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食生活研究室

腎臓病・透析をしている方の年末年始の食事管理

2022.12.19

文:s.yuri

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2022年も残すところわずかになりました。
特別な料理を食べる機会が増える年末年始は、腎臓病・透析をしている方にとって食事管理が難しい時期です。2022年の大みそかは土曜日、2023年の元日は日曜日と多くの方が透析の中日にあたるので12月31日と1月1日は食べ方を特に意識しましょう。
そこで今回は、年末年始の食事を管理しつつ楽しみながら食べられるよう、「クリスマス」「大みそか(年越しそば)」「お正月」のシーン別に食事管理のコツを紹介します。


特別な食事を楽しむために意識したい共通のポイント

基本的に「食べてはいけないもの」はありませんが、偏った食べ方をすると塩分やカリウムなどの摂りすぎにつながり、体調不良を招く恐れがあります。特に年末年始はイベントが立て続けにあり、つい食べすぎてしまうケースも少なくないので以下のポイントを押さえてみましょう。

食事管理は複数日で調節

一食一食ごとの管理を意識するとストレスがたまってしまいます。食事管理は1回の食事のみではなく、前後の食事で水分、塩分やカリウムなどを控えるなどしてうまく調節しましょう。

食べる分はあらかじめ取り分ける

大皿や重箱から直接食べると、自分がどのくらい食べたかわからなくなり食べすぎにつながります。食べる前に自分が食べる分を取り分けておきましょう。

いつもよりこまめに体重計に乗って体重をチェックする

年末年始は汁ものや塩分・糖分の多い料理が多く並びます。またお酒を飲む機会も増えるため、こまめに体重計に乗って、いつもより体重が増えすぎていないか確認しましょう。


クリスマス:クリスマス料理は蛋白質やリンが多め! 食事の組み合わせを工夫しよう

クリスマスの食卓

クリスマスには、チキンやローストビーフといった主菜をはじめ、フライドポテトやポテトサラダ、グラタン、ケーキを食べる家庭が多いかもしれませんね。
チキンやローストビーフなどは蛋白質やリン、ポテト類はカリウムが多く含まれているほか、ケーキは種類によってカリウムやリンが多いため、食事管理が難しくなる傾向にあります。

特にクリスマス料理は蛋白質が多くなりやすいため、肉類は先ほどご紹介したようにあらかじめ食べる分を取り分けた上で、上手にサラダなどの副菜を組み合わせることで満足感を得られるようにしましょう。サラダは、ポテトサラダよりレタスなどを使ったサラダの方がカリウムを抑えられます。レタスは水にさらすなどしてさらにカリウムを減らす工夫をしましょう。

ケーキなどの洋菓子は、牛乳や生クリーム、卵を使っているため和菓子よりもリンやカリウムが多くなります。さらに、イチゴなどの果物をたっぷり使ったケーキやチョコレートケーキはカリウムが多く含まれています。果物が少なめのケーキやサイズが小さめのケーキを選ぶ、翌日に半分残すといった工夫をしましょう。
また、クリームには動物性と植物性がありますが、植物性は乳化剤や安定剤などの添加物が多く含まれている上、動物性と比べてリンが約4倍です。自宅で手作りする際は動物性のクリームを選ぶといいでしょう。


大みそか:年越しそばは夕食に。塩分や水分を減らす工夫を

年越しそば

年越しそばは「一年の災厄を断ち切る」という意味で大みそかの夜に食べる風習がありますが、汁には塩分が多く含まれていますし、そばは水分を多く含みます。夕食を摂って更に年越しそばを食べる場合は水分・塩分過剰になりやすいです。

年越しそばを食べる際は夕食として食べ、また温かいかけそばからざるそばなどの冷たいそばにするなどして塩分や水分の摂りすぎを防ぎましょう。そばはご飯と比べてリンが多く含まれているため、リン吸着薬を使う、そばではなく年越しうどんに変更するなどの工夫をしてみましょう。そばからうどんに変更することで、カリウムやリンを4分の1程度まで減らすことができます。


お正月

おせち料理は塩分・カリウム・リンが多め

おせちは日持ちをよくするために味付けが濃く、塩分の高いものが多く並びます。またカリウムやリンに加えて蛋白質が多く含まれる食材もあるため、どの品に注意が必要かを覚えておきましょう。

おせちの中で、特に塩分やカリウム、リン、蛋白質の多い食べ物の一例は以下の通りです。

料理名 注意点 成分表示の目安
数の子 日持ちのために食塩が多く使われているほか、蛋白質も多く含まれます 数の子塩蔵20g(1本相当)あたり食塩相当量0.2g、蛋白質3.0g
昆布巻き 昆布はカリウムを多く含みます 昆布100gあたり
カリウム1,800mg
栗きんとん 茹でこぼしなどをしてもカリウムが減りにくいサツマイモを使用しています サツマイモ100gあたり
カリウム380mg
田作り いわしを骨ごと食べるためカリウムやリン、蛋白質が多く含まれます 田作り5g(10尾相当)あたり
カリウム80mg、リン120mg
黒豆 黒大豆にはカリウムやリン、蛋白質が多く含まれています 黒大豆20g(10粒相当)あたり
カリウム420mg、リン130mg
筑前煮 ごぼうや里芋にはカリウムが多く含まれています 各100gあたりのカリウム量
ごぼう320mg、さといも640mg

※成分表示は日本食品標準成分表2020年版(八訂)を参照。あくまで目安量です

おせちはスーパーや通販などで多様な商品が販売されており手軽に入手できますが、家庭で手作りすることである程度塩分などを減らせます。無理のない範囲で市販品とうまく組み合わせてみましょう。
食べる際は、①普段の食事の1~2品をおせち料理に変える②ご飯などの主食もしっかり摂る③一食で食べすぎないよう食べる分をお皿に分けるなどの工夫で、食べすぎを防ぎつつ食事の満足感を得やすくなります。

お餅を食べる際の注意点

お餅

お餅は1個(50g)で120kcalと、ご飯茶碗半分程度(70g)と同じカロリーです。エネルギー補充としては優れた食材ですが、食べすぎてしまったり、食べ方次第で水分やカリウム、塩分の摂りすぎにつながります。

お正月の餅料理の代表格である雑煮は水分が多く、野菜を入れる場合は煮汁に野菜のカリウムが溶け出すため汁は残しましょう。お餅は焼くと風味が豊かになるため薄味でも満足感が得られます。
お餅に醤油タレをかけて食べる場合は塩分に注意が必要です。きな粉は100gあたりカリウムが2,000mg含まれているため、かけすぎないようにしましょう。


イベントが続く年末年始は食事管理が難しい時期ですが、食事のたびに我慢ばかりだとストレスが溜まってしまいます。今回ご紹介したポイントをぜひ意識していただき、年末年始の特別な料理を楽しんでくださいね。

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s.yuri

s.yuri
じんラボのライター。大学卒業後、地元紙で主に教育や警察、司法、スポーツ、地域ネタを追いかける社会部記者として働き、その後夫の転勤に伴いゆるいフリーランスでライター・編集者として活動してきました。
学生時代から医療福祉に関する執筆に関わりたいと思っていたのが、十数年の時を経てじんラボでご縁をいただました。透析や腎臓病の勉強を重ね、少しでも元気の出る情報をお届けします。

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