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理学療法士ゆうぼーの じんラボ運動療法講座【第23回】
透析患者は早い段階から注意を!
ロコモティブシンドロームの概念と予防
2018.7.2
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皆さんは「ロコモティブシンドローム」という言葉を聞いたことがありますか? 今回はこのロコモティブシンドローム(略称:ロコモ、和名:運動器症候群)についてお話しします。
ロコモティブシンドロームの概念
ロコモは2007年、日本の高齢社会における運動器の維持の大切さを説く概念として、日本整形外科学会が提唱しました。
- 骨粗しょう症
- 骨が弱くなり、骨折しやすくなります。ちょっと転んだだけで骨折をしたり、気づかないうちに背骨がつぶれていることも。背中がまるくなったり、身長が縮んできたりしたら、骨粗しょう症が心配です。
- 変形性関節症
- 関節軟骨のすり減りにより、痛みや可動域制限(曲げ伸ばしが十分できない)などを生じます。膝関節や股関節に多く、関節を動かすことと、関節周囲の筋肉を丈夫にしておくことが大切です。
- 変形性脊椎症
- 背骨にかかる負担の結果、椎間板がすり減ったり、骨の変形を生じたりします。神経が圧迫されると「脊柱管狭窄症」という病気を引き起こし、脚の痛みやシビレを生じます。
「運動器」とは、身体を動かすために必要な神経・筋肉・関節・骨などの総称です。ロコモティブシンドロームは、この「運動器」において障害が起こり、動作や歩行能力が低下した状態を言います。また、このような状態に陥ったことにより、要支援・要介護の状態になりやすい、あるいはなってしまうことを指します。
運動器は、それぞれの機能が連繋して働くことによって身体運動を行っているので、どこか1つでも障害が生じてしまうと、他の機能まで損なわれてしまいます。 原因は既往歴や現病歴によっても異なりますし、職業や生活習慣によっても相違が出てきます。
特に透析患者は早い段階から注意を
加齢に伴う筋力・体力低下や関節の変形や痛みや、転倒による骨折などによって体が弱ってしまい、活動量や自立度が低下していくケースは良くみられます。特に透析患者さんは食事制限があり、栄養コントロール状態が悪くなる傾向があるため、体力や運動意欲が低迷してしまいがちです。更に、透析療法自体の時間的拘束は活動量の低下を招きやすく、運動習慣も根付きづらいと言われています。
運動器の状態が悪化すると「寝たきり」になってしまうことも非常に多いため、早い段階から注意しましょう。
このような状態になるのを防ぐためには、自分自身の身体状態を知ることだけでなく、予後予測をしながら自分にあった生活習慣を心掛けていくことが大切です。
「ロコチェック」で思いあたることはありますか?
下の「7つのロコチェック」に自分があてはまるかどうかをチェックしてみましょう!!
1つでも当てはまると、ロコモティブシンドロームの疑いがあります。多ければ多いほど可能性は高くなりますので、その場合は更に注意が必要です。
ロコモ予防には運動習慣を身につけましょう
ロコモ予防のためには、運動療法が不可欠です。スクワットやカーフレイズ(立った状態でカカト上げをする運動)、ウォーキングなどの自分に合った運動を心掛けましょう。
ロコモティブシンドロームは誰しもが陥る可能性がありますので、自分の身体の状態を知る意識を高め、状態に合った運動習慣を築くことがロコモの予防に繋がることでしょう。
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