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【第6話・最終回】再導入と2度目の透析生活
2020.1.27
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息子が5歳の頃に、生体腎移植で母からもらった腎臓の機能の悪化が進みました。主治医から透析再導入の話があった時は少し落ち込みましたが、気持ちを切り替えてすぐにシャントを作ってもらいました。
幼稚園に通う息子の世話をしていると、術後の痛さはあまり感じませんでした。初めてのシャント手術の時は、痛みで何もできず寝ていた覚えがあります。実家にいた頃だから甘えていたんですね。
再導入は週2回3時間から
再び透析が始まりました。週2回3時間からのスタートです。
穿刺の痛みも透析室の雰囲気も、もう現実です。「ああ、またずっと透析生活が続くんだな」と、諦めの境地に達しました。
しかしすぐに気持ちを切り替えて、これからの生活をイメージするようにしました。体調は再導入前に比べてずっと良くなり、そこから2〜3年の間は透析も水分管理も問題なくできていたと思います。その後、尿が完全に出なくなってからは水分管理にとても苦労しました。
そうこうして透析は週3回4時間になりました。
体重が増え徐水量が多くなったため血圧が下がり気分が悪くなるという、移植前の透析ではあまり無かった経験をするようになりました。
そうなってくると透析は憂鬱です。注意しているつもりでも度々体重は増え、身体には良くないのに何とか徐水できてしまうので「自分はこれくらい徐水しても大丈夫だ」と分かるようになっていました。
この頃はリンのコントロールもうまくいかない時があり「良くない状況だな」と感じながらも、そのままで透析生活を続けていました。
気持ちを共有できる透析仲間の存在
普段の生活は元気に過ごせていましたが、透析日の朝は憂鬱になることがありました。そんな時はロッカールームで透析仲間と話をすると「よし頑張ろう!」という気になれたりしたものです。
私は、家族に透析の細かい愚痴をあまり言わないようにしています。もちろん家族は私を心から心配して気遣ってくれているとは思いますが、具体的な話をしても本当の意味で共感は得られないと思っているからです。
そこはやはり同じ境遇の透析仲間の存在が大きいです。幸いにも同年代の女性2人と友達になることができたので、たまにランチに行っては情報交換や相談事等、気持ちを共有できる楽しい時間を過ごしています。
長時間透析との出会い
透析9年目の頃、偶然長時間透析のお誘いがありました。以前から長時間透析の記事を読んで興味があった私は、思いきって6時間透析を受けてみようと決心しました。長い透析生活を考えると、少しでも身体の状態を良くしておきたかったのです。
1日あたり2時間、週6時間透析の時間が増えることになりました。でもこの6時間の差は大きかったです。
まず汗が出るようになり、喉の渇きも減りました。その結果、苦労しなくても体重が増えなくなり、徐水量は以前の半分になりました。リンやカリウムのコントロールも楽になり、血圧も安定してきました。
透析を導入してから薬が減ることは無いと思っていましたが、リン吸着剤は半分に減り、血圧の薬は飲んでいません。
拘束時間は長くなったけれど、私には6時間にしたことで良いことがたくさんありました。これなら7時間にしたらもっと良いかもしれないと、7時間も数回チャレンジしてみましたが、さすがに昼間の7時間は長すぎました。
オ―バーナイトで寝てる間に7〜8時間というのが私の理想ですが、週に1〜2日仕事をしながら主婦をしている現在、実現は難しいです。変わりに少しでも透析効率を良くできればと、血流を上げてもらったりしています。
「息子のため」から「自分のため」に元気でいられるように
2度目の透析生活が今年16年目に入りました。息子は社会人として独立します。これまでは息子のために元気でいられるように頑張ってきましたが、これからは夫婦2人です。私自身のために元気で過ごせるように頑張りたいです。
私は献腎移植に毎年登録していますが「宝くじにあたるようなものだ」と言われ、実現は難しいみたいです。
最近では再生医療の記事も目にしました。これも私達には夢のような話ですが、実現したら本当に素晴らしいと思います。 私は真っ先に受けたいです。
透析になってしまうと「一生抜けられない」という重い気持ちに支配されてしまうかもしれません。しかし、確かに制限はあるけれど、普通に生活はできます。
だから、なるべく自分ができることに目を向けて、そして楽しめる何かを見つけて、毎日を普通に過ごしていきたいと思っています。
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