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腎臓リハビリテーションとは — 運動だけじゃない、生活を支える包括的支援
2026.6.8
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もくじ
はじめに:豊かな人生を支える「腎臓リハビリテーション」
慢性腎臓病(CKD)は、近年の推計では成人の約5人に1人(約2,000万人)が該当するとも報告されている、とても身近な病気です。病気とつきあいながら生活をすることが前提となる中で、「どう生きるか」を支える考え方が重要になっています。腎臓リハビリテーションは、その一つです。
「リハビリ=運動」というイメージがあるかもしれませんが、本来は身体・生活・社会との関わりを包括的に支える取り組みです。
腎臓リハビリテーションは「運動」だけではない
日本腎臓リハビリテーション学会 (編集)『腎臓リハビリテーション診療ガイドライン(改訂第2版)』より引用して改変
1. 腎臓リハビリテーションの変遷 — 安静から包括支援へ
腎臓病の方への運動指導の考え方は、「安静=安全」から「運動にさまざまな支援・指導を組み合わせた包括的なリハビリ」へと変わりました。さらに、透析をしている方だけではなく、CKDの早い段階の方まで対象が拡大し、今に至ります。
2. 腎臓リハビリテーションの広がりつつある取り組み
フレイル・サルコペニアへの対応
近年、CKD(慢性腎臓病)の患者さんの高齢化が進むなか、病気や食事制限の影響で筋肉が衰え、心身ともに虚弱になっていく「フレイル・サルコペニア」が深刻な問題となっています。これは寿命だけでなく、元気に過ごせる期間(健康寿命)にも影響するため、近年特に注目されています。
遠隔リハビリ(オンライン支援)の広がり
2025年12月には「遠隔腎臓リハビリテーション勉強会」の開催が案内されるなど、オンラインを活用した遠隔リハビリの取り組みも進んでいます。地域格差の解消や通院困難な方へのアクセス向上が期待されます。
専門職の育成(腎臓リハビリテーション指導士)
2025年には腎臓リハビリテーション指導士資格認定制度が整備され、専門知識をもつ人材(医師・理学療法士・作業療法士・看護師・管理栄養士など)の育成が着実に進んでいます。
3. 腎臓リハビリテーションはチームで行う支援
腎臓リハビリテーションは、医師・看護師・管理栄養士・理学療法士・作業療法士など、多職種が関わって行われます。
4. 腎臓リハビリテーションでは運動が重要な役割を担う
腎臓リハビリテーションは運動療法を軸とした支援であり、その効果も示されています。「何をすればいいの?」「どう続ければいいの?」といった疑問には、以下のCKDシート※をご覧ください。
※「CKDシート」は、透析前のステージにいる腎臓病をもつ方が自分らしい生活を送るための、知恵と工夫がぎゅっと詰まったシートです。ファイルに綴じて「自分だけの教科書」をつくったり、ポスターとして壁に貼ったり。あなたのくらしに合わせた自由なスタイルで活用できます。
| 運動を続けるために |
| 運動を続けるためにモチベーションを維持するヒントと、日常生活で無理なく活動量を増やす方法をご紹介します。 |
| 運動プログラムの基本 |
| 期待する効果が得られる運動の中身や量のおおよその目安を世代別に示したものです。年齢のみならず病気や環境などによって「適度な運動」は違います。あくまでも目安としてご覧ください。 |
| 運動の種類の知識 |
| 自分に合った運動メニューは、①どんな種類の運動を、②どれくらいの強さで、③週にどれくらいの回数や長さで行うか、の3つの組み合わせで考えます。 |
| 腎臓とメタボリックシンドローム |
| メタボリックシンドロームは心臓病や脳卒中になりやすいだけではなく、腎臓病にもなりやすく、また、悪化させます。 |
| 身体活動の強度一覧 |
| 生活活動と運動、それぞれの運動強度の一覧です。 |
「運動しなきゃ」と身構えなくても大丈夫。「体を動かす」という感覚で十分!
世界保健機関(WHO)が2020年に発表したガイドラインでは、身体活動についての6つのメッセージが示されているよ。まずは、今より少しだけ座る時間を減らすなど、簡単なことから始めてみよう!
- 身体活動は心身の健康に寄与する。
- 少しの身体活動でも何もしないよりは良い。多い方がより良い。
- すべての身体活動に意味がある。
- 筋力強化は全ての人の健康に役立つ。
- 座りすぎで不健康になる。
- 身体活動を増やし、座位行動を減らすことにより、すべての人が健康効果を得られる。
5. 腎臓リハビリテーションが目指すこと
腎臓病の発症予防が大切な段階から、CKDの治療をしている方、透析などの腎代替療法を受けている段階の方まで、幅広い時期での生活を支えることを目指しています。
身体面:栄養と体力を維持し、筋力低下や合併症を防ぐ。
医学面:腎機能の悪化や心臓病の進行を抑え、治療を最適な状態で続ける。
生活面:発症前から透析導入後まで一貫して支援し、社会復帰・自分らしい生活を目指す。
表:腎臓リハビリテーションで求められる具体的活動目標
腎疾患発症前からその治療中、腎代替療法施行中を含むすべてのステージにおいて
- 適切な栄養状態を維持すること
- フレイル・サルコペニアをきたさないこと
- 日常生活での自立が可能な体力の維持に努めること
- 腎機能の低下を抑制して末期腎不全への進展を阻止すること
- 経過中の心臓血管病の発症、進行、再発を阻止すること
- 原因疾患やその治療に伴う様々な合併症の発症を阻止すること
- 腎代替療法施行中は最適な条件で行い尿毒症症状の出現を阻止すること
- 社会復帰への適切なサポートを行うこと
出典:日本腎臓リハビリテーション学会 (編集)『腎臓リハビリテーション診療ガイドライン(改訂第2版)』
6. 腎臓リハビリテーションを始めるには
腎臓リハビリテーションは、理学療法士や作業療法士などの専門職と一緒に行うことが望ましいとされています。
ただし、腎臓リハビリテーションは広がりつつありますが、リハビリ専門職が関わる施設はまだ一部にとどまり、どこでも受けられるわけではありません。まずは主治医や医療スタッフに相談してみましょう。
腎臓リハビリテーションの「はじめの一歩」は、特別なことではありません。まずは座りすぎを減らす、少し歩く距離を増やすなど、日常の中の小さな変化から始めてみましょう。そんな「ちょい足し」を続けることが、腎臓を守り、自分らしい生活を守ることにつながります。
本記事はBoehringer Grant ‘Connections’の助成を受けて作成しました。
参考
- 一般社団法人 日本腎臓リハビリテーション学会
- 一般社団法人 日本透析医学会『わが国の慢性透析療法の現況(2024年12月31日現在)』
- 世界保健機関(WHO)「WHO身体活動・座位行動ガイドライン(日本語版)」
- 日本腎臓リハビリテーション学会 (編集)『腎臓リハビリテーション診療ガイドライン(改訂第2版)』南江堂2026/4/15
- 上月正博『腎臓リハビリテーション総論 1腎臓リハビリテーションの定義、歴史とエビデンス』臨牀透析 40巻7号





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