場所である場合は積極的に避難する必要はありませんが、災害時は気象庁や自治体の最新防災情報を入手して適切な行動をとりましょう。ハザードマップは“あくまで想定”です。いつどこでハザードマップの想定を超える未曽有の大災害が起きるかわからないので、どこにいても災害対策はしっかり行うことが大切です。

感染症が蔓延している場合、3密を防ぐために自治体が避難場所を増設する可能性もあります。自宅避難や分散避難が難しい方は、いま一度自治体のホームページや広報誌などを見直してくださいね。


お役立ちコンテンツを“プチ・プレイバック”

平成30年7月西日本豪雨を経験されたアスペクト比Pさんの記事です。日頃から非常用持ち出し袋を準備されているというアスペクト比Pさん。災害対策には何を準備するべきか、災害に対してどう心得て動くべきかが記されています。

茨城県つくば市(本震:震度6弱)で東日本大震災を経験したよっしーさんの体験談です。未曽有の大震災の中、苦労されて透析治療を受ける様子が語られています。日本に住んでいる限り自然災害は避けて通れません。この体験談は「自分がいま被災したら…」と考えるきっかけになることでしょう。


災害は“我が事”。避難の選択肢は複数確保しよう

「避難」はその言葉の通り「難を避ける」ことであり、避難所に行くことがすべてではありません。身の安全を確保する手段には、宿泊施設や親戚・友人の家への避難はもちろん、垂直避難や車中泊もあります。
免疫力が低下している腎臓病患者さんや透析患者さん、特に年配の方は、コロナ禍のいま避難を躊躇してしまうかもしれませんが、分散避難が難しければ迷わず指定避難所へ避難しましょう。
いつ起きるかわからない災害。他人事ではなく“我が事”として捉えて対策を考えてみませんか?

続く後編では、以前多くのユーザーさんにご協力いただいた災害対策アンケートの結果と、コロナ禍での避難時に心がけたいことを解説します。

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s.yuri

s.yuri
じんラボのライター。大学卒業後、地元紙で主に教育や警察、司法、スポーツ、地域ネタを追いかける社会部記者として働き、その後夫の転勤に伴いゆるいフリーランスでライター・編集者として活動してきました。
学生時代から医療福祉に関する執筆に関わりたいと思っていたのが、十数年の時を経てじんラボでご縁をいただました。透析や腎臓病の勉強を重ね、少しでも元気の出る情報をお届けします。

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