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理学療法士ゆうぼーの じんラボ運動療法講座【第12回】
〜脳卒中のリハビリ ②〜
2015.4.24
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前回の運動療法講座第11回〜脳卒中のリハビリ①〜では、脳卒中後遺症として代表的な麻痺に対するリハビリを紹介しました。今回は同じく脳卒中後遺症として、麻痺と同じくらい発症する「感覚障害」について説明します。
なお感覚障害に関わる神経は、運動に関わる神経とほとんど同じ経路を通っているので、麻痺と併発することがあります。
感覚とは
感覚には、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などがありますが、ここで言う感覚は触覚や圧覚、温度覚、痛覚です。
これらの感覚により、物に触れたり手足の位置の感覚を認識することができます。その感覚情報は末梢神経から脊髄を通って、脳の視床という感覚の中継地点へいき大脳の感覚中枢へ伝わります。
この視床に損傷を受けると感覚が妨げられます。
熱いコップに手を触れたら、手を引っ込める動作を例として挙げてみます。
熱いものに触れる=温度覚という感覚受容器(体の周囲の環境情報を感知するもの)が熱を認識し、感覚神経を通じて脳に「熱い」と信号を送ります。これにより脳は中枢神経を通して「手を引っ込めろ」と指令を出し、手を引っ込めるわけです。
感覚障害とは
脳卒中により脳に損傷を受けると、感覚が鈍磨(鈍くなる)、脱失(なくなる)、しびれるなどの症状が現れることがあります。他にも刺激がないにもかかわらず、熱さや触られているように感じる異常知覚があります。
感覚障害が発症すると温度が分からなくなったり、手や足の位置が分からなくなったりします。これにより立っていることができなくなったり、歩行が困難になったり生活上あらゆる場面で支障をきたします。
脳卒中発症後、約半年の回復期間がありますが、それ以降の回復は緩やかになるか障害が残ったままになります。
そこで、感覚障害が残った場合のリハビリをご紹介します。
まず感覚障害の疑いがある場合には、簡単な検査として疑わしい部分(足の裏や手など)をくすぐったり、突っついたりして、感覚を正確に認識できているかをテストします。
この際感覚障害が疑われる側だけでなく、正常な側も検査して差異を比べるとより明確になるでしょう。
感覚障害の可能性が疑われた場合には医師の診断をお薦めいたします。その上でより精密な検査を受ける、あるいはリハビリ処方を受けると良いでしょう。
①足底感覚刺激及び筋出力コントロールのためのリハビリ
下の写真のように、ボールの上に足をのせます。足がボールから落ちないように上手くコントロールしながら、踏んだり転がしたりします。
この運動は足底からの刺激を受けることで、足がボールから離れないように足の力をコントロールできるようにします。
②足底感覚刺激
感覚刺激の強くなるように上の写真のようなやや尖った物体を踏みます。またこの物体を転がしたり、足指で拾ってみたりしましょう。
足底(足の裏)にはたくさんの感覚受容器が存在します。足底の感覚は、立っているときや歩く時に重要な情報を得ています。足底の感覚が鈍ったり消失したりすると、地に足が着いているか分からなくなってしまいます。よって、これは受容器を賦活(ふかつ:機能や作用を活発化すること)するリハビリとなります。
③認知神経リハビリテーション(旧認知運動療法)
感覚障害や麻痺を患っていると、それらの障害の影響で自分の手足がどのような動きをしているか認識できなくなる場合があります。 そのような時、自身の障害について理解しどのような動作ができて何ができないかを認識することが必要です。その上で障害を抱えてからの生活に必要な動作習得に向けた学習していくことを認知神経リハビリテーションと言います。
下の写真にあるように、手のひらで大きな円や小さな円を描きます。手のひらにも感覚受容器がありますので、そこから感覚情報を得て腕をコントロールしながら円を描きます。
感覚障害がある場合、自分が思っているような動きができないことが多いです。そこでこの動きが、手のひらからの感覚刺激を利用しながら運動学習をするというリハビリになります。
感覚は人間が生活する上で、必要な情報を脳に伝達するための大切な働きをしています。感覚障害は非常に発見しにくい症状ですので、本講座の説明だけでは分かりづらかった場合や不明な点は「じんラボ知恵の輪」にてご質問ください。
参考
- 福井 圀彦(2009)『脳卒中最前線 第4版』医歯薬出版
- 上月正博(2009)『新編 内部障害のリハビリテーション』医歯薬出版
- 日本脳卒中学会(2015/4/10 アクセス)
- 脳卒中治療ガイドライン2009(2015/4/10 アクセス)
- 認知神経リハビリテーション学会(2015/4/15 アクセス)
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