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理学療法士ゆうぼーの じんラボ運動療法講座【第21回】
中殿筋・小殿筋の働きと運動療法
2017.11.27
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前回「第20回 大殿筋の働きと運動療法」では大殿筋ご紹介しましたので、今回は同じ殿筋郡の中でも「中殿筋・小殿筋」の運動療法を説明します。大殿筋はオシリの後部にありますが、中・小殿筋は骨盤の左右側方にそれぞれ1つずつある筋肉です。
- 中殿筋とは?
- 骨盤の側面に位置し、腸骨(骨盤を構成する骨の一部)にはじまり、大腿骨の大転子という部分に停止しています。
- 小殿筋とは?
- 中殿筋のやや下の方にあり、腸骨(中殿筋のやや下)からはじまり、中殿筋と同じく大腿骨の大転子に停止しています。
中殿筋・小殿筋の役割は?
股関節の外転(外に開く運動)を主な役割として、内転(内に閉じる運動)以外の股関節運動を補助する働きをします。
日常生活の動作においては、立っている時や歩行する際に骨盤の安定化を図っています。立位姿勢(直立した姿勢)で体重は足にかかりますが、この時に中殿筋・小殿筋が働くことで骨盤を固定する役割を果たします。
また、立位姿勢の時には骨盤に重心が置かれるので、中殿筋・小殿筋によって骨盤の安定性を図ることで、動作や歩行の際に重心が正常な位置にコントロールできます。
中殿筋・小殿筋が弱ってしまうと?
立位姿勢において中・小殿筋の筋力の弱い方へ骨盤が下がるため、骨盤の高さに左右差が出てしまいます。また立位姿勢では足に体重がかかっているため足にも左右で差異が出てしまい立位姿勢のバランスが悪くなります。
そして骨盤が固定されないことにより、下図のような「トレンデレンブルグ徴候」という現象が起こります。「トレンデレンブルグ徴候」とは、立っている時や歩行の際に反対側の骨盤が下がってしまい、バランスの悪い状態になることを指します。この現象により重心が左右に振られ、側方に揺れるような歩行になってしまいます。
「トレンデレンブルグ徴候」が引き起こす歩行により以下のような現象が起こります。
中殿筋・小殿筋のリハビリ
①立位での股関節外転運動
この運動は立位姿勢から片足立位の状態になるためバランスを崩しやすいので、写真のように手摺や机などにつかまって行ってください。
その上で、写真②のように足を横に突き上げる運動を5〜10回ずつ行ってみましょう。
この運動の際は体幹が真っ直ぐのまま行いましょう。足を上げていない側に傾いてしまうと、別の部位の運動になり、中・小殿筋の訓練になりません。
②セラバンドを用いた中・小殿筋強化訓練
セラバンドを使用した筋力強化訓練です。
開始姿勢のように閉脚した状態から開脚していきます。ゆっくりと運動することを心掛け、中・小殿筋が収縮するのを感じながら実施するとより効果的です。
③臥位での筋力強化訓練(1)
横向きに寝た状態から、オシリを上方に突き上げます。これも5〜10回程度を目安に負荷を調整しながら実施してください。 この運動は、ご自身の体重が、腕や足にのってくるので過負荷にならないように注意しましょう。
☆この時シャントを圧迫しないように気を付けて下さい!!
④臥位での筋力強化訓練(2)
こちらも横向きに寝た状態から行う運動です。開始姿勢の状態から上の足を上方に突き上げます。これは足の重量のみが負荷となるので、10〜20回を目安に実施してみましょう
☆運動療法は継続することで効果を発揮しますが、体調の悪い日は無理しないようにしてください。また安全に配慮し、正しい運動方法を心掛けることで継続できるようにしましょう!!
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