プレゼントキャンペーン実施中

[ 新規会員登録(無料)] または [ ログイン ]

慢性腎臓病(CKD)・透析と正しく向き合い、知って、共感して、支え合って、自立する。
基礎知識や仲間が集まるコミュニティ、サポート情報など、元気に生活するためのすべてがここに。

新規会員登録(無料)

基礎知識

腎臓と高血圧 ― 腎臓を守るために知っておきたい血圧と腎臓の関係

2026.3.26

文:ndeco

220

監修:東邦大学医療センター 大森病院 病院長 腎センター 主任教授 酒井 謙 先生

緑の文字の用語をクリックすると用語解説ページに移動するよ。

image


1. はじめに―「高血圧の10のファクト」と腎臓

高血圧は、今や多くの人が付き合う身近な病気です。

2025年に改訂された「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、私たちが知っておくべき正確な知識を、「高血圧の10のファクト」として分かりやすくまとめています。

高血圧の10のファクト

  • ①高血圧は、将来の脳卒中・心臓病・腎臓病・認知症の発症リスクを高める病気です
  • ②日本では、1年間に17万人が高血圧が原因となる病気(脳卒中や心臓病)で死亡しています *1
  • ③日本の血圧コントロール状況は、主要経済国の中で最下位レベルです *2
  • ④上の血圧(収縮期血圧)を10mmHg下げると脳卒中・心臓病が約2割減少します
  • ⑤高血圧の人では、年齢に関わらず、上の血圧を130mmHg未満、下の血圧を80mmHg未満まで下げると、それ以上の血圧に比べて、脳卒中や心臓病が少なくなります
  • ⑥生活習慣の改善(減塩、運動、肥満の是正、節酒など)で血圧は下がります
  • ⑦日本人の食塩摂取量は10g/日と世界の中でも高く、高血圧の人は 6g/日未満にすることがすすめられています *3
  • ⑧目標の血圧レベルに達するために、多くの高血圧患者では血圧を下げる薬が2種類以上必要です
  • ⑨血圧を下げる薬は、安価・安全で効果があり、副作用よりも血圧を下げる利益の方が大きいことがほとんどです
  • ⑩日本は家庭血圧計が普及しており、家庭での血圧測定は高血圧の診断と治療に役立ちます
出典:
  • *1 THE LANCET REGIONAL HEALTH - WESTERN PACIFIC 2022;21: 100377.
  • *2 高血圧管理・治療ガイドライン2025,LANCET 2019; 394: 639–51.(【参考データ】血圧コントロールされている割合(女性):日本29%,カナダ50%,ドイツ58%,米国54%,韓国53%。同(男性):日本24%,カナダ69%,ドイツ48%,米国49%,韓国46%)
  • *3 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2025年版),高血圧管理・治療ガイドライン2025,エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023

©2025 日本高血圧学会

高血圧は、自覚症状がないまま、臓器に影響を及ぼす病気です。もちろん腎臓も例外ではありません。

この記事では、高血圧と腎臓の密接な関係について詳しく解説します。

▲もくじに戻る


2. 高血圧・糖尿病と腎臓はどう関係しているの?

さまざまな健康リスクの中でも、高血圧は血管に負担をかけて動脈硬化を引き起こすため、特に命に直結します。そして腎臓は、特に血管の影響を受けやすい臓器で、血圧とは切っても切れない関係にあります。なぜなら、腎臓は「尿をつくる臓器」と思われがちですが、全身の血液が何度も腎臓の中の血管を一定の圧力を保って通過する高性能なフィルターだからです。

血圧が高いと腎臓の血管が傷つきやすくなり、腎臓の機能が低下すると、さらに血圧が上がるという「負のループ」が始まってしまいます。

腎臓を守ることは、心臓や全身の血管を守ることにもつながります。血圧の数字だけにとらわれず、体重・食事・運動など、体全体をトータルで整えていくことが大切です。

腎臓・心臓・血糖値・肥満の切っても切れないつながり

腎臓・心臓・血糖値・肥満の切っても切れないつながり

Luis M. Ruilope, Alberto Ortiz, and Gema Ruiz-Hurtado “Hypertension and the kidney: an update” より引用・改変


腎臓には血圧をコントロールする働きも

腎臓は、血圧が下がって腎臓に入ってくる血液が少なくなると、レニンという血圧を上げるホルモンを分泌します。また、体の中の塩分や水分量を調整・排泄することで、血圧をコントロールしています。

しかし、腎臓の機能が低下すると、余分な塩分や水分をうまく排出できず、血圧が上昇します。さらに、腎臓の血管が目詰まりを起こして流れ込む血液が減ると、腎臓は「全身の血液が足りない」と判断(錯覚)し、血圧を上げるよう指令を出してしまいます。その結果、レニンの分泌が促され、血圧はさらに上昇します。

このように、高血圧と腎臓の機能の低下は互いに影響し合い、悪循環を引き起こすのです。

高血圧と腎臓の機能の低下は互いに影響し合い、悪循環を引き起こす


高血圧を放っておくと…

高血圧を管理・治療せずに放っておくと、動脈硬化を皮切りに脳卒中(脳梗塞など)、心臓病(狭心症、心筋梗塞など)などの病気にかかりやすくなります。さらに、高血圧によって腎臓の細い血管が傷つけられ続けると、「腎硬化症」という腎臓の機能が低下する病気になるおそれがあります。糖尿病や脂質異常症がある場合は、さらに注意が必要です。

透析をしている方の原因の病気の第3位が腎硬化症です。
腎硬化症とは、簡単に言うと腎臓の血管が動脈硬化を起こし、腎臓の機能が低下してしまう病気です。

チェックしたい「高血圧のファクト」
  • ①高血圧は、将来の脳卒中・心臓病・腎臓病・認知症の発症リスクを高める病気です
  • ②日本では、1年間に17万人が高血圧が原因となる病気(脳卒中や心臓病)で死亡しています

▲もくじに戻る


3. 検診で“腎臓チェック”していますか?

高血圧がある方にとって、腎臓チェック(尿蛋白とeGFR)はとても重要です。


早期発見につなげる年に1回の検診

日本腎臓学会は、健康な方でも年に1回の定期検診を推奨しています。高血圧や糖尿病がある方は、腎臓への負担がかかりやすいリスクグループです。毎年検診を受けることで、過去の数値と比較して「いつから、どの程度のペースで低下しているか」も把握できます。


腎臓チェックで大切な2つの数値

腎臓を知る2つの大切な指標(数値)

腎臓を知る2つの大切な指標

健康診断などの検査項目のうち、腎臓のチェックは主に「尿蛋白」と「eGFR」の両方で行われます。

尿蛋白 腎臓のフィルターからたんぱく質が漏れ出した、腎臓のSOSサイン。
判定基準
-(マイナス):正常
±、+1以上:要注意
eGFR 日本語では推定糸球体濾過値という、腎臓の”元気度”、あるいは腎臓の残っている機能(%)を指す。血液検査の血清クレアチニン値などから計算する。
判定基準
90以上:正常または高値
60〜89:正常〜要注意(軽度低下)
60未満:低下

尿蛋白とeGFRを確認するには尿検査と血液検査が必要です。健診によっては尿検査が検査項目に含まれていない場合があります。そんな場合に尿検査をする方法を3つご紹介します。

1. 40歳以上75歳未満の医療保険加入者であれば「特定健診(メタボ健診)」を併用する

お住まいの市区町村から送られてくる「特定健診」の受診券を確認してください。特定健診には基本的に尿検査が含まれています。

2. かかりつけ医(内科・泌尿器科)で受診する

糖尿病がある方の場合は、より精度の高い尿アルブミン/クレアチニン比(UACR)に変更しても良いでしょう。

3. 薬局などで「尿検査キット」を購入する

あくまでもセルフチェックですので、できれば医療機関で受診しましょう。


なぜ、腎臓の機能の低下は早期発見が大切なの?

1. 腎臓は「再生しない」臓器だから

腎臓は一度壊れてしまうと、元の状態に戻りにくいです。そのため、機能の低下が見つかった時点で、残された機能をどう守るかが大切になります。早期発見は、「これ以上悪くしない」ためのスタートラインです。

2. 症状が出た時には手遅れになりやすいから

腎臓は悪化しても、かなり進行するまで目立った症状が現れません。症状が出たときにはすでに病状が進み、透析などの治療が必要になるケースがほとんどです。

3. 脳卒中や心臓病のリスクを避けるため

腎臓の機能が低下すると、全身の動脈硬化が進行しやすくなります。その結果、腎臓だけでなく、脳卒中や心臓病などの重大な病気を引き起こすリスクも高まるため、早期の治療が重要です。

4. 適切な介入で進行を遅らせることができるから

CKDの早期段階であれば、食事療法や薬によって病気の進行を緩やかにし、腎臓の機能を維持できる可能性が高くなります。

チェックしたい「高血圧のファクト」
  • ③日本の血圧コントロール状況は、主要経済国の中で最下位レベルです

▲もくじに戻る


4. 血圧を整えることが、腎臓を守ること

ここまでにお話した、高血圧と腎臓の関係を整理してみましょう。

  • 腎臓は細い血管の塊(かたまり)のような臓器
  • 腎臓と心臓、血糖の状態は、血管を通して影響し合っている
  • 腎臓は血圧のコントロールに関わっている
  • 高血圧を放っておくと、高血圧が腎臓の血管に動脈硬化を起こす
  • 高血圧と腎臓の機能の低下は互いに影響し合い、悪循環を引き起こす

つまり、腎臓の機能低下と高血圧が悪循環を生むなら、裏を返せば、どちらかを早めにケアすることで、もう一方への悪影響も抑えられます。

小さな変化に気づいて対策を始めて血圧を安定させることは、腎臓という細い血管の塊を守ることに直結するのです。その結果、心臓や血管全体を保つことにもつながります。


血圧の管理と治療

腎臓を守るための血圧管理では、「生活習慣の改善」と「薬物療法」は、どちらも欠かせない“車の両輪”です。減塩や適度な運動といった生活の見直しは、降圧薬の効果を高め、薬の量を抑えることにもつながります。一方で、すでに高血圧が進行している場合は、薬の力を借りて血管への負担を早めに軽くすることが、腎臓の機能を守る近道になります。

この両輪をうまく回すカギが、毎日の自宅での血圧測定です。診察室では見えない日々の変化を記録し、主治医と共有することで、最適な治療方針を立てやすくなります。

チェックしたい「高血圧のファクト」
  • ⑥生活習慣の改善(減塩、運動、肥満の是正、節酒など)で血圧は下がります
  • ⑦日本人の食塩摂取量は10g/日と世界の中でも高く、高血圧の人は 6g/日未満にすることがすすめられています
  • ⑨血圧を下げる薬は、安価・安全で効果があり、副作用よりも血圧を下げる利益の方が大きいことがほとんどです
  • ⑩日本は家庭血圧計が普及しており、家庭での血圧測定は高血圧の診断と治療に役立ちます

▲もくじに戻る


5. 慢性腎臓病(CKD)への進展を防ぐには

慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の機能が少しずつ低下していく病気です。自覚症状がほとんどないまま進行し、気づいたときには透析が必要になることもあります。しかし、早めに気づいて生活を見直せば、進行を遅らせることができます。

腎臓を守ることは、未来の自分を守ることです。できることから始めましょう。

▲もくじに戻る


6. もしCKDと診断されたら

腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、気づかないうちに進行しやすい側面もあります。しかしその一方で、日々の暮らしの工夫と適切な通院によって、その機能を長く保つことは十分に可能です。たとえCKDと診断されても、早めに情報を集め、相談できる場所を整えておくことで、安心して次の一歩を踏み出すことができます。

必要以上に怖がらず、「焦らず、慌てず、放置せず」の姿勢が大切です。

▲もくじに戻る


参考:成人の血圧値の分類

分類 診察室血圧 家庭血圧
収縮期血圧 拡張期血圧 収縮期血圧 拡張期血圧
正常血圧 <120 かつ <80 <115 かつ <75
正常高値血圧 120-129 かつ <80 115-124 かつ <75
高値血圧 130-139 かつ/または 80-89 125-134 かつ/または 75-84
I度高血圧 140-159 かつ/または 90-99 135-144 かつ/または 85-89
II度高血圧 160-179 かつ/または 100-109 145-159 かつ/または 90-99
III度高血圧 ≧180 かつ/または ≧110 ≧160 かつ/または ≧100
(孤立性)
収縮期高血圧
≧140 かつ <90 ≧135 かつ <85

▲もくじに戻る


本記事はBoehringer Grant ‘Connections’の助成を受けて作成しました。

Boehringer Grant


この記事はどうでしたか?


  • 記事のクリップ機能を使うには会員登録が必要です
こんな情報が知りたい、その他ご要望など、「基礎知識」にご意見をお寄せください!

ご意見をお寄せください

PR
緑の文字の用語はオンマウスで用語解説が見れるよ。クリックするとさらに詳しい用語解説ページに移動するよ。

基礎知識内検索

透析ライフガイドブック「患者がつくった透析のほん」

→透析ライフガイドブック「患者がつくった透析のほん」 とは

この"ほん"をご希望の方

以下のボタンから申込フォームにお進みください。
【New!】個人の方向けにkindle(電子書籍)版をご用意しました。
冊子版をご希望の方はかかりつけの医療施設にお問合せください。


申込フォームに移動します


Amazonに移動します

この"ほん"を手にされた方

ご感想やご要望をお寄せください!!
続編の希望などもあれば教えてください。

じんラボを応援してください!