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透析患者さんにとって大切な心臓のはなし
【第1回】まずは、心臓を知るために。

2015.8.6

文:朝田一生

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じんラボをご覧のみなさま、こんにちは。渋谷区の端っこでひっそり内科医師を勤めております朝田と申します。

いろいろとご縁がありまして、「透析と循環器」という話題でみなさまのお役に立てる情報を少しでもお届けできたらと思い、稚拙ながら一筆したためさせていただきました。

まずはこれを読んでいただいている方の立場に立ち、みなさまが何を知りたいか少し考えてみました。

①自分の心臓は大丈夫かどうかを知りたい
→何を定期的に検査して、何に気をつけていればよいのか?
②どうすれば心臓を悪くしないですむのか、悪くなったらどうすれば良いのかを知りたい
→心疾患の予防策は何? 治療法は?
③透析をしていると、どんな心臓病になるのかを知りたい
→透析の循環器合併症で危険なものは何?

今回は①についてのお話をしてみようと思います。

それぞれ以下の2つの観点からお話します。

  • 学会から出ているガイドライン
  • 私が勝手に考えていること

1つ目についてはガイドラインで示されている以上すべての医師が知っており、すべての方が享受すべき医療、いってみれば最低限必要な医療のレベルです。

2つ目については、正しいかどうか不明なので参考までにしていただきたい事項です。


まず「学会から出ているガイドライン」に沿ってお話してみます。

一番はじめの前提として、心臓にすでに病気があるか否かが大事です。すでに心臓病があることがわかっている方は、「循環器内科に定期的にかかりましょう」ということになっています。何をすればよいかは循環器の先生と腎臓の先生に連携をとってもらいましょう(実際これが難しいことも多々ありますが…)。

では、今まで心臓病といわれたことがない人についてお話してみます。 「何を定期的に検査して、何に気をつけていればよいのか?」という疑問に関しては、ガイドラインでは定期的な検査としてはざっくり下記を推奨しています。

  • 定期的な透析前のレントゲン
  • 透析中の血圧モニタリング(透析前後+透析中は1時間に1度)
  • 聴診(心雑音があるかどうか)
  • 問診(今までなかった息切れやむくみ、胸痛があったかどうかなど)
  • 触診(頸(くび)の静脈が張っているかどうか、体にむくみがあるかどうか、皮膚の感触、血管が触れるかどうかなど)

1と2はどこでもやっていると思います。3から5は、もしかするとサボられている可能性があるものです。特殊な器械は要りませんが意外と難しいものです。

繰り返しのお話で大変申し訳ないのですが、以上1から5は最低限やってもらうべき事項と学会が決めていることになります。
やってもらえない場合は恐る恐るお願いしてみるのも手かもしれません。

以上の検査で異常がある場合は循環器内科の受診を薦める、とあります。

まとめると以下の通りです。

何を定期的に検査して、何に気をつけていればよいのか?

すでに心臓病がある場合→定期的な循環器内科受診を。
今まで心臓病を指摘されていない場合→定期的なレントゲン・血圧測定と身体診察を。異常があれば循環器内科に。

結論として、しっかり検査・診察してもらえているかどうかと、循環器の先生と腎臓の先生の連携が取れているかを気にするとよい。 と、いうのがガイドラインです。


さて、次は完全なる私見です。

ガイドラインによる診療に違和感を覚えた方が多いと思います。 「要するに循環器内科と腎臓内科で相談して決めなさい、ということですか? 」 そのとおりです。 これにはわかりやすい理由が存在します。 「実は循環器内科医も腎臓内科医も、透析患者の心疾患に何をして良いのかが明確にはわかっていない」ということです。

わかりやすく実例を示します。

A:定期的に行っていたレントゲン検査でドライウェイトが合っているにもかかわらず心臓が大きくなっていたので心臓エコーを行った。なんとなく軽度の左室拡大があったのでアーチスト(血圧を下げる薬)を使ったら、すぐに元通りになった。

B:同じようにレントゲンで見つかった心拡大になんとなく心機能低下があったのでアーチストを使用したが全然変わらず、むしろ血圧と脈拍低下に苦しむようになった。

このように検査結果や診察所見はほとんど同じにもかかわらず、全く違った反応を示すことが多々あります。

「どうして良いのかわからないということですか? 」

いいえ、どうすればいいのかは経験のある医師にはなんとなくわかっています。ただし画一的かつ証拠が明確になっている対応ができないということです。そのため経験のある循環器内科医と腎臓内科医が相談して決める、ということになってしまうのです(場合によってはよく循環器を知っている腎臓内科医、もしくは腎臓をよく知っている循環器内科医が単独で決めるということになりますが)。

物凄く短絡的に申し上げますと、
「医師の腕次第」
です。

昔は内科医も腕次第だったのですが、透析に関しては未だ医師の腕次第の部分が大きいということです(先人たちの偉大な努力により多くの分野で確固たるガイドラインが作成され、根拠のある治療(Evidence Based Medicine:EBM)が誰でも行えるようになっている、というのが昨今の状況です)。

結局透析に関しては、手術の上手な外科医を選ぶように腕の良い担当医を探さなければいけないということではないでしょうか。


以下「なんで根拠のある治療ができないか」について多少偏った話になりますので興味がある方はどうぞ。

透析を受けている方ということで一括りにされがちですが、年齢・疾患・性別などものすごく背景が違う患者さんが多いため統計が一律に取れません。現代医療の「根拠のある治療」はほぼ統計による治療方針となるため、統計が取れないと何もできないといった事態になりがちです。背景を統一すると、統計を取れるほどたくさんの母集団を確保できないため、まともな統計が取れません。結局「根拠のある治療」が行えず個々の医師による経験に基づいた医療に頼らざるをえない部分があるのです。

次回は
「②どうすれば心臓を悪くしないですむのか、悪くなったらどうすれば良いのかを知りたい」についてお話させていただければと考えています。なにかご要望があれば検討いたしますので、下記までご連絡ください。
メール:メールアドレス

それでは次回「【第2回】次に、心臓で苦しまないために。」で、お会いしましょう。

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朝田一生

朝田一生
渋谷笹塚循環器HDクリニック院長。
出身地は神奈川県、小学校4年生の時に山梨県へ転居。東京大学に何故か合格し東京へ。以後現在まで東京に在住。学生時代の恩師に薫陶を受け、ひたすら不整脈診療に従事する日々を送っていましたが、大学に戻って以降さまざまな疾患の診療に従事することに。「不整脈が好きというよりは、人を診るのが好きなのかもしれない」と思い直し開業、現在に至る。夢は何でも診られる医師になること。
最終的にどうなっていくかは不明瞭ですが、いつかは内科・整形外科・外科など多分野に精通したDr.コトーになってみたいなぁという思いもございます。器用貧乏になってしまいそうな予感も…。

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